Qプラスリポートです。高齢化が進む中、去年から始まった「地域包括ケアシステム」。
これは高齢者が“住み慣れた地域”で介護や医療、生活支援のサポートやサービスを受けられるようにしようという取り組みですが、この制度からこぼれ落ちる人たちがいます。
そんな中、高齢者やその家族の「最後の砦」として運営する施設の姿を紹介します。
住み慣れた地域で、人生の最期を迎えたい・・・それは誰もが願う、「老後の理想の姿」です。自宅に限らず有料老人ホームも選択肢のひとつとなっています。
ところが、そのためには医療的なケアは整っているのか?誰でも入れるのか?など、様々な利用者のニーズに応えられる場所が求められます。
喜納先生「お年寄りがそこで最期まで過ごしたいと思っていても、やはり病状が悪くなってきたら入院を余儀なくされるというような状況が実際にあるということなんですね」
これまで、医療や介護保険の制度は、国が主体となって運営してきましたが、現在は地域が主体となり、住まいや、医療・介護、生活支援などが一体的に提供されるのが「地域包括ケアシステム」です。
この取り組みの目的について在宅医療のエキスパートである喜納美津男医師は。
喜納先生「本人さんの意向に沿った療養生活っていうのが一番重要だと思うんですけれども、高齢者が最期まで安心して暮らせることが出来ることを目指すというところが地域包括ケアの目的なんですね。」
一方で、財源の問題や病院のベッド数の問題もあり、入院している高齢者をなるべく早く、自宅や、施設に戻すことも必要とされています。
ただ、退院後も医療的なケアや処置が必要な高齢者も多く、その数は足りていません・・・
喜納先生「ご自宅だと老々介護で面倒みきれない、老人ホームではこの医療行為は無理だという風に断られることが多くて病院側の方でも退院先を見つけるのに苦労されてるのが現状だと思うんですね。ある程度の医療行為まで対応できる施設っていうのがニーズ的に増えてきてる」
那覇市寄宮にある有料老人ホーム「メディケアハウス寄宮」。70人ほどが入居していて、医療敵な行為を必要とする高齢者も受け入れています。
與那城さん「在宅にも戻れない、要介護度が高くてっていうことでご家族も見れない。勿論病院も療養型っていうところがもういっぱいいっぱいで行き先がない、行き場所がないって方々の最後の砦っていう形での入居施設になっていまして」
経営者の與那城将さんは元々は不動産関係の仕事をしていた異色の経歴の持ち主です。高齢者にとってここが「最後の砦」と考える理由は自身の過去経験からでした。
與那城さん「マンスリーマンションを経営していまして、そちらに入居の希望の方々で高齢者の人も多くなってきてたんですね、それこそ身寄りがいなくてとか保証人がいなくて。そういった方々をお受けできる介護施設っていうものも必要性を感じて5年前に介護施設を立ち上げました」
施設には、日中は7人、夜間でも2人以上の看護師がいて、介護士も50人が交代で勤務にあたっています。また、提携する医療施設は20以上もあり、入所者の急変や看取りにも対応しています。
メディケアハウス寄宮のような施設はごく限られていて数が足りないのが現状です。
與那城さん「施設っていう固い表現ではなくて在宅とおなじくらいのサービスを提供したいので、おうちにいるような環境、家族のような対応をってところで先生方、職員も連携してみているような施設にはなります」
喜納先生「最期までしっかり支えてくれる施設っていうのはすごく大事」
すぐそこに迫っている超高齢社会。利用者のニーズに合ったサービスとケアを追求し、心豊かな暮らしに繋がる形が求められます。