ここからは、りゅうぎん総研の研究員にお越しいただいて県経済の動きをわかりやすく解説するコーナー「早わかりビズ」です。きょうの担当は米須 唯(こめす ゆい)さんです。よろしくお願いします。
米須 唯 研究員「よろしくお願いします」
テーマはこちら。「世界の科学技術の発展、沖縄振興、日本振興をけん引するOIST」についてです。今回このテーマを取り上げるのは?
米須 唯 研究員「はい。皆さんは沖縄科学技術大学院大学、通称OISTはご存知でしょうか2011年に設立された恩納村にキャンパスを構える世界レベルの(自然科学系)大学院大学です。
きょうは、今年3月に沖縄経済同友会が取りまとめたOISTに関する提言書をもとに、OISTの現状と課題について紹介し、多くの皆さんにOISTについて知っていただければと思います。
沖縄経済同友会がこの提言をまとめた背景にはどんなことがありますか?

米須 唯 研究員「はい、目的はこちらです。「OISTの活動や研究内容を県内外や世界に知っていただく事」また、「OISTの高度な研究成果を産業界の事業化やスタートアップに繋げる仕組みを考察すること」このふたつです。
なるほど。OISTは、認知度の向上や産業界との連携といった課題があるということなんですね。
米須 唯 研究員「はい、そうですね。そこできょうは、こちらの3つについてご説明します。1つ目は『OISTの特徴』について、2つ目は『OISTの貢献とOISTへの期待』、3つめは『OISTの目指す姿とその実現に向けた提言』についてです」

まずは、1つ目の『OISTの特徴』についてご紹介ください。
米須 唯 研究員「はい。OISTは、50か国以上の国からトップクラスの研究者が集まる国際的な大学で、社会に大きな価値をもたらす可能性のある「基礎研究」をおこなっています。
OISTは研究体制も特徴的だと聞きました。
米須 唯 研究員「はい、主な特徴は3つあります。まず、OISTに「学部」はなく、分野の垣根を超えた研究を推奨する「学際的アプローチ」や、研究者への信頼に基づく「ハイトラストファンディング」。充実した共用施設「コアファシリティ」。この3つがOISTの研究を支えているんです。

その結果、論文の質は世界9位、国内1位という成果を上げており、2020年にはノーベル賞受賞者も輩出しています。
という事は、研究者の間では認知は広がりつつあるのでしょうか?
米須 唯 研究員「はい。ただし、世界のトップ研究機関と比べるとまだ規模が小さい点が課題です」
米須 唯 研究員「続いて、経済界や教育界などへのヒアリングで確認した「OISTの貢献とOISTへの期待」について、こちらをご覧ください」

「まず、沖縄への貢献として、5つ挙げました。「自然環境への貢献」や「経済社会との連携によるイノベーション創出」「県内の児童生徒への教育・地域貢献活動」など、地域に根差した数多くの取り組みをおこなっています」
確かに、これだけの貢献をしているのに県内での認知度がまだ低いというのは課題ですね。続いて、OISTに期待されていることは?
米須 唯 研究員「はい。まず『沖縄の自然環境を活かした研究で世界をリード』することです。それには、『県内の教育・研究機関との連携強化』も重要になります。また、『沖縄経済の基盤強化』や『国際交流拠点としての役割』そして『県民の知的探求心向上』など、今後、沖縄の発展を牽引する存在として重要視されています」

そのためにも私たち県民は常にOISTの最新情報をキャッチできるアンテナを持っていたくなりますね。
米須 唯 研究員「はい。最後に『OISTが目指すべき姿』を2つ掲げています」
「1つ目は、世界の科学技術研究をリードする『知の拠点』。2つ目がスタートアップ・ベンチャー企業の『国際的な集積地』となる事です」
OISTなら実現できるポテンシャルが高いと思いますが、そのためには必要な取り組みは?
米須 唯 研究員「はい。経済界とOISTは、財源多様化に取り組み、またOISTと産官学が双方に歩み寄り連携すること。沖縄県は、OISTが持つ資源を最大限活用した沖縄振興。そして政府には、OISTの価値のベースである基礎研究を支えるための安定的な財政支援などが求められます」

これまでにもOISTから生まれたスタートアップ、例えば吸水力の高いポリマーが世界の干ばつに苦しむ国々の農業への助けになると言った事や女性の健康課題をテクノロジーで解決しようという取り組み『フェムテック』などOISTに関連したニュースもお伝えしています。米須さんの説明を伺っていて、今後がますます楽しみになってきますね」
米須 唯 研究員「そうですね。今回の提言がOISTのさらなる発展へとつながり、沖縄の振興を助け、さらには日本振興へと繋がることに期待しています」
きょうは、りゅうぎん総合研究所の米須さんにわかりやすく解説していただきました。ありがとうございました。ここまで「早わかりビズ」ビジネスキャッチーでした。