琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。よろしくお願いします。
湊和雄さん「よろしくお願いします。」
さて今回のテーマはこちら「他人の空似?似た者同士?」です。
湊和雄さん「春の甲虫たち第二弾。前回は飛び方にフォーカスしましたが、今回はそれぞれの種類の姿をもつ意味を解説していきます。」
それでは早速VTRを見ていきましょう。

湊和雄さん「新緑も一段と進み、山並全体に広がっています。今年は寒の戻りが何回もありますが、その直後は水温も春を感じることが出来ます。」
温かくなったと思ったら寒くなったりと、甲虫たちも大変ですよね。
湊和雄さん「春の甲虫の主役は、このような鮮やかな赤い翅(はね)を持つ細長い体型のグループ。ベニボタルという光らないホタルです。有毒で、そのことを鳥などの天敵(捕食者)にアピールして食べられないような効果があると考えられています。その代表種がオオシマカクムネベニボタルです。」

先週も紹介したホタルでしたよね。
湊和雄さん「ベニボタルは何種類もいます。こちらはオキナワクシヒゲベニボタルです毒のある種類同士が似た姿をしているのも擬態の世界です。1種類ずつではなく、こんな姿の昆虫はどれも有毒です。」
どれもよく似た姿をしていますね。
湊和雄さん「未だ名前の付いていないベニボタルもいます。細かく見ると違いもありますが、やはりよく似ていますね。こちらもベニボタルの1種になります。」
湊和雄さん「有毒のベニボタルたちに、無毒な種類も混ざっていることも判っていますこれもまた1種類ではなく何種類も。これが典型的擬態の世界ですね。このアカハネムシの1種は無毒で擬態する種類と考えられてきましたが、最近の研究では、この種類も有毒だという説が出ています。」
へー!そうなんですね。

湊和雄さん「こちらは無毒で、ベニボタルたちに擬態している種類、クニヨシホソクシコメツキ。似ていますね。」
ホントだ!そっくりですね!
湊和雄さん「さて、ここまではベニボタル類とそれに擬態した種類。他人の空似というか似た者同士と表現するか。そして、その逆の世界もあります。春の甲虫のもうひとつの主役は、このオキナワトラフハナムグリ。こちらは細かく観察してみると、その特徴的な模様が微妙に異なっています。これは、標準的というか典型的なパターンになります。」
湊和雄さん「こちらは、翅の黄色い斑紋が消え掛かっているようなパターンです。ここからこの黄色い部分に注意して見てください。これが虎斑(とらふ)の由来です。」
これは、逆にかなり大きく目立ちますね。
湊和雄さん「そうですよね。はっきりと模様が出ていますよね。これも大きめですが、先ほどは結構異なるパターンです。さらに全体に表面がザラザラしているんですよね。そしてこれは、黄色い模様どうしが接している珍しいパターンです。」
同じ甲虫でも模様が色々あるんですね。

湊和雄さん「そうなんですよ。これは黄色い斑紋のサイズは標準的ですが、傾きが少なく平行した並びです。」
こうして見ると全然違いますね。
湊和雄さん「これはまた、かなり小さめというか細いパターンですね。このように、同じオキナワトラフハナムグリでも、その模様には結構違いが認められます。そしてこれがオキナワトラフハナムグリの最大の特徴。褐色部分が消えて黒と黄色だけになってしまうパターンが出現するのです。しかし、20から30匹に1匹の超レアな存在なのです。1シーズンに1匹遭えるか否かの確率です。」
湊さんやっぱりもってますよね。
湊和雄さん「そうなんですよ!今シーズンは、運よく3匹ものこの黒色タイプに遭遇出来ました。やはりこのタイプでも、黄色い斑紋は同じではなくバリエーションがありました。」
今シーズンは、3匹も撮影に成功!
今回も貴重な映像ありがとうございました。リュウキュウの自然でした。