2025年1月、大宜味村の国道で軽乗用車が、ダンプカーなどに衝突し、あわせて5人が病院に搬送された事故で、運転していた当時18歳の男性が無免許で飲酒運転をしていたことが分かりました。
この事故は、2025年1月15日の午前8時すぎ、大宜味村の国道58号で軽自動車がダンプカーに正面衝突した後、後ろを走っていた乗用車に衝突したものです。
この事故で、軽自動車の運転手と後部座席に乗っていたいずれも10代の男子高校生2人が一時、意識不明の重体となるなどあわせて5人が病院に搬送されました。
警察は、軽自動車が前を走っていた乗用車を追い越そうとして対向車線に進入し、ダンプカーと衝突したとみて慎重に捜査を進めていました。
関係者によりますと警察は、軽乗用車を運転していた当時18歳の男性が無免許のうえ、飲酒運転で正常な運転が困難な状態だった疑いがあるとして、2025年4月4日までに危険運転致傷の容疑で書類送検したということです。
調べに対して、事故を起こした男性は容疑を認めているということです。
記者解説 1月の大宜見ダンプ事故は飲酒運転
ここからは取材した濱元記者に聞きます。今回、18歳の男性が書類送検されましたが、危険運転致傷容疑とはどのようなものなのでしょうか。
濱元記者「交通事故を起こして相手を死亡させたり、ケガをさせてしまった場合問われる罪は大きく分けて2つあり、罪名によって科せられる量刑も異なります。まず『過失運転致死傷罪』ですが、自動車の運転により人を死傷させる行為が生じたとき、7年以下の懲役もしくは禁錮刑、又は100万円以下の罰金と規定されています」
「一方で、『危険運転致死傷罪』はアルコールの影響などにより、正常な運転が困難な状態で車を運転した危険運転の結果、相手がけがをした場合には15年以下の懲役、相手方が死亡した場合には20年以下の懲役が規定され、過失運転致死傷罪より重い刑罰が定められています。裁判員裁判の対象にもなります」

そして警察が、危険運転致傷容疑で送検したことを考えると厳しい処罰を求めていることがうかがえますね。
濱元記者「はい、飲酒運転は犯罪行為です。かつて飲酒運転で事故を起こし身体に後遺症が残った男性も飲酒運転の根絶を強く訴えています」
飲酒運転根絶アドバイザー宮城恵輔さん「飲酒運転の自損事故で体がやっぱり不自由になったっていうのがやっぱり一番大きいところで、その当時僕結婚もしていたんですけども、飲酒運転によって仕事もできない体になって、やっぱり家族とも離れ、離婚するっていうことにならざるを得なかったという現状ですね」
飲酒運転根絶アドバイザーとして活動する宮城恵輔さんは、自身が飲酒運転で起こした事故を悔み続けています。20年前に自身の21歳の誕生日に友人たちと夜通し酒を飲み、帰りにオートバイを運転して単独事故を起こしました。
頭を強く打ったことで左半身に麻痺が残り体を思うように動かせなくなったうえ両腕が使えなくなります。仕事も失い、大切な家族とも離婚することになりました。当時は飲酒運転を何度も繰り返していて「今回も大丈夫だろう」と甘く考えてしまったことが大きな間違いだったと振り返ります。
飲酒運転根絶アドバイザー宮城恵輔さん「若いとき僕もそうだったんですけど、若いときはどうしても(飲酒運転の危険性)への意識が向かないというか、楽しいことがどうしても優先になってしまう気がするんですね」
「今これをするのが楽しいっていうことで、そういう選択をしてしまったんだと思うんですけど、もう1回そこで1回立ち止まって、もうちょっと深く考えてもらえたらいいなって思います」
宮城さんは現在、飲酒運転根絶アドバイザーとして講演活動を続け、人々に自分と同じ思いを絶対にしてほしくないと訴え続けています。
飲酒運転根絶アドバイザー宮城恵輔さん「あいつみたいにはなりたくないな、あんな情けない体にはなりたくないなって思ってもらえたら、僕はそれでいいかなと思っていて、だから僕のことを見て、僕は反面教師にしてもらったらいいかなって思ってます」
濱元記者「宮城さんは10年以上飲酒運転の根絶を目指して活動しています。事故を起こす前は「自分は大丈夫」と思ってしまっていましたが大きな間違いだったと語り、飲酒運転を軽く考えないでほしいと強く訴えていました」

県内で今年に入り発生した飲酒がらみの人身事故はことし2月末時点ですでに6件発生していて、全国平均の倍の水準になっていて沖縄の深刻な社会問題と言えます。
飲酒運転・無免許運転は自分だけでなく、まわりの人や他人の人生を不幸にしてしまうもので「絶対にやってはいけない」という、意識を持つことが重要です。