ここからは早わかりビズ。県経済の動きをわかりやすく解説するコーナーですが、きょうは琉球銀行サステナビリティ推進室の渡久地政彦(とぐち まさひこ)さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。
渡久地政彦さん「よろしくお願いします」
まずは、渡久地さんの所属されている琉球銀行サステナビリティ推進室について教えてください!
渡久地政彦さん「はい。サステナビリティ推進室は、地域の環境・社会課題に対応するために設立されました。沖縄は、豊かな自然を基盤として観光業を中心にさまざまな産業が発展してきましたが、気候変動の影響を受けやすい地域でもあります。そのため、自然環境を守りながら地域全体の産業が持続的に発展していけるような取り組みが求められています」
銀行が環境のことを考えるというのは「意外?」と思う方もいるかもしれませんね。
渡久地政彦さん「実は、経済と環境は切り離せない関係にあります。例えば、観光業は沖縄の自然があってこそ成り立つ産業です。その自然が気候変動で失われれば、経済にも大きな打撃になります。だからこそ、環境に配慮しながら地域経済を持続可能にすることが大切です」
具体的にはどんな活動をしているんですか?
渡久地政彦さん「たとえば地域の脱炭素化を促進するため、融資や地元企業との連携を通じてZEH(ゼッチ)の普及などに取り組んでいます」
ZEH(ゼッチ)とは?

渡久地政彦さん「『ZEH』はネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略語で、家庭で使用するエネルギーを太陽光発電などで創り、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする住宅のことです。沖縄県では家庭から出るCO2排出量の割合が全国平均よりも高く、またZEHの普及率も全国で一番低いのが現状です。このような現状を踏まえ地域金融機関として「脱炭素社会」の実現に向けた取り組みを進めています」
ZEHでの家づくりを考えている方にとって、どんな「メリット」がありますか?
渡久地政彦さん「主に3つあります。1つ目は『光熱費が安くなる』こと、2つ目は「補助金や税制優遇が受けられる」こと、3つ目は「家の資産価値が上がる」ことです。さらに、各金融機関では「ZEH」を建てたいというお客様向けに『ZEH専用住宅ローン』の取り扱いをしており金利などの優遇も行っています」
なるほど、そういった取り組みも行っているんですね。そこで、きょうのテーマは沖縄の未来に関わる「気候変動」についてです。
1『未来の沖縄、気温は○○℃!?』
昨今「温暖化が深刻」ですが、このまま温暖化が進むと沖縄の気候はどうなってしまうのでしょうか?
渡久地政彦さん「今のペースで温暖化が進むと、2100年までに沖縄の平均気温は3℃以上、上昇すると予測されています。現在の沖縄の夏の最高気温は37℃程度ですが、将来的には40℃を超える日が増えると言われています」
40℃を超えると、もう外に出るのも危険ですね。

渡久地政彦さん「はい。そして昼間だけでなく夜間の気温も上昇しており寝苦しい熱帯夜(最低気温25℃以上)が今よりさらに増えると考えられています」
エアコンの使用が増えそうですね。
渡久地政彦さん「そうですね、気温が上がるとエアコンの使用はどうしても増えがちです。ただ「ZEH」のように断熱性の高い家にすることで、外の熱を室内に伝えにくくなり、エアコンの効きが良くなって結果的に電力消費を抑えることができます。さらに、日差しを遮る工夫や風通しを意識した設計を取り入れることで、エアコンに頼りすぎずに快適に過ごせる環境づくりが可能になります
2『沖縄の海が変わる!?』
気温上昇で懸念される事といえば、海水温の上昇による海の変化ですよね。
渡久地政彦さん「はい、このように沖縄の海水温は過去100年で約1.22℃上昇しており特にここ数年の異常気象がサンゴの白化に大きく影響しています。2024年には石垣島の沖合にある国内最大級のサンゴ礁『石西礁湖(せきせいしょうこ)』で、全体の84%のサンゴに白化が起きたことが環境省の調査でわかりました」
84%も!? それは相当深刻ですね。
渡久地政彦さん「はい、サンゴは沖縄の生態系の中心であり漁業や観光業にも大きな影響を与えます。また、海水温が上がることで台風がより強くなる傾向があります」
確かに、最近の台風は強いですし停滞することも増えましたね。
渡久地政彦さん「はい、温暖化による「気候変動」がまさに私たちの日々の生活を脅かしているのです。ただその日々の生活を少し変えていくことで『気候変動』に影響を与えることができます」
3『私たちにできること』

我々がすべきことは何でしょう?
渡久地政彦さん「例えば、エアコンは扇風機と併用する。扇風機と併用することで冷房効率が上がりエアコンの設定温度を1~2℃上げても体感温度を下げることができます。また、電気代も抑えられます」
「車に頼りすぎない移動を心がける。近場は自転車や徒歩を活用することで運動不足解消+ガソリン代節約。バスやモノレールを利用すると、交通渋滞や温室効果ガス削減にも貢献できます」
「太陽光発電を検討する。自宅にソーラーパネルを設置すれば、電気代を抑えながら環境貢献できます。また、小規模でも「ソーラー充電器」や「ポータブル電源」を使うことで電気の自給率を上げられます」
なるほど!毎日のちょっとした工夫が、沖縄の未来を守る力になるのですね!
渡久地政彦さん「はい、ぜひ今日からできることを始めてみましょう!」
きょうは琉球銀行サステナビリティ推進室の渡久地政彦(とぐち まさひこ)さんにわかりやすく解説していただきました。渡久地さんありがとうございました。
渡久地政彦さん「ありがとうございました。」
ここまでビジネスキャッチーでした。