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ここからは早わかりビズ。りゅうぎん総研の研究員にお越しいただいて、県経済の動きをわかりやすく解説いたします。きょうの担当は城間 櫻(しろま さくら)さんです。よろしくお願いします。

城間櫻研究員「よろしくお願いします」

今回のテーマはこちら。「国発注公共工事の経済効果」についてです。今回は、建設業にスポットを当てて調査をされたのですね。

城間櫻研究員「はい。建設業は、沖縄県の経済を支える重要な産業です。産業構造をみると沖縄県の県内総生産における建設業の割合は11.2%と、全国を上回り、特に重要な位置を占めていることが分かります」

「工事には、国や県、市町村等から発注される公共工事とホテルや商業施設等といった民間から発注される工事がありますが、今回は高水準での推移が続いている国発注の公共工事を取り上げ、沖縄県内にもたらす経済効果を算出しました」

私たちの生活に欠かせない「インフラ整備」その発展が県経済の成長に大きく寄与しているわけですね。今回は国発注の公共工事に焦点を当てたとのことですが、その理由は?

第8回 早わかりビズ「国発注公共工事の経済効果」ビジネスキャッチー

城間櫻研究員「こちらのグラフをご覧ください。公共工事の金額の推移を見ますと2021年度から高水準で推移し、特に国発注の公共工事が押し上げていることが読み取れます」

「そこで今回は、この工事の増加がいかに県経済に利益をもたらしているのかを量的に分析するため、経済効果の試算を行いました。試算にあたっては、沖縄総合事務局と沖縄防衛局の発注金額のうち県内企業が受注した工事について、経済波及効果を算出しました」

「2023年度は防衛関連工事や、道路・橋梁等の大型工事が多くみられ、その結果、国発注公共工事による経済効果は1,874億2千万円と試算されました」

かなりインパクトのある数字ですね!分析から見えてきた課題もあるのでしょうか?

城間櫻研究員「はい、国発注の公共工事が県経済に大きなインパクトを与えていることは事実なのですが、一方で、全体の発注金額のうち県内企業が受注している金額は4割ほどに留まることが分かりました」

第8回 早わかりビズ「国発注公共工事の経済効果」ビジネスキャッチー

大規模な工事は共同企業体(JV)と言われるチームを結成して受注することが多く、2社や3社で協力して工事を請け負います。その場合はJVを構成している企業で協議して分担割合を決める必要があり、その割合でそれぞれの企業の取り分も決まります」

「例えば、3社で結成されるJVの場合、国のルールで最低割合は20%以上と決められており、A社、B社、C社の割合はそれぞれ50:30:20となるケースが多いです。例えば10億円の工事を受注した場合はこのような配分となります」

「より大型の工事になると、A社、B社は県外の大手企業となり、県内企業はC社のみ、といったケースも多くみられます」

なるほど。沖縄県内で工事が行われているにも関わらず、実際に県内企業が受注しているのは2割程度となってしまう、そんなケースもあるのですね。

城間櫻研究員「その通りです。ただ実際には、県外企業が受注している場合でも、下請けや資材関連等を県内企業が担うことで、その金額の一部は県内に循環していると考えられます」「しかし、経済効果をさらに拡大させるには、やはり県内企業が元請けとして工事を受注する金額を高める必要があります」

第8回 早わかりビズ「国発注公共工事の経済効果」ビジネスキャッチー

「そのため、各局では、県内企業の受注を促すための施策を打ち出しています。今回は沖縄防衛局の三沢調達部長にその取り組みを伺いました」

沖縄防衛局 調達部 三沢部長「防衛施設の整備は、沖縄県内の企業の皆様が積極的に参入いただくことで沖縄県内の経済発展にもつながるものと考えております」

「施策として、参加企業及び技術者に対する工事実績等の参加要件の緩和に加え特定JVの構成員として参加する場合においても、地元企業が幅広く入札に参加できるよう競争参加資格を緩和するなどの工夫をしております」

「また、県内企業向けの説明会を開催し、令和6年度はこれまで離島も含めて32回実施しました。今後も県内建設業界のご意見を伺いながら、より多くの県内企業が参加していただけるよう取り組んでまいります」

県内の建設業の皆さんが工事を受注しやすいよう、各局では様々な工夫をされているのですね。ほかに、経済効果を高めるために必要なことはありますか?

城間櫻研究員「はい。先ほどもお伝えした通り、大規模な工事はJVの構成員である県内企業の受注割合が小さくなってしまうことが多いため、その割合を引き上げることが有効な手段であると考えます」

第8回 早わかりビズ「国発注公共工事の経済効果」ビジネスキャッチー

「先ほどの例でお伝えしますと、C社の割合を5%引き上げることで国発注の公共工事の経済効果は115億円増加すると推計されます」

この割合が引き上げられることで、県内に大きくプラスの影響があるのですね。

城間櫻研究員「そうですね。これからも県内では多くの公共投資が見込まれます。それらを県経済の発展にしっかりと繋げていくためにも、沖縄総合事務局と沖縄防衛局には、県内企業の参入機会の拡大と、受注額増加に資する取り組みを期待したいです」

県経済に大きな影響を与えているだけに今後の動向にも注目していきたいですね。きょうはりゅうぎん総合研究所の城間さんにわかりやすく解説していただきました。ありがとうございました。

城間櫻研究員「ありがとうございました」