沖縄の今を見つめる「IMAGINEおきなわ」今回は「しまくとぅば」についてお伝えします。
沖縄の言葉は「消滅危機言語」とされていますが、世界には、一度消滅したのちに再び話されるようになった言葉もあります。そのひとつがマン島の言葉です。グレートブリテン島とアイルランド島の中間にあります。言語復興の鍵とは何なのか、考えます。
沖縄本島のおよそ2分の1の面積の「マン島」(英国王室属領)昔から英語とは違う独自の言語が話されてきました。
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ロバート・ティアラさん「わたしはロバートです。アイルランドから来ました。この島の言葉を学びにきました。美しい場所です。」(マン島語)
マン島語の記録や継承の仕事に携わるロバートさん。この日は島の人々と交流するため石垣島を訪れていました。昔、マン島では多くの人が「地元の言葉を話すのは恥ずかしい」と感じていたといいます。
ロバート・ティアラさん「昔は英語を話すことがステータスだったから上手な英語を話して島の外に出ようとする人が多かった」
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40年前に最後のネイティブスピーカーが亡くなり島の言葉は失われてしまいました。
ロバート・ティアラさん「私たちは自分たちの文化を失って全てがイギリスのものになってしまった」
このままではいけないと島の文化を見直す動きが活発になり(約35年前)ゼロから言葉を学んだ新しい世代、「ニュースピーカー」が誕生したのです。
ロバート・ティアラさん「学校がゲームチェンジャーだった」
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全ての教科をマン島語で教える小学校が開設されたことで(2011年)100人ほどだった話し手が、現在はおよそ2500人になりました。
「英語でしか教育をしない学校に比べて全ての教科の成績があがった。今はマン島語の学校に入れたいという保護者が増えた」
ニュースピーカーを増やすためには、なにが重要なのでしょうか?
ロバート・ティアラさん「ニュースピーカーに寛容であること、楽しくすること、全ての世代を巻き込むこと」
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それを実践している人々が、読谷村にいました。なんだか賑やか。手にはキッチン用具?一体何が行われいるんでしょう?
読谷村 ユンタンザミュージアム 12月15日「それじゃあ 何を入れる?」「かまぶく(かまぼこ)」
様々な世代が参加し毎月開かれている「しまくとぅば講座」ここではできる限り、しまくとぅばだけでゆんたくします。
参加者 女性「若い方もいっぱいいてうれしいです」
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参加者 男性「この場では間違っても教えてくれるし怒られないから、しゃべっていてうむさいびーん(面白い)」
なかには海外からの留学生も。
ハワイからの留学生「帰国したら、ここで学んだことをシェアできたらいいなと思っています。もっと上達したいし、うちなーぐちを使う機会を見つけていきたい」
企画したのは、しまくとぅばを自ら習得した「ニュースピーカー」たちです。
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うちなーぐちうむい★プロジェクト 町田 星羅さん「一緒に話をして教えたり習ったりして、とてもありがたいなと思っています」「自信がなくても、まずは話そうと思えるようにしたいという思いからスタートしました」
うちなーぐちうむい★プロジェクト 松田美怜さん「『あなたのうちなーぐちは間違っているよ』と言ってくれる方もいますが、ここでは間違えてもいい。安全なスペースをつくりたいと思いました。」
3人のモットーは、日常にしまくとぅばを取り入れること。メッセージのやりとりを見せてもらうと。
うちなーぐちうむい★プロジェクト 平良美乃さん「日曜日に使うものはいまこんな感じになっています」「『はっし!本物のようですね。とてもいい!』と2人とも褒めてくれて」
そんな3人が考えたアクティビティ。この日は、食材に見立てた小物などを使って「沖縄料理の作り方」を話し合いました。
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ポーポーチーム「メリケンくーとぅ くるざーたー?(小麦粉と黒糖?)」「あんちょー(ふくらし粉)」
おきなわそばチーム「だし汁 くゎたくゎた~ あちらして」「出汁を温めて」
そーみんチャンプルーチーム「かちゃーち(混ぜて)」「そうそう」「くぶりらんぐとぅ(こぼれないように)」
最後にみんなの前で紹介します。
そばチーム「まかいに そばいってぃ…だし かきてぃ」「ネギ、びら。かまぶく いってぃ…うっさ。」「もっとおつゆかけるさ」(笑い)
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そーみんチャンプルーチーム「みじわちーねー そーみんいってぃ」「とぅちどぅち なとーがーや?っし かむん」「ちゃーやが?」「さらかい いりやーに、うっさ。うさがみそーれー。まーさぎさいびーん」~拍手~
「上手だったよ。私の教え子。」
ハワイからの留学生「いーりきさたん(楽しかった)」
ベテラン世代「沖縄の若い人たちも、いつでもあるものじゃないので関心を寄せてほしいなって。刺激を受けました」
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松田 美怜さん「ニュースピーカーが増えたらいいなと願っています。」「うちなーぐちは、やっぱりかっこいいと思う若者が増えると思うので、私たち3人、ぬちかじり(命ある限り)しないといけない」
ひとこと、ひとこと。若者もベテランも。楽しみながら日常で話すことがニュースピーカーへの第一歩なのかもしれません。
しまくとぅば講座は、読谷村のユンタンザミュージアムで今月23日(日)と、来月9日(日)にも開かれます。
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