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最近では、本を「読む」のではなく本を「聞く」というスタイルが広がりを見せていますが、舞台朗読の世界も新たな広がりを見せています。今年84歳になる舞台朗読家、熊澤南水さん。舞台朗読を通して沖縄には35年足しげく通って裾野を広げてきました。朗読を通して伝えたいものとは その想いに迫りました。

今月13日オペラと語りで紡ぐ舞台「蝶々夫人」が浦添市で開かれました。このオペラは、アメリカ海軍士官兵に見初められた長崎の妻、蝶々さんの「真実の愛と信じつつも、夢破れ全てを失う」という悲劇を描いたものです。通常オペラ歌手によって歌われる部分をストーリーテーラーとして舞台朗読家を起用。

舞台朗読家 熊澤南水さん 言葉の大切さを伝える舞台朗読家

黒島舞季子さん「ちょっと古風なというか古典的な趣が雰囲気にある方とおもったら南水さんの舞台を見た時に、この人しかいないと思って」「あの年齢で若い人に負けないぐらい、それ以上のエネルギーがありますよね。」

舞台 語り部分「これが、私の知る蝶々さんの全てございます。蝶々さんは、武家の娘としてどこまでも誇り高く生きた女性でした。」

舞台朗読家、熊澤南水さんは、今年84歳。樋口一葉や山本周五郎などの作品を中心に全国各地で朗読公演を行っています。那覇市からも表彰を受けるなど沖縄県内でも舞台朗読の裾野広げる活動をしています。2か月に1度、自らの公演の合間には沖縄に滞在し、後輩たちの育成にも力を入れています。

稽古、内海夢子さんの稽古「店の人はそうやって勧めたその机はひどい有様でした。」

舞台朗読家 熊澤南水さん 言葉の大切さを伝える舞台朗読家

熊澤南水さんの指摘「この語り手のこの人はいくつぐらいに設定していますか?」「20代後半から30代の青年。」「そうですよ、売り手側の店主が今同じ年代か、ちょい上ぐらいにしか聞こえないのでこの店主をもうちょっと年配の人に設定したほうが、話しの凹凸が出来て聞いているひとが分かりやすいかな」

内海夢子さん「いつまでも追いつけない先輩で、ずっと先を走って下さっていて、こんな先輩に巡り合えてとても幸せです」

熊澤さんは、小学6年生の時に家庭の事情で養子となり青森から東京の学校に転校します。そこで津軽なまりを笑われたことが言葉へのこだわりのきっかけになったと話します。

熊澤南水さん「今言葉で笑われているんなら将来言葉で生きてみようと思ったの。それが、12歳のときだったんですね。それが多分私の朗読=言葉につながったんだと思うのね」

そして、5人の子育てがひと段落した40歳のときに言葉で生きる覚悟を決め朗読を学び始めます。

舞台朗読家 熊澤南水さん 言葉の大切さを伝える舞台朗読家

熊澤南水さん「40歳は、私にとって、大きな転機でした。絶対にプロになろうと思っていた」

沖縄工業高校

「おはようございます!」

この日、熊澤さんは、生徒たちに読書をするきっかけを作ってほしいと、この学校が企画した「耳で楽しむ読書体験」に講師として招かれました。参加したのは、1・2年生およそ600人。

本を持たないで語り続けるのが熊澤さんのスタイル。山本周五郎の「糸車」は、江戸時代のお話。家が貧しく養子にに出された主人公お高は、決して裕福ではなかったものの幸せに暮らしていました。しかし産みの親の家庭が裕福にり彼女を引き取ろうとします。

「高さんこちらへ戻っておくれ!この西村の娘になっておくれ、わたくしには、あの家を忘れることができません。」「ただいま戻りました。」「どういうわけで帰った?」「幸せとは親と子がそろって、たとえ貧しくて一椀の粥をすすりあっても、親と子がそろって暮らしていくそれが何よりも幸せだと存じます。」「私には、あなたが、ただ一人の父上です。」

気持を言葉にのせおよそ35分間語り続けました。

学生「普段あんまり本を読まないんですけど、昔の時代の雰囲気とかが改めて分かりました。」「とても感動しました。人が話して、自分たちが聞くというのはもっと頭にすっと入ってくる」「主人公目線で考えられるというのは、朗読のいいとこでもありますし、受けて良かったなと思います。」

舞台朗読家 熊澤南水さん 言葉の大切さを伝える舞台朗読家

熊澤南水さん「ちゃんと受け止めてくれたと思います。こちらが難しいかなって思わないで何でも与えることでちゃんとcatchしてくれるものをもっていると思っています。そう思っています。」

言葉にこだわりを持ち続ける熊澤さんにとって舞台とは。

熊澤南水さん「生き甲斐です。舞台があることで元気でいられると思います。これからもですから、私は生涯現役で行こうと決意しているのね、いま84歳で年女ですけど、まだまだ頑張れるぞというところがあります。いろんな故障もでてきますけど、そんなことには負けてはいられないと思っております。」

舞台朗読家 熊澤南水さん 言葉の大切さを伝える舞台朗読家

言葉で生きると覚悟し朗読と出逢えたことが一番幸せだと話す熊澤さん生涯現役を目指しているということです。