琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。 きょうのテーマ「マダラチョウたちはどこへ?」です。
湊和雄さん「例年よりも約1ヵ月遅れでツワブキが満開になっています。例年ならば、ここにマダラチョウの仲間や他のチョウたちが集まってくるのですが、今年はほとんどその姿が見られません」
ではVTRをご覧いただきましょう。
湊和雄さん「ツワブキがやっと満開になっています。この光景は例年なら12月に見られます。本土では秋の花ですが、亜熱帯沖縄では冬の花なのです。このようにたくさんの花が咲いているのに、花にはチョウの姿が見られません。冬の風物詩として見慣れた光景が見られないのは、ちょっと異様に感じます。これは2021年1月19日に放送したときの映像です」
4年前ですね。
湊和雄さん「ツワブキの花で蜜を吸っているのはアサギマダラ。本土との間を渡り鳥のように長距離移動するチョウです」
旅をするチョウですね。
湊和雄さん「ええそうです湊和雄さん「アサギマダラの隣りに飛来したのはリュウキュウアサギマダラです冬というか、かつては一年を通して沖縄で最も多いと言ってもよいチョウでした」
4年前はそうだったんですね。
湊和雄さん「はい、撮影していたら、次々と同じ花にやって来ました。冬のツワブキでも、このリュウキュウアサギマダラが主役でした。日本最大のチョウ、オオゴマダラも ときどきツワブキの花にやって来るものでした。今年は、このような光景がほとんど見られません。この傾向は3年前から感じられたのですが、今年はツワブキの開花が遅れたため、一層顕著に感じられます」
だいぶ変化があったんですね。
湊和雄さん「そうですね。ここから今シーズンに戻りますが、やっとツワブキの花で見つけたのがオオハナアブ。盛んに蜜を吸っていますね。ほぼ日本全国に生息していますが、温帯では春から秋の活動です。やはり花を見ていたら、アリも盛んに活動していました」
いますね!たくさん!
湊和雄さん「体長2〜3mmの働きアリでオオズアリの仲間だと思われます。温帯の本土ではアリは冬眠するイメージがありますが、さすが亜熱帯ですね。やっとチョウも見つけました」
安心しました。
湊和雄さん「オキナワビロードセセリです。やはり例年の常連ですが、やんばるでも中部でも1箇所で複数が活動している姿が見られました。花から花へと盛んに移動しながら蜜を吸っていました。マダラチョウの仲間の他にジャコウアゲハ、アカタテハ、アオバセセリ、クロツバメ(蛾)などもツワブキの花の常連なのですが、今季はほとんど見られません。リュウキュウアサギマダラは、冬の暖かい日にはツワブキなどの花を訪れ、寒い日には枯枝に集まって集団を作るのが風物詩でした。しかし、この光景にも今年は未だ出合っていません」
心配ですね。
湊和雄さん「12月前半までは、例年のようにマダラチョウの仲間や他のチョウたちもたくさん活動していたのですが、後半になって急に見られなくなってしまいました。一体何が起こっているのでしょう?地球温暖化は年間を通して高温なのではなく、冬の冷え込みは厳しいのも特徴と言われます。その影響でしょうか?」
今回も貴重な映像ありがとうございました。リュウキュウの自然でした。