今年は1945年の沖縄戦から80年の節目の年を迎えます。QABではことし「たどる記憶つなぐ平和」と題して、毎週木曜日に戦争に関する企画を放送します。
1回目の今回は、戦争体験者の声を聞くことが年々難しくなっている現代において、私たちはこの80年という節目をどう迎えるべきなのか一緒に考えたいと思います。
2025年が幕を開けた沖縄。新年を迎え、県民は新年の願いや抱負を新たにしていました。
「仕事を第一に頑張りたいです」
「(高校生活も)今年が最後なので、友達ともいっぱい遊んだりとか勉強も大変ですけど、思い存分楽しんで、いっぱい思い出作れたらいいなと思います」
「いつもみんなが元気になれますようにって」
「健康で、仕事もうまくいくように。家内安全。そういう一年にしたいですね」
学校や仕事・健康。様々な思いを募らせている今。社会問題を抱えながらも明るい希望を持つことができる現代。しかし、未来を描くことさえ難しい時代がありました。80年前、この島は戦場だったのです。
今から80年前の1945年。沖縄では苛烈な地上戦が展開されていました。
県民は住む場所を追われ、鉄の暴風から逃げ続けました。若者は戦いに動員され、学ぶこと、友達と遊ぶこと、青春を謳歌することもできませんでした。
沖縄戦では軍民あわせておよそ20万人の尊い命が奪われ、県民の4人に1人が亡くなったとされています。
戦争からなんとか生き延びた人も肉親や友人との別れを経験、見慣れたはずの光景も焦土と化しました。
あのつらい経験・悲惨な戦争は繰り返してはいけないと戦後、多くの戦争体験者たちが平和の尊さ、戦争の悲惨さを訴え続けました。
上原米子さん「戦争っていうのはね、もう二度と体験したくない。体験させたくない」
中山きくさん「沖縄戦を体験して人間にとって世界中の人間にとって一番やっていけないのは戦争だと思っています。沖縄戦は人殺しと破壊。どんなことがあっても戦争は止めなければならない。」
しかし、時は流れ、沖縄戦から80年が経ち、戦争体験者の数は年々減少。それとともに、戦争の悲惨さを訴える貴重な声を直接聞く機会は少なくなっています。
世界では、戦争の惨状を忘れたかのように紛争や争いが続き、あの戦争を経験した沖縄のすぐ近くでも「台湾有事」を懸念する声が聞こえてくる現状。
南西諸島での防衛体制強化のため自衛隊の増強が進む中、戦争体験者からは「戦前」を思わせるとの声があがります。
宮城政三郎さん「絶対に言い残しておかないといけないと。今の情勢を見たら戦前に逆戻りするみたいな。戦争が終わって平和で自由になったその平和と自由のありがたさというのは(終戦の時ほど)思ったことない、それを私は伝えたい」
瀬名波榮喜さん「今や戦雲、沖縄上空に漂っているということ」
ありったけの地獄を集めたとも表現される沖縄戦。その沖縄戦を生き延び、つらい時代を必死に乗り越えてきた先人たちの努力のもとに、今を生きることができている私たち。
私たちが求める「平和」とは何か?沖縄戦では何が起き、何をもたらしたのか?
体験者の声が聞ける今、あの出来事をそして平和の尊さを考える大きな転換点ともいえる節目の今年。
私たちには目を背けず、向き合うことが求められています。