首里城の復興を追いかける「復興のキセキ」です。早いもので、正殿の完成まであと2年となりました。QABでは今年も、復興の軌跡を追いかけてきました。その模様をVTRで振り返ります。おととし11月にスタートした 首里城正殿令和の復元工事!
去年9月、建設途中の正殿を覆う「素屋根」の中で柱や梁などをくみ上げる作業が始まると…12月には 正殿の面影が浮かび上がってきました。
工事開始から2年目を迎えた今年どんな動きがあったのでしょうか。
真剣な表情で手を動かすのは「宮大工」たち。今回の復元には全国各地、うちなーんちゅ大工も含め、47人が携わってきました。
今年1月からは、屋根に瓦をのせるため「垂木」と呼ばれる部材を据え付ける作業が始まり5月になると… 軒回りの工事が無事に完了。白木のままの美しい正殿が目の前に現れました。
木工事が一段落したことを祝して装束姿に身を包んだ関係者が建物の悠久の安泰を願う「工匠式」も厳かに執り行われました。
宮大工(北中城村出身)後藤亜和さん「どんどん変わっていく首里城を見ていたので無事に上棟まで迎えられて感動している」
宮大工(那覇市出身)上原翔悟さん「首里城、沖縄を愛する世界中の人々からの支援でなされている工事それに恥じないよう一日一日自分に嘘のない仕事をしていきたい」
現在は、内装工事が着々と進められています!2024年の再建の見どころとされていたのが「瓦工事」です。今年2月与那原町の工場で窯入れが始まりました。実は令和の赤瓦にはある特別な思いが込められています。
島袋瓦工場 島袋義一社長「火災にあった瓦を粉砕してもっとつぶしてパウダー状にしたものを『シャモット』という。平成の復元の時の職人の思いを 少しでも令和の復元にも思いを込めて復元しようということで、原料に還元している」
今回復元される瓦の原料のひとつになっているのは、5年前の火災で破損した いわゆる「平成の瓦」を砕きパウダー状にした「シャモット」です。
当山瓦工場・当山詠樹さん「みなさんの思いを形にしてこの瓦に詰められたのは良いことかなと思う。前の首里城の赤瓦よりも…というわけではないが、今回も素敵な赤瓦だと言ってもらえるような瓦になればいい」
そして7月。
儀間純記者「首里城の屋根に使用される赤瓦がフォークリフトでゆっくりと、慎重に搬入されていきます」
平成の復元に込められた思いを受け継いだ「令和の赤瓦」1枚1枚職人の手で丁寧に取り付けられていき…瓦の赤と漆喰の白のコントラストが目を引く屋根が見られるようになりました。
焼失した彫刻物などの復元も同時に進行中!11月に公開されたのは、火災後、世界中から寄せられた寄付金を活用して制作された「透欄間(すかしらんま)」と呼ばれる彫刻物です。
彫刻家(南風原町出身)・儀保克幸さん「(欄間を)起こした時に レリーフ状の唐草文様がすごく美しくて思ったより迫力があっていい出来栄えになったと思う」
その他にも国王のプライベート空間に並ぶ「御差床の龍柱」や玉座の後方に設置される「内法額木(うちのりがくぎ)」なども納められました。こうした製作物は今後、彩色を経て正殿の現場に再び運び込まれる予定です。
今年の復元も見どころ盛りだくさんでしたが来年、2025年はどんなことが予定されているか見ていきます!
令和の正殿には新しい「赤」が採用されます!根拠となったのはある「古文書」”首里城正殿の工事があるので先例に倣い『久志間切』で調達するように”と記されていたんです!
この資料から首里城独自のあの「赤」は現在の名護市から東村辺りを指す久志地域でとれた「天然材料」を使っていたことが分かりました。様々な調査や試作を経て、新たな正殿には琉球の首里城と同じく「久志間切弁柄」と呼ばれる県産顔料が使われることになりました。
平成の首里城で使用された市販の弁柄と比べると色の違いはご覧の通り。現在正殿では、漆などを用いた塗装が進められていますが、久志間切弁柄は来月末にも正殿の1部分から塗られていく見込みです。
その他にも、巨大な龍の焼き物 「龍頭棟飾」や阿吽の獅子をモチーフにした鬼瓦などの製作物の作業も進んでいて来年、屋根に設置される予定です。県内外、多くの職人が携わり在りし日の姿を徐々に取り戻している正殿。完成まであと2年です。
来年(2025年)も楽しみ~目が離せませんね!実は来年、これまで再建の舞台として活躍した素屋根が秋に、木材の加工・保管の場として使っていた木材倉庫が夏にも解体される。また木工事を担ってきた「宮大工」さんもほとんどが来年2月までに首里城の現場を去る予定だそうです。
令和の復元テーマは”見せる復興”日々変わっていく現場、今しか見られない職人の技をぜひ目に焼き付けてください。(現場の御用納めは来週(金)、仕事始めは6日(月)の予定)