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復元が進む首里城の今、人々の思いを紹介する「週刊首里城」です。奈良時代、琉球王国だった沖縄に梵鐘を寄せた山口県。その山口から県出身の彫刻家が思いを込めて制作した彫刻物が530年ぶりに再び沖縄に届けられます。彫刻物に込める思いとは?

山口県山口市。沖縄とは違う山々の紅葉が広がる山口ではかつて琉球王国の歴代王をまつる王家の菩提寺円覚寺の梵鐘が造られました。

第16回 週刊首里城 縁と絆が生む彫刻上原一明さん

山口大学 教育学部 上原一明教授『山口で作られた梵鐘が尚家の菩提寺である円覚寺に収められていると、そういうことを考えると今回の仕事をするにあたって』『530年ぶりに山口で作られたものが沖縄に納品されるっていうことになるので、その辺りそのあたりが私が山口に来た何か一つのご縁なのかなと今感じてますね』

山口大学教育学部の教授で彫刻家の上原一明(うえはら・かずあき)さんは、県立芸術大学を卒業後東京藝大や台湾の大学に進学。

沖縄や台湾・中国で造形物を手がけるほか、琉球王国の菩提寺である円覚寺の梵鐘を造った鋳物師の氏寺(うじでら)興隆寺菩薩像(こうりゅうじ・ぼさつぞう)の台座を復元しています。

彫刻家として豊富な経験を持つ上原さんに県が制作を依頼。快く引き受けました。

山口大学 教育学部 上原一明教授『これ樹齢300年の尾州檜です。はい。もう私もこれ、こんないい檜は初めてですね』

第16回 週刊首里城 縁と絆が生む彫刻上原一明さん

上原さんが制作しているのは首里城正殿の正面にあたる向拝奥の彫刻物。長さはおよそ3メートル、厚さ6センチの尾州檜(びしゅうひのき)が4枚重なっています。令和の復元では平成の復元にはなかった獅子が加わり牡丹と唐草文様の彫刻が施されます。

山口大学 教育学部 上原一明教授『これは上の透かし欄間とか、あと両サイドにある大獅子も同時に獅子として作られていますので、その獅子も参考にしながら、あと第1その当時の本物の写真ですね、その当時の写真をじっくり観察しながら獅子も彫りました』

復元にあたり重要な資料があったからこそ作業は順調に進んでいるといいます。唐草文様の葉の部分はわずかに反っているように仕上げ、葉の裏は上原さんならではの工夫を施しています。

山口大学 教育学部 上原一明教授『私はちょっとこの葉裏をちょっと螺旋状に上に上げてるんですよ。(間を詰める)そこがちょっとやっぱ工夫した点ですかね。そこをちょっと強調して、そうすることでメリハリがついてきますので』

今年6月に始まった制作。今は9割ほど仕上がっています。上原さんが彫刻物に込める思いとは?

第16回 週刊首里城 縁と絆が生む彫刻上原一明さん

山口大学 教育学部 上原一明教授『沖縄と山口の絆再び』『琉球王国の尚家の時代と山口の大内時代の大内の繋がりですね。530年ぶりに山口と沖縄が繋がったそれを絆がまた再び起こった』『やはり琉球王国の広がりの大きさというか、それを感じます』

沖縄と山口を結ぶ縁と絆。それをさらに強くする上原さんの彫刻物は2年後の正殿に姿を表します。