逮捕状と書かれた紙には住所や氏名などを記載する項目欄や関係機関の印鑑を押す所があり一見、本物と信じてしまいそうです。今年、県内では警察官を装い逮捕状などを使った特殊詐欺事件が相次いで発生しています。
今回、QABの取材に特殊詐欺の被害に遭った男性がニセ警察官の巧妙な手口について証言しました。
被害者「自分にまさかくるって思ってないからいざなったら騙されたんだな・・・」
こう話すのは本島南部に住む30代の特殊詐欺の被害者です。事件の発端は、先月13日被害者の携帯に突然かかってきた「県警の警察官」を名乗る男からの電話でした。
「あなたの口座がマネーロンダリングに使われていてあなたに逮捕状がでている」
男はやり取りのなかで被害者の氏名や住所など正確に言い当ててきたといいます。
被害者「最初に全部あてられてきているから不信感よりも焦りになってきてしまって・・・」
男は、被害者に他県で起きた事件の関与を指摘し担当する「偽の警察官」に引き継ぐ名目でLINEのアカウントを追加しビデオ通話をするよう指示しました。
被害者「担当の警察官が出てきて、そこから警察手帳みたいなIDと一緒に見せてきて・・・」
ビデオ通話では、警察手帳以外にもこんなものまで・・・
被害者「（警察官の名乗る男が）今から逮捕状を送ります、って言って逮捕状とその事件に関する紙に書いたやつを送ってきて・・・」
これが実際に男性に送られてきた偽の逮捕状。書面には被害者の氏名や住所などが記載しています。しかし、逮捕状は原則として警察が直接、容疑者に示し身柄を拘束するための書面でＳＮＳで送られてくることは決してありません。ですが、被害者は・・・
被害者「名前と自分の住所が書かれているのを見てえっまじかってなってしまって焦って・・・」
さらに、県外の警察官を名乗る男は「あなたに不審なお金が振り込まれている。出どころを調べるために口座の金を全て振り込んでほしい」と要求。
被害者「もし、これに応じてなくて今後（事件への関与が）発覚した場合差し押さえ、凍結ってどんどん言ってくるんですよ」
被害者は捜査協力と身の潔白を証明したい思いで男の指示のもと、指定口座におよそ80万円を振り込んでしまったということです。
被害者「この詐欺を知らなかったのが一番ダメだったな」
被害者「まさか自分にこないだろうと思っているのが一番良くないんじゃないかなって」
男性が証言したように特殊詐欺はとても巧妙な手口で、誰でも被害に被害に遭う可能性があります。県警によると、ことし、県内では特殊詐欺件が144発生しそのうち、ニセ警察官を語った特殊詐欺が29件、被害額は1億1100万円にものぼります。
特殊詐欺の被害に遭わないために、県警は警察が逮捕状をネットで見せることはなく、電話で金銭を要求することは絶対にない。怪しい電話や、不審な電話があれば詐欺を疑い一人で判断せず警察や家族、知人に相談してほしいと強く注意を呼び掛けています。
