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続いては、特集です。全国的にも問題となっている特殊詐欺被害ですが、先日、名護市の銀行に筆文字で被害に遭わないよう注意を促す横断幕が贈られました。この横断幕を制作者した高校生に文字に込めた想いなどを聞きました。

警察によりますと、ことしに入って県内で発生した特殊詐欺の件数は、11月29日の暫定値で138件で被害額は1億9400万円にのぼっていて、金融機関職員や役所職員になりすましてキャッシュカードをだまし取る詐欺や、警察官を語るオレオレ詐欺が相次いで発生しています。

被害を無くすための対策が急がれるなか、名護市の銀行に「ある横断幕」が掲げられました。「渡ちぇーならんど キャッシュカード」。詐欺への注意喚起として訪れた人の目を引いています。

コザ信用金庫 島尻育慶さん「言葉で聞くよりも目で見て画像として記憶に残ることにより、より一層そういった犯罪を防止することにつながるのではないかと思っています」

「渡ちぇーならんどー」若き書道家が横断幕で特殊詐欺へ注意喚起

名護警察署 高島久典副署長「字の温かみ、表現力、柔らかさ」「世界にひとつしかない、オリジナルな作品だと思っています」

この横断幕を製作したのは市内の高校に通う島尻鈴菜さんです。名護警察署に依頼を受け、銀行を利用する高齢の人たちに伝わるよう工夫をこらし、方言のメッセージにしたほか文字の形もオリジナルにして見やすく書いたといいます。

島尻鈴菜さん「警察や金融機関の人はキャッシュカードをとらないので、渡さないという方言を使いました」

「渡ちぇーならんどー」若き書道家が横断幕で特殊詐欺へ注意喚起

島尻さんは幼いころから書道を始め、今では様々な展覧会で最優秀賞に選ばれるなど実力は十分。高校生活を送りながら、ボランティアで地域のイベントの看板制作などをしていて、その腕前を披露していたところ、それを目にした警察署が今回の横断幕を依頼しました。

練習では一文字に1分程かけて書き上げることも多いと話す島尻さんは、集中力を高めたいときに聞く音楽もあるようで、、、

島尻鈴菜さん「ラップ系です。リズムが大切なので」「(書道は)書けば書くほど形もまとまっていくし、良い作品になっていくのが目に見える。そこが一番楽しい」

「渡ちぇーならんどー」若き書道家が横断幕で特殊詐欺へ注意喚起

島尻さんに書道を指導する宇良南仙さん「1枚2時間以上かかる1作品を完成するまでの精神力とか気力とかとてもすり減るのでそういう中でもどんどん枚数を書きあげていくところを見るとさすがだと思います」

納得がいくまで何度も書き続け完成した今回の横断幕。その寄贈先は父親が務める銀行でした。

コザ信用金庫 島尻育慶さん「びっくりしました」「幼稚園生のころから書道を始めていろいろと最優秀賞とかをとっているなかで、成績・功績があるおかげで娘のところに話がきたと思っていますので、これからも頑張っていってほしいと思います」「非常に誇らしいと思います」

「渡ちぇーならんどー」若き書道家が横断幕で特殊詐欺へ注意喚起

島尻鈴菜さん「(お父さんはそういっているけどどうですか?)うれしいです」「(これからも)地域貢献していきたいなと思う」

若き書道家の地域への思いが詰まった横断幕は、これからも特殊詐欺から市民を守れるよう見守り続けます。

県警によりますと、先週金曜日までの2週間でも還付金詐欺と預貯金詐欺は17件発生するなど、県内で多くの被害が出ています。

これらは市役所や金融機関の職員を名乗る犯人が「保険料の還付がある」などと電話をかけて、ATMを操作させたり、キャッシュカードを受け取りに来たりして現金をだまし取るというものです。

犯人は「きょう手続きをしないとお金を受け取れなくなる」と焦らせたうえ、「キャッシュカードが使えなくなる」「手続きをこちらでしておく」などと言葉巧みにカードをだまし取っています。

警察は、市役所や金融機関の職員がクレジットカードを受け取りに来ることは絶対になく、こうした電話を受けた時はひとりで判断せず、必ず周りの人や最寄りの警察署などに相談して被害にあわないようにしてほしいと注意を呼びかけています。