一人暮らしの高齢者の「孤独死」が全国的に問題となっていますが、亡くなった人の「遺品の整理」や「清掃」を行う業者を取材しました。「孤独死」の増加する背景には、家族との疎遠があることがわかりました。
遺品整理業者「みんな手を合して」
本島中部のアパート一室。感染症を防ぐためガスマスクに防護服、そしてゴーグルを身に着け作業を黙々と行うのは特殊清掃スタッフたち。今年7月、この部屋で一人暮らしをしていた70代の男性が亡くなりました。死因は、心不全。死後1か月ほど経った状態だったということです。
遺品整理業者國吉代表「一旦これ出したらこの辺を1回出そう。畳をあげよう」
遺品整理業者國吉代表「70代の男性の方で、部屋で孤独死をされていまして遺族から依頼がありましてお仕事に入ることになりました」
こう話すのは、亡くなった人の遺品の整理や片付けを行う特殊清掃遺品整理社の國吉吉仁(くによし・よしひと)代表です。
國吉代表は今からおよそ20年前、テレビ番組で誰にも看取られず遺品を1つずつ丁寧に仕分けや片付ける映像に心を打たれ、会社を設立しました。
遺品整理業者國吉代表「部屋の中で誰にも見取られず一人で亡くなっていった方々の部屋をきれいにしていく、何事もなかったかのようにきれいにしていく仕事です」
遺品整理業者國吉代表「亡くなった方、倒れた方に敬意を払いまして亡くなってはいるんですけど寄り添う感じで遺品整理だったり特殊清掃を行っております」
部屋からは腐敗臭がするため、近隣の方に迷惑がかからないよう窓を閉め切った状態で作業が進められます。この日の気温は30度を超えています。防護服を着ての作業は過酷そのものであるといいます。
そんな環境でも作業員たちは連携を取って、素早く男性の部屋から遺品を出していきます。依頼者から「部屋のものは全て処分をしてほしい」と言われるケースが多いと言いますがそれでも國吉さんは写真やアルバムなどが部屋から出てくると大切に保管をして依頼者に手渡すと感謝の言葉や涙を流して思い出に浸る人もいると言います。
警察庁によりますと、今年1月から6月に警察が認知した自宅での孤独死の数は3万7227人でした。このうち、亡くなってから半月以上経って見つかった人は7000人を超えています。
孤独死は年々増加しており、遺族が遺品整理に立ち会えないケースも多いです。
今回作業にあたった業者では、、孤独死した遺品整理の依頼の件数は月に10件ほどだということですが、コロナ以降と件数はあまり変わらないものの孤独死の内容が変わって来ていると言います。
遺品整理業者國吉代表「件数はさほど変わりません。ただ内容が変わっています。実例で言いますと、居酒屋の店員だったんですけどコロナ禍でお店が閉店してやむ終えず外の仕事、日雇いの仕事を入れてそこで帰って来て熱中症で亡くなる。(孤独死は)ご高齢の方のイメージなんですがそういったケースもあります」
國吉代表は沖縄ならではの特徴があるといいます。
遺品整理業者國吉代表「孤独死される方の部屋にあるのがほとんどお酒絡みでビール瓶や紙パックなどアルコールのゴミが多いです。そのまま熱中症でという流れになっているのかなと。生活保護を受けている方のお部屋はエアコンがありません。扇風機1台」
今回、遺品整理業者へ依頼したのは亡くなった男性の遺族でした。男性は、20年以上も家族と疎遠になっていたということです。
遺族「いつかはあるだろうというのは心のどこかで持ってはいたんですけど、連絡先が(男性の住宅に)あったということで今回連絡がありました」
遺族「コロナが明けてコミュニケーションの場が携帯などといった通信機器でしかできない世の中になっているのもいろいろあると思うし、間違いなく感じていることはものすごい勢いで(孤独死が)増えて来るだろうなと実感しています」
遺族「僕はそういう時間を過ごしてしまったことによって少しでも同じことを感じている方もいると思うんです。日ごろ電話でもしてみようかなとか人って電話1本するだけでも心が和らぐそういう感情になると思うので気に掛ける自分自身は今後、自分の周り、知人がそういうなるのはあり得るので挨拶とか少しの気遣いを持つというのは自分が生きている間感じていたい」
國吉代表も日ごろからのコミュニケーションや地域のコミュニティなどに参加することで孤独死を防げるのではないかと考えます。
遺品整理業者國吉代表「大好きな人とかそういった方々に孤独死をしてもらわないためにコミュニケーションが必要なのかなと思います」
遺品整理業者國吉代表「地域のコミュニティーに参加をするのと今はテクロノジーが発展していますのでスマートフォンや人感センサーとかで生存確認など活用するのも一つの手かなと思います」
遺品整理業者國吉代表「電話1本でお元気ですか?の一言でいいと思います」
遺品整理の現場から見える孤独死の現状。今後、増加することが懸念されている孤独死への対応が求められます。
今回取材した業者は「孤独死」を防ぐために・家族や友人と密に連絡をとる・在宅介護サービスの利用する・民間の見守りサービスを利用する・地域コミュニティへ積極的に参加するなどがあげられました。
一人暮らしの高齢者が突然亡くなった場合、遺品の整理や部屋の清掃などどう対応していくか、孤独死の問題とともに考えていく必要があります。