自衛隊とアメリカ軍は、台湾有事を想定した作戦計画で南西諸島とフィリピンにミサイル部隊を配置する方針であることがわかりました。
共同通信によりますと、自衛隊とアメリカ軍は来月中に台湾有事を巡って共同作戦計画を策定する方針で、このなかで南西諸島にはアメリカ海兵隊、フィリピンにはアメリカ陸軍のミサイル部隊を配置し、中国の艦船の動きを封じ込める構想を立てています。
アメリカ海兵隊は、ロケット砲「ハイマース」を装備した部隊を展開し臨時拠点を設ける見込みで、自衛隊は弾薬や燃料の提供など後方支援を担うとされています。
2024年11月1日まで行われていた自衛隊とアメリカ軍の共同演習「キーン・ソード」では、アメリカ軍が輸送機で「ハイマース」を石垣島に展開しており台湾有事の作戦計画を念頭に置いた動きとみられます。
台湾有事にミサイル部隊が南西諸島やフィリピンに展開することで、中国側の攻撃目標となる懸念も生じてきそうです。
記者解説 日米作戦計画/中国への対抗とこれまでの流れ
ここからは塚崎記者です。今回の作戦計画、どのようなものなのでしょうか。
塚崎記者「南西諸島にアメリカ海兵隊、フィリピンに陸軍が入って、ミサイルを構える構想です。」「台湾有事の初期段階でこの構図をとることで、台湾への侵攻を行う中国軍をブロックするというねらいです。」「南西諸島やフィリピンは中国側の軍事ラインとされる「第一列島線」にあり、前線と化すことになることになりそうです。」
こうした構想ですが、今回急に、出てきた話なのでしょうか。
塚崎記者「今回の作戦計画は、ここ数年沖縄周辺で続いてきた動きの延長線上にあるものです。少し振り返っていきます。」
まず、おととし1月の日米の2+2、この中で日本とアメリカ政府が台湾有事を念頭にした作戦計画の作業開始に合意したとされています。その年の12月には日本側が、敵基地攻撃能力の保持などを盛り込んだ安保3文書を策定しました。こうした方針を日本政府の中で確認した形になります。
塚崎記者「去年ですが、3月に自衛隊の石垣駐屯地が開設。与那国、宮古と続いてきた先島への陸上自衛隊新設の区切りとなりました。」「一方のアメリカ軍も、11月には金武町のキャンプ・ハンセンに「海兵沿岸連隊」という部隊が発足させています。離島に迅速に展開する作戦に対応した部隊です。」
そして今年、2024年に入ると与那国島など各地で、空港や港など、民間のインフラも使いながら、アメリカ軍と自衛隊の共同訓練の規模拡大がみられるようになっています。
塚崎記者「時期を同じくして、台湾有事に念頭に、先島地域の住民を九州に避難させる計画などの策定も始まっています。」
ここまで駆け足でこれまでの動きを振り返りましたが、改めて今回の作戦計画、どのように考えるべきなのでしょうか。
塚崎記者「台湾有事の危険性について語られる中で、備えが必要という議論もありますが、こうした「備え」は実際に住民が住んでいる南西諸島やフィリピンという島々で行われ、ここが戦場になる危険性をはらんでいると言えます。」「台湾を巡る国際環境も冷静に分析しながら、日米の備えがいたずらに危機をあおるものになっていないか、島々に住む住民の目線で、検証していくことが必要です。」
ここまで、塚崎記者でした。