つづいてはこちら。人手不足の要因に拍車をかけている課題についてです。今年経済産業省が発表したデータによりますと、仕事をしながら家族の介護をしているいわゆる「ビジネスケアラー」が6年後の2030年時点でおよそ318万人に上ると想定されていて、その経済損失額は、およそ9兆円と試算されています。
現状を改善するため、仕事と介護が両立できる環境の整備が早急に求められています。望まない介護離職を防ぐには、どうしたらいいのか考えます。比嘉鈴代記者の取材です。
「泉とオバーの よんな~笑って介GO~」泣きながら泉さん「キツイとってもきつかった。死にたい死にたいと、いつも(テレビ局に向かう時に思っていました。」
マルチタレントとして活躍している喜舎場泉さん。9年ほど前から認知症の母初子さんの介護をしながら仕事を続けています。明るくにぎやかなキャラクターとは裏腹に介護を理由に笑えない自分に悩み葛藤した時期があったといいます。そんな泉さんが2年前から取り組んでいるのは、ゆうりきや~の山田力也さんと共に開いている講演会です。
コント「認知症の方、いぬくとぅいけーさーします。何回も何回も同じこといいます。電話でもね。しょっちゅう同じことをいいます。」「もしもし、いずみねー?あのね大事なこと聞きたい事がある」「なんねー?」「あんた体重何キロね。?」「さんじゅっきろ!」「もしもし、いずみねー?あのね大切なこと聞きたい事がある」「なんねー?」「あんた体重何キロね?」「だからさんじゅっきろってば!」「もしもし、あんた体重何キロって?」「えーなんで電話で何回も聞くのね?」「あんたがさんじゅっきろな訳ないさー」「笑 まーそーだけどさ!」
認知症の母、初子さんとの実体験を元にしたコントで会場はどっと笑いに包まれていました。
仕事と介護の両立に悩み仕事を断るようにもなった泉さん。そんな泉さんを救ってくれたのが、共に介護をしていた姪の一言でした。
喜舎場泉さん「泉が活躍することが、かーちゃんの幸せだって。だから施設に入れよう、このままじゃわたしたちダメになっちゃう」「母から学んだことは、やっぱり笑顔で介護する側が笑顔で接すれば介護される側もいつも笑っています。」
笑顔で介護を続けるためにも泉さんは、介護する側のサービスの向上も願っています。
喜舎場泉さん「会社に行くと、会社がやっている子ども預かりの保育園がありますよね。これが逆にいったら仕事場でデイサービスがあって母親父親を連れていって会社のデイサービスに行って仕事をする」「自分はもう辞めなきゃって思わないで欲しい、周りにも相談して会社にも相談したほうがいい。」
いつもいつも人を楽しませてくれる泉さんがお母さんの介護に追いつめられるほど大変な状況だとは思いませんでしたね、でもそれほど深刻な状況になるという事ですが、多くの人が直面するであろう介護。出産や子育てとは違って介護というのは突然やってくる。しかも職場では、まだまだ声を挙げづらいのも実情です。」
今月6日、仕事と介護の両立を支援しようと那覇市で講演会がありました。講演したのは産業ケアマネジャーの大城五月さんです。
産業ケアマネジャーとは企業と顧問契約し「仕事と介護の両立」に関する情報提供や社内相談窓口など、企業と働く人をサポートする人材です。働く従業員に代わって家族の病院に付き添いで同行することで、従業員が休まずにすみ望まない介護離職を選択することがないようサポートしているのです。
大城五月さん「実は、仕事を辞めたいとは思っていない。いろんな制度を活用しながら続けてきたいと思っているけど、誰にも相談できずに離職する人がいる現状です。」
大城さんが実施した「仕事と介護の両立に関する意識調査アンケート」では、介護をしながら現在の勤務先で仕事を続けられると思うか?という質問に対して「できると思う」と答えた人が13・1%。また、介護中や介護経験者へ不安なく仕事と介護を両立するために必要なことは何か?との質問では、「急な介護で仕事を休むことができる環境」「公的な介護制度の仕組みの理解」が挙げられていました。
家族の介護がまだ始まっていなくても、早い段階から公的な制度を知っておくことや企業側には従業員の状況に合わせた柔軟な働き方を整備することが必要と言えそうです。
大城五月さん「まずは、自分だけでやるという選択肢をなくしてチームを作って介護というものを進めていくんだという気持ちでやって頂きたい。」
来場者「母がリウマチになったこともあって、今後介護することもあるだろうなって思って、全く何も知らなかったので、こういうのがあるというのを見つけて、まずは、介護のことをしろうと(思って受講した)」
来場者「親の介護を控えてたので今度どこへ相談したらいいとか?どのようにしたらいいというのが分かったので不安はなくなってよかったな。」
県内で産業ケアマネージャーを起用している企業はわずか7社に留まっています。そして産業ケアマネージャーの数はまだ40人程という現状です。望まない介護離職を無くすには官民挙げた取り組みが急がれます。
大城さんは、望まない介護離職の防止、だれもが家族介護と自分のキャリアを両立できることを目的に去年「仕事と介護両立サポート共同組合」を立ち上げて自ら代表理事を務めていて全国初の取り組みだそうです。(だれもが家族の介護と自分のキャリアを両立できることを目的に去年4月全国で初めて「仕事と介護両立サポート協同組合」を設立。)
これから必要とされる職種であることは間違いないですね。ここまでビジネスキャッチーでした。