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復元が進む首里城の今、人々の思いを紹介する「週刊首里城」です。代々受け継がれるシーサーの工房、その四代目若手職人が取り組む「鬼瓦(おにがわら)」をご紹介します。

屋根に設置され、厄除けと装飾を担う「鬼瓦(おにがわら)」。かつての首里城にも鬼瓦はありました。屋根のどこにあったかわかりますか?

第13回週刊首里城 正殿の屋根に新たな造形の鬼瓦 四代続くやちむん工房が取り組む

首里城正殿の屋根を彩る、立派で勇壮な「竜頭棟飾(りゅうとうむなかざり)」の前、ここ!ここです!

読谷村。四代続く「やちむん家(やー)」の工房で黙々と作業をする1人の職人。シーサー職人の新垣優人(あらかき・ゆうと)さんです。父の光雄(みつお)さんを親方とし、ここで2カ月ほど前から新たな鬼瓦の製作に取り組んでいます。

新垣優人さん「屋根の上に居る竜頭と、下にいる龍柱はイメージあったんですけど、焼けたときに残っていて話題になったじゃないですか、ああいうのはわかっていたけど鬼瓦はわからなかったですね。初めて見ました。」

第13回週刊首里城 正殿の屋根に新たな造形の鬼瓦 四代続くやちむん工房が取り組む

今まであまり注目されてこなかった鬼瓦ですが今回、高精細化された鎌倉芳太郎の資料をもとに阿形・吽形ともにその形が大きく見直されることになり関心が高まっています。こうして見ると、かなり違いますね!

また、その製法が今回「手びねり」で作られることになったのも大きな変更点です。

新垣優人さん「焼けてしまった鬼瓦は彫りが深くて細い感じがするんですけど(離れて見たときでも釉薬とか顔の表情とかはっきりするかなと思うんですけど)今回のがそれより前のものに近づけているので幅があるので迫力的にはこっちも負けてないかなと思います。

第13回週刊首里城 正殿の屋根に新たな造形の鬼瓦 四代続くやちむん工房が取り組む

新垣さんは自分の作品で商品でもあるシーサーや龍といったやちむんと今回の鬼瓦を同時進行で製作しています。

新垣優人さん「普段作っているシーサーとか龍とかは自分が好きなもの作れるので自分の感性で作ってます。鬼瓦は原型があるので、それに近づけようと思ってサイズ測りながらやったり。このサイズ測るのがやったことないので。測り方もちょっとわからなくて感覚でやっている部分あったので大きさも合わなくなったりして直したりとか。そういうのがちょっと難しいですね。」

自分の作風を大切にしながらも、新たな形となる鬼瓦の製作にひたむきに取り組む若き陶芸職人の思いとは。

第13回週刊首里城 正殿の屋根に新たな造形の鬼瓦 四代続くやちむん工房が取り組む

新垣優人さん「火返し(ヒーゲーシ)シーサー」。シーサー自体が「ヒーゲーシ」火を返すということを目的で作られたので鬼瓦も火を返せるように、そういう意味を込めて作ってます。(子どもに)自慢はしたいですね、一緒に連れて行って、あれパパが作ったんだよって言いたいですね。」

新しい形で蘇る獅子の鬼瓦は年内の焼き上がり、そして釉薬を施され、一体成形などの行程を経て年度内の完成を目指しています。是非(竜頭棟飾だけでなく)新しい鬼瓦にも注目してください!

第13回週刊首里城 正殿の屋根に新たな造形の鬼瓦 四代続くやちむん工房が取り組む