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今を生きる人たちに注目する「IMAGINEおきなわ」です。今回は長年、国が患者などを隔離する政策をとってきた、ハンセン病について取り上げます。

特効薬が開発されてもなお、政府は、およそ90年にわたって隔離政策を続けてきました。国が隔離政策の誤りを認めた今も、回復者の人たちは社会で生きられずに取り残されている現状があります。現状を訴える回復者の男性の言葉を通して、真の意味での共生社会とは何なのか、考えます。

平良仁雄さん「ハンセン病患者はね、ハンセン病のみならず、ハンセン病患者は、国辱・国の恥である」「文明国の仲間入りするためにはね、ハンセン病患者はね、国の恥と考えてたわけです」

#IMAGINEおきなわ vol.74 ハンセン病と共生社会/回復者の想いは

ハンセン病回復者の、平良仁雄(たいら・じんゆう)さん。85歳。故郷の久米島を離れ、入所を強いられた名護市のハンセン病療養所、愛楽園。平良さんは訪問者のガイドを続けるなどして、ハンセン病問題の啓発を行ってきました。

平良仁雄さん「ここの面会室にくると、自分が隔離されている身であるということを実感する時であった」「私たち親子が久しぶりに再会したのに。なんで手を握ってくれなかったか、なんで抱き着いてくれなかったか。それはらい予防法という法律があったから。らい予防法という法律に対する怒りがわーっとこみあげてくる」

面会にきた父は、職員に見張られる中、平良さんの体に、触れることはなかったといいます。国の隔離政策の理不尽さを、訴える平良さんの姿を、QABのカメラは、収めていました。

#IMAGINEおきなわ vol.74 ハンセン病と共生社会/回復者の想いは

日本で1907年に始まったハンセン病患者の隔離政策。1996年に法律が廃止されるまで、およそ90年続きました。療養所に患者を閉じ込め、社会から排除する誤った政策は、特効薬が開発されてもなお、続けられていたのです。

平良仁雄さん「ハンセン病どういう病気だと言ってね、国は宣伝したかというと」「ハンセン病はね、不治の病で治らない。もう一つは、遺伝病である。そして強烈なね、伝染病であるというね、迷信をね」「本当このように国民にね、言いふらして、国民をハンセン病の恐怖にね、追い込んで隔離してるんですよ」「私たちは国の邪魔者」「はっきり申し上げると、戦争の邪魔者だと」「戦争の手足まといになる人間として、僕は隔離したと思う」

#IMAGINEおきなわ vol.74 ハンセン病と共生社会/回復者の想いは

小泉総理(当時)「控訴を行わないことを決定いたしました」

2001年、熊本地裁は国のハンセン病隔離政策を憲法違反と判断。司法の場で、国家の過ちが認められ、時の小泉総理も国の責任を認め、謝罪しました。そして、2019年には、国に患者らの家族への賠償を求める訴訟でも原告側が勝訴。政府が国策の誤りを認めても、隔離政策の傷痕は確実に社会に存在しています。

平良仁雄さん「ハンセン病の判決とあのときも2回ね、総理大臣が謝罪しましたよ」「だけど私達の退所者問題は、何も変わってないんじゃないですか」「一般医療機関にもね、堂々といけない」「自分がハンセン病であるということをね、知られてる恐ろしいから」「それから国賠訴訟の。その賠償金も、保証金も」「請求できない人たちが、まだたくさん残ってるわけですよ」「なぜそんなことできないのか。そんな請求したらね、家族の身内にね、知れてしまう、ばれてしまうからと、びくびくしながら生きてるわけですよ」「そのような我々を作ったのは、隔離政策」「隔離の痛みがね、ずっと残っている」「ハンセン病治ったけれどもね、その心の痛みはね、残ってる治らない」

#IMAGINEおきなわ vol.74 ハンセン病と共生社会/回復者の想いは

平良仁雄さん2021年「私たちが退所して良かったと言える社会づくりを、1日も早くお願い申し上げたい」

平良さんは県にも、ハンセン病問題の解決に向けて取り組むよう、訴え続けてきました。90年にも渡った国の誤った隔離政策は、行政機関やメディア、そして住民も、片棒を担いできた歴史があったのです。

平良仁雄さん「らい予防法に加担してね、競って隠れてるハンセン病患者を見つけ出して密告」「見つけ出してね。療養所に送ったね。ハンセン病がり運動と呼ばれ、ハンセン病患者がり」「ハンセン病患者がりのね、官民一体運動」

あす、那覇市内で開かれる、ハンセン病問題に関するシンポジウムで回復者の現状を訴える予定の平良さん。県庁で開かれた会見では、多くに人に来場を呼び掛けていました。

「沖縄の、ハンセン病回復者、退所者、非入所者、その家族の、現状を、訴えようと思ってる」「多くの仲間が、自分の過去を恐れて地域一般医療機関にも、いけない」「地域の、市町村役場の窓口にも行けない」「躊躇して生きてる。隠れて生きていると」「誰一人取り残さない沖縄県づくり。言葉だけでは作れないと思うんですよ」「頭で学んでもで仕方がない。ハートで、ここで受け止めないと。言葉だけじゃね、そんな社会作れないと思う」

#IMAGINEおきなわ vol.74 ハンセン病と共生社会/回復者の想いは

ハンセン病問題について、ニュースなどで見聞きする中で、多くの人が、「分かったつもり」になっているのではないでしょうか。国の誤った政策で今も苦しんでいる人がいることを、過去のことや、なかったことにしないためにも、きちんと向き合うことが大事だと思いました。

平良さんが登壇するシンポジウム「第1回沖縄県ハンセン病問題シンポジウム」はあす午後2時から那覇市の琉球新報ホールで行われます。

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