楽園の海、案内は水中カメラマン長田勇さんです。きょうは「高水温を乗り越えたサンゴたち」です。
長田勇さん「今年の夏、白化してしまったサンゴが多い中、無事生き残ったサンゴ達を撮影してきました。玉城 さっそく映像をご覧いただきましょう。」
長田勇さん「インリーフの海で壊滅的な被害を受けた恩納村の海、この日は外洋に出て潜ります。今回のポイントは谷茶沖1kmのタートルブレイク。これが水深5mに広がるサンゴ礁です。」
今までのサンゴとは色が違いますね。
長田勇さん「健康な状態のサンゴと比べると色が50%ほど抜けている状態でした。この日の水温は28.9℃。久しぶりに29℃を切った水温です。9月中旬に接近した台風の影響で更に水温も下がりました。」
水温が少し下がって安心しました。
長田勇さん「そうですね、生きたサンゴのポリプを食べるヤリカタギです。これはサンゴが生きている証拠です。」
うれしいシーンですね。
長田勇さん「サンゴがなくなってしまうと、この魚もいなくなってしまいますからね。これはサンゴのアップ。触手を伸ばして元気そうです。」
こちらにはたくさんの魚が見えますね。
長田勇さん「水深10mラインでは、80%以上のサンゴが元気な姿を見せてくれました。浅瀬と比べると色の濃い健康なサンゴが目立ちます。」
透明度も高いですね。潮通しがよさそう!
長田勇さん「水深12mまで降りてくるとが広がります水温の上昇にも強いサンゴなんですが、今回も無事生き延びています。その上で休憩するアオウミガメ。」
わあ、気持ちよさそうですね。ポイント名通り、タートルがいてうれしい。
長田勇さん「ウミガメにとっても、周りの環境が変化しない事が一番ですよねそしてこの日、鮮やかな色に吸い寄せられて近づいてみると。」
なんでしょう?
長田勇さん「イソギンチャクです。元々は、濃いベージュ色だったようですが、褐虫藻が抜けてこんな色に。ですがしっかり生きていました。」
よかった!
長田勇さん「冬になると、色も戻ると思われます。」
クマノミたちの大切なおうちですからね、安心しました。そしてなんて美しいシーンでしょうか。
長田勇さん「7月8月と、白くなったサンゴばかりを撮影していたので、普通に元気なサンゴ礁を撮っているだけで、素直に嬉しいです。」
撮影場所が変わりました。
長田勇さん「チービシ諸島・クエフ島周辺の海です。ここでも水中をのぞいてみましょう水深は5m。健全なサンゴ礁がそのまま残っていますね。」
ここはなぜ浅瀬なのに?
長田勇さん「比較的流れの発生するポイントのため、ほぼ白化していませんでした。7月8月と、沖縄本島の西海岸はかなりの確率で色が抜けていたので、ここで実際、潜って目の当たりにして信じられなかったです。」
場所が変われば影響も全然違うんですね。
長田勇さん「大きなテーブルサンゴや枝サンゴも色濃くとても元気です。サンゴが白化し始めた7月から、多くの地域のサンゴ礁を見てきましたが、壊滅的な被害を受けた場所もあったのでこの先どうなってしまうんだろう?と心配でした。でも、これだけ多くのサンゴが元気でいてくれた事が本当に嬉しいです。」
長田さんが以前に「影の軍団」と呼んでいたクロハギも元気でよかった!デバスズメダイも色鮮やかに舞っています。サンゴ礁と共に生きる命をたちですね。
長田勇さん「同じチービシ諸島の神山島周辺でも潜りました。あたり一面元気なサンゴばかり。魚もたくさん。沖縄本島と近い場所にあるので、サンゴの供給源にもなってくれそうですね。」
サンゴ礁は地球上で生物多様性の最も豊かな場所の一つと言われていますから、本当に大切な場所です。わ!これはなんでしょうか!?
長田勇さん「イソギンチャクです。この触手は、先端は薄い青で全体的に白くなってましたが、これは元に戻ります。今しか見られない色なので、これはこれで貴重なんです。」
よかった!
長田勇さん「この場所に限って言えることは、9月中旬に台風が接近したりして、更に水温は下がって来てますので、今年はもうこれ以上高い海水温での白化被害はないと思います。」
「海の森」として豊かな生物多様性を育み 多くの恵みをもたらす沖縄のサンゴ礁、ずっと守っていきたいですね。
長田勇さん「来年またしっかり産卵してもらって、サンゴの赤ちゃんが被害を受けた場所に流れ着いて欲しいな~と、切に願います。」
ありがとうございました。楽園の海でした。