ここからは早わかりビズ。りゅうぎん総研の研究員にお越しいただいて、県経済の動きをわかりやすく解説いたします。きょうの担当は米須 唯(こめす ゆい)さんです。よろしくお願いします。
米須さん「よろしくお願いします」
テーマはこちら。「バス・タクシー運転手不足の現状と課題解決に向けた検討」についてです。これは本当に大きな課題ですね。
米須さん「そうですね。人々の移動が活発となる夕方の時間帯や週末、特に雨の日だとタクシーが捕まりづらいと感じている方や最近バスの本数が減ったな、と実感されている方も多いと思います。このように、沖縄県内では、運転手不足を背景に移動手段の確保が課題となっており、対応が急がれます。」
バスやタクシーが少ないとなると、マイカーを出してとなり・・・ますます渋滞を引き起こすことになって悪循環ともなりかねないですね。
米須さん「はい、そうですね。そこで、運転手不足という問題について県全体で危機感を共有する必要性を感じ、沖縄タイムスさんと一緒に調査を実施しました。まず、実際にどれほど運転手不足しているのかこちらの表をご覧ください。」
直近3カ月の運転手さんの求人・求職のバランスシートです。こちらが、運転手の仕事を求める人、こちらが、会社が必要としている運転手の数、どの月も求人数の方が多くなっていて、直近の7月は495人の運転手さんが不足しています。
こちらの表はバス運転者数の推移です。コロナ前の2017年度の2,900人をピークに減少基調を辿り、22年度には1,641人とピーク時から約4割減少し、過去最低となりました。
怖いくらいの減り方ですね。
米須さん「さらに深刻なのが、バスを運転できる大型二種免許を持っている人の年齢構成です。60代以上の運転手が全体の約6割を占めており、運転手の高齢化が加速しているんです。」
20代と30代は足しても6パーセント、少なすぎますね。タクシー運転手の方はどうですか?
米須さん「こちらをご覧ください。赤のラインがタクシーの車両数、青のラインが運転手さんの数、黄色のラインは沖縄県ハイヤー・タクシー協会が適正としている運転手さんの数を示しています。車両数はほぼ横ばいで推移していますが、運転手の数は減少が続いており、適正な運転手の数との開きがどんどん大きくなっています。」
バス・タクシーともに人手不足というのは、実感だけではなくデータからも良く分かりました。
米須さん「そこで、運転手不足解消に向けて解決すべき3つの課題と5つの提言をまとめました。」
バス・タクシー業界に関するデータ分析とヒアリング結果から解決すべき課題として・・・3つの課題 1担い手の確保 2二種免許取得と育成体制の構築 3公共交通の利用促進を挙げました。
ひとつずつ見ていきます。まず1つ目の課題「担い手の確保」として・・・
提言1 『職業としての魅力向上に向けた取り組みの強化』 提言2 『外国人雇用の促進と受け入れ態勢の整備』について提言しました。魅力向上に欠かせないのは何と言っても賃金を始めとした雇用条件を整える事、運転手になりたいと思ってもらうには賃金を上げて他の産業との競争力を高める事が重要です。
外国人雇用に関しては、特定技能制度の対象に運転手業務の追加が決定され、今後外国人の受入れが進んでいくことが予想されます。他の業種で蓄積された外国人受け入れに関する事例の共有など、行政を中心とした事業者へのサポート体制を整えていく必要があると思います。
2つ目の課題「二種免許取得と育成体制の構築」について・・・
提言3 現在、国と県で行っている二種免許取得費用の補助など事業者への支援を継続する事、さらには・・・
提言4 職業訓練校における二種免許取得コースの新設により、運転手を育成する環境を整えていくことが求められます。
これで運転手になりたいと思う人が一人でも増えてほしいですね。
米須さん「そうですね。そして最後の3つ目の課題「公共交通の利用促進」は私たち県民が心がけていかないといけない事です。過度なマイカー利用を控えて積極的に公共交通機関を使うことです。そのために・・・」
提言5 バスレーン規制の区間と時間帯拡充を提案しました。県では、既存区間におけるバスレーンの終日化などが検討されていますが、渋滞の状況や利用者のニーズに合わせ、バスレーンの更なる拡充を進めていく事が求められます。
より利便性を高めて利用者を増やすことで、運転手の雇用条件が良くなり、運転手不足の解消や渋滞解消にもつながる好循環が生まれるわけですね。
米須さん「はい。私たち現役世代にとっても、いずれ免許を返納し、公共交通が生活の足となる時期が必ずやってきます。その時になって困ることのないよう、今危機感を持ってこの問題に向き合う必要があると思います。」
ちょうど今月は水曜と日曜にバス料金が無料となる実証実験が行われています。明日と次の日曜が最後となりますので、この機会により多くの方にバスに乗ってもらい、目的地に着くまで読書をしたり、普段とは違った角度から外の風景を眺めたりバスの魅力を感じてほしいです。
きょうはりゅうぎん総合研究所の米須さんにわかりやすく解説していただきました。ありがとうございました。ここまで、ビジネスキャッチーでした。