この棟飾の公開以外にも今週は監修会議が開かれたり「木彫刻」が納品されたりと2年後の完成に向けた動きが加速しているような1週間でした。今回の週刊首里城では、令和の復元注目ポイントのひとつ「朱色」から「黄色」へ姿を変える”あるもの”の制作に関わる若手職人を紹介します。
漆芸家宮城杉乃さん「琉球漆芸をやってきたからこそ、やらなければと思ったところはある」
自らの手で首里城を蘇らせたいと意気込む職人がいます。沖縄市出身宮城杉乃(みやぎ・すぎの)さん。(趣味:バスケ観戦/推しの選手:比江島慎 選手)紅型を学ぶ姉に憧れ進学した県立芸大で「漆」と出会い魅了され漆芸の道に進みました。
宮城さんにとって琉球王国時代の漆の技法が詰まった首里城の復元に携わることは大きな夢。念願叶って今年4月、現場入りしました。黙々と作業をする宮城さんの手元を見てみると??「中」(なか)の字?
取り組んでいたのは「扁額」と呼ばれる額の制作です。中国の皇帝の書をもとに作られた扁額。在りし日の首里城では御差床(うさすか)と呼ばれる国王の私的空間に飾られていました。現在は、その文字部分の下地を整えている段階です。
漆芸家宮城杉乃さん「めっちゃ疲れます。疲れるがここで研ぎすぎたり研ぎが甘かったりすると後々(出来映えに)影響してしまうので意外とめちゃくちゃ肝心な作業になっている」
実は、この「扁額」今回の復元、最大ともいえる見どころのひとつ。近年、その「色」を示す新たな資料が見つかったことから平成の復元では「朱色」だった下地がこのように「黄色」へと変更されるんです!
漆芸家宮城杉乃さん「注目度も高くなっていると思うので」形をまず崩さないこと、この上に金箔がのるのできれいなフラットな面で美しく仕上げるという意識している」
宮城さんを指導するのは、県指定無形文化財「琉球漆器」保持者の諸見由則さんです。
首里城の復元に長年携わる漆芸家諸見由則さん「進んで次に何やる、これやる、ということを聞いてくれるのでそういった面ではなかなか良い、教えやすいし」
Qその言葉を聞いてどう?漆芸家宮城杉乃さん「頑張りたいと思います、いっぱい」
先輩の姿を追いかけ、奮闘する毎日。その原動力は?
「琉球漆芸の誇り」
漆芸家宮城杉乃さん「琉球漆芸・琉球工芸に対して(携わる)人が少なくなっている。あまり同世代では知らない人が多かったりする現状を見ていて、続いてきたものをここで途絶えさせてはいけないという気持ちがもともと強い。」
子どもの世代だったり孫の世代にも琉球漆芸があるように首里城が誇りだと思えるようにつなげていきたい」
伝統ある技を受け継ぎ漆芸を、首里城を後世へとつなげる。宮城さんが関わる扁額は2026年3月の完成を目指します。