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沖縄で今を生きる人たちに注目する「IMAGINEおきなわ」です。このコーナーで、ことし5月琉球舞踊家の嘉数道彦(かかず・みちひこ)さんが多良間島を訪れ、島の子どもたちと芸能を通じて触れ合う様子をお伝えしました。

このとき、嘉数さんから指導を受けていた中学3年生の2人が「今年は最後の八月踊り」と話していたのが印象的でした。高校がない離島に暮らす子どもたちに訪れる「15の春」進学などで島を離れる彼らにとって、一つの節目となります。島の人が様々な思いで迎える「八月踊り」に密着しました。

生まれ島の豊年祭、島をあげての「八月踊り」。絶対に忘れない最後の、夏の日。

荒天のなか、多良間島の人たちは翌日から始まる「八月踊り」の準備に追われていました。

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

国指定重要無形民俗文化財、多良間島の八月踊りは旧暦8月8日から3日間、行われます。初日は「仲筋(なかすじ)」、2日目は「塩川(しおかわ)」という各字(かく・あざ)で、3日目には「わかれ」と称してそれぞれの字で同じ演目が演じられるのです。

舞台に立ち、リハーサルに臨んでいるのは中学3年の嘉手苅(かでかり)さん。

嘉手苅 明葉さん「最後の八月踊りだから、あまりミスをしないように楽しくやりたいなと思っています。」(頑張って下さい)「頑張ります!」

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

夜が更けるまで三線の音色は集落に響いていました。

祭りの初日。夜明け前から島の拝所に供物を持参し3日間の無事開催を祈ります。「おはようございます。9月10日、恒例の八月踊り。正日が始まります」捧げられるのは泡盛、手作りのミキ、豚肉、刺身など。

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

祈りが届いたのでしょうか、前日とはうって変わっての晴天!着々と準備が進められ、会場には人々が集まってきました。高まる期待!間もなく舞台が始まります。

獅子舞から始まる舞台は出演者全員が顔見世行列を行う「総引き(そうびき)」、勇壮な棒踊りや端踊り(はおどり)などの民俗踊り、狂言、組踊り。島の人総出で演目が披露されます。人々を苦しめた人頭税を7月までに納税した報告とお礼を述べて、翌年の五穀豊穣を祈願しました。

嘉手苅さんが演じるのは「女踊り」。三つの演舞を担当しました。

志堅原(しかたはら)加代子さん「短い期間のなか遅くまで(練習)頑張っているので今日は本番迎えられて安心してます(笑)あとは悔いのないように楽しめたらいいかなと。」

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

所作のひとつひとつに想いを込めて、最後の踊りを務めます。練習の成果もあって、見事、演じ切りました!

演舞終えた 嘉手苅明葉さん「安心しています。四つ竹っていうのが一番気に入ってます。楽しく出来たので100点だと思います。(また八月踊りにまた参加したい?)思います。」

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

森山実男さん「去年とは比べものにならない、凄いみんなが練習したんじゃないか。こうして一斉にして一日を待つ。多良間はこれが一番すごいなと思う。」

一方こちらは字塩川(あざ・しおかわ)。「狂言」の演目でエイサーを演じるのは、島のもう1人の中学3年、兼本(かねもと)さん。

兼本有梨奈(かねもと・ゆりな)さん「めっちゃ、あっという間でした。ずっと頑張って練習してきたのが成功したのでミスなく、良かったんですけど、これで終わりなのは少し寂しいなっていう気持ちもあります。」「多良間といえば八月踊りだと思うし、私もこの行事が大好きなので、これからもずっと続いていってほしいと思うし私も大人になったら貢献したいと思っています。」

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

塩川字長:長崎 正幸さん「塩川は「よーんしー」がありまして民俗芸能の。あとは組踊は二座ありますけどやっぱり、仇討ち。地元の何かひとつの踊りとかを3年4年と続けていけば(他所の)学校行っても何かのひとつのステップみたいな感じになると思うので。」

朝から始まった舞台は夜9時過ぎまでノンストップで続きます。「ズーニン(地謡)座」と呼ばれる地方は合計60曲近くを歌三線で演奏します。島で創作された「民俗踊り」に加えて明治時代に沖縄本島から「古典踊り」や「組踊り」が伝わり、祭りは益々賑やかになりました。お終いの「総引き」になると盛り上がりは最高潮に達します!

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

オバー「立派です。子どもがいっぱいいたから、子ども達が小さい時は落ち着いて見たことない。良かった~!と思って。」娘「楽しんでます」

男性「四・五十年ぶりに見たけど、どう言っていいかわからんけど(気持ちがいっぱいに?)あ~!そういう雰囲気。若い人たちが継承して本当にうれしくて。感動しました。」

波平雄翔さん「楽しかったです。(何が一番)最後の総引きですかね、みんなが今日の喜びを体で表現するという。三線の音色に乗せて体で表現しているという。」「独特の(足の)曲げ方歩き方、多良間だけ。多良間だけの独特な作法になりますね。来年もあるので来年はより良い演舞をしたい。」

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り

島の最上級生として参加した「八月踊り」。人々がつないできた「伝統」と「思い」と共に二人は来年、島を離れ、新たなスタートを迎えます。

嘉手苅(かでかり)さんも兼本さんも来年、沖縄本島を目指してこれから受験になりますが、また八月踊りに参加したいという思いを持っているそうです。

八月踊りは多良間島で創作された「民族踊り」に加えて明治時代に沖縄本島から「古典踊り」や「組踊り」が伝わって祭りは益々賑やかに、華やかになったということです。

#IMAGINEおきなわ vol.73 多良間島の八月踊り