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こちらは今年3月、メジャーリーガー・大谷翔平選手の専属通訳を解雇された水原一平被告です。違法賭博に手を出し大谷選手の口座から26億円を不正に送金した罪で裁判を受けています。

来月には量刑が言い渡される予定です。解雇された直後に語ったのは「自分はギャンブル依存症だ」ということ。「依存症の怖さ」を感じた方も多いと思いますが、ギャンブルや薬物・アルコールなどに溺れ人知れず依存症に苦しんでいる人は多いといいます。

厚生労働省によりますとギャンブル依存症の人は全国で約3千人、疑いのある人は約70万人にもなります。アルコール依存症の人は約10万人、疑いのある人は約57万人にも上るということです。薬物依存症は約6千人です。なぜ依存してしまうのか?

徐々に忍び寄る恐怖「依存症」

そもそも依存症とは脳の機能が弱まり欲求がコントロールできなくなってしまう病気です。さらに本人にはその自覚がないため依存から抜け出せない難しさがあります。那覇市にある依存症のリハビリ施設を取材しました。

薬物・アルコール・ギャンブルといった依存症の回復施設として2002年に設立された琉球ガイア。依存症に陥った環境から離れ心身ともに沖縄に癒されながら回復してほしいとの願いが込められています。

かつてギャンブル依存症に苦しみ今は職員として働いているSさんに話を聞きました。

Sさん「最初は麻雀、そしてゲーム喫茶、その後にパチンコスロットにはまった」「最終的にはパチンコとスロットだけになった」「おかしくなったのは1人で行き始めて内緒にしたり嘘をついて行ったりするようになってから」

徐々に忍び寄る恐怖「依存症」

友人たちとあくまで「娯楽」として始めたギャンブル。しかし、いつしかのめり込みいくらお金を失っても止めることはできませんでした。

Sさん「(失ったお金を)取り返そうと」「借金している時にギャンブルをしていると取り返さないといけない気持ちが強くなる」

ギャンブルに使うお金を用意するためSさんが行ったのは周囲からの借金。使い道を隠しながらお金を工面するうち家族や友人・恋人も離れていきました。

Sさん「嘘と借金はセット」「自分を演じるためには言えないことを隠すためには嘘が必要になってくる」

そのうちSさんのもとには消費者金融からの督促状が届きます。

徐々に忍び寄る恐怖「依存症」

Sさん「自分自身もその時はギャンブルはしないと思ったが」「1カ月くらい我慢という形でギャンブルから離れて日常生活をしていたらストレスが溜まったりとか」「我慢しているから大丈夫かなと思ってまたパチンコに行く」

再びパチンコに行くため今度は職場のお金を使い込んでしまったSさん。業務上横領の罪で逮捕され、入院・リハビリを経てようやく依存症から抜け出すことができました。決して性格や意思の問題ではないことが分かります。人はなぜ依存症に陥ってしまうのか?そもそも依存症とは何なのか?専門家に聞きました。

沖縄リハビリテーションセンター病院手塚幸雄医師「(依存症は)コントロールができなくなる脳の病気」「自分の意思とは離れたところでやめられない止まらない脳の回路ができてしまう病気」

依存症の患者に寄り添う沖縄リハビリテーションセンター病院の手塚医師。その恐怖は徐々に忍び寄ってくるといいます。

徐々に忍び寄る恐怖「依存症」

沖縄リハビリテーションセンター病院手塚幸雄医師「最初は飲酒・薬物・ギャンブルで満たされるかもしれないが必要な量がどんどん増えていく」「お酒や薬物など依存対象以外のもので対応するのが難しくなる」「ただ好きで飲んでいるとか、好きで使用するのではなく、自分の苦しさ生きづらさを和らげるための使用になっていく」

そこにはある特徴も。

沖縄リハビリテーションセンター病院手塚幸雄医師「過去に苦しい体験をした人、幼少期の虐待やいじめ心に傷を負った人がなりやすいことも分かっている」「それは苦しさに対してアルコールや薬物・ギャンブルで対応している」「自分の努力や頑張ればなんとかなるという次元ではないところが大多数を占めている」「依存に至っている状況にいたら、それは恥ずかしいことではない」「堂々と相談してほしい」

徐々に忍び寄る恐怖「依存症」

依存症と聞くとその人自身の問題のようなイメージもありますが、決してそうではないことが分かります。周囲の人や環境も大きく影響しているのです。自分が、周囲の人が、陥ってしまったらまずは医師に相談することが大切です。また琉球ガイアでも匿名・無料での相談を受け付けているということです。