楽園の海、案内は水中カメラマン長田勇さんです。様々な場所で報告されているサンゴの白化。その後はどうなったのでしょうか?
長田勇さん「前回は8月初旬の映像でした。きょうは最新の様子をお伝えしますさっそく映像をご覧いただきましょう。」
長田勇さん「まずはこちらの映像、8月6日のものです。」
ちょうど1か月前の様子ですね。
長田勇さん「この日の水温は29.4度。水深2mに生息しているテーブルサンゴや枝サンゴです。」
色が変わったサンゴたちがとても目立ちますね。
長田勇さん「そうですね。ですがこの時点でサンゴの色はだいぶ薄くなっているものの、まだまだ回復できる可能性のある状態で、まだ死んではいません。」
2~3週間がリミットと言ってらっしゃいましたね、とても心配していました。
長田勇さん「ここからは8月25日の同じポイントです。この日の水温は29.5度。相変わらず高い状態です。水中は、完全に色が抜けて真っ白なサンゴが目立ちこげ茶色になった枝サンゴやテーブルサンゴの姿も見受けられます。」
茶色いサンゴはやはり・・・
長田勇さん「そうです。死んでいます。サンゴと共生している褐虫藻は戻ることができず残念ながら死んでしまいました。茶色は死んだサンゴに付く藻の色です。同じサンゴを撮影していますので比較してみましょう。まずは先月6日です。薄いピンク色やベージュ色のテーブルサンゴが見えますね。そして8月25日です。」
全然違いますね
長田勇さん「そうです、テーブルサンゴは真っ白とこげ茶色のツートンカラーとなっています。」
褐虫藻が戻れなかったんですね。
長田勇さん「そうです、この海域の90%のサンゴは、このような状態でした。アップで見てみると死んだ部分に藻が付いているのが分かりますね。」
何年もの月日を重ねてここまで育ったのに自然の節理とはいえ残念です。
長田勇さん「こちらは恩納村のダイヤモンドビーチ。水温は30.1度。インリーフのため水温は高めです。ここでも同じサンゴを比較撮影したので見て下さい。こちらは先月7日に撮影した枝サンゴ。」
青白いですね。
長田勇さん「こちらは25日です。色が抜けているのがはっきり分かります。」
はい。
長田勇さん「つづいてテーブルサンゴはどうなったかというとこちらもほぼ色が抜けてます。」
真っ白ですね。
長田勇さん「アップで見てみると既に藻が生えています。褐虫藻はもう戻ることはできず死んでしまったことがわかりました。最新の映像、今週月曜日(2日)のダイヤモンドビーチです。サンゴ達が心配で再度見て来ました。色の薄かったサンゴも白くなっていました。」
あたり一面真っ白なサンゴですね。
長田勇さん「死んだ後に付く藻の影響で黒くなっているサンゴも目立ちます。なんと、この日の水温は31.2度。9月に入ってもまだまだ高い状態が続いてしまい大半のサンゴが瀕死の状態です。」
1か月前のテーブルサンゴはまだ生きており周りに小魚たちもいますが完全に死んでしまっていました。アップで見ると藻が生えていますね。このように藻が生えてしまうとこの後水温が下がったとしても復活することはありません。ここダイヤモンドビーチのインリーフは、崎本部ビーチと同じように水深2mより浅い所にあるミドリイシの仲間のサンゴは、ほぼ全部死んでしまっていました。1998年の大規模白化以来となる大きな被害が出てしまったようです。」
生態系の影響が懸念されますね。
長田勇さん「同じ日、ボートで恩納村の谷茶沖1kmをめざします水深10mのサンゴ礁をのぞいてみると」
あああ!生きてる!!
長田勇さん「はい、水深5m〜15mに生息するミドリイシのサンゴたちは、若干色が抜けている個体はあるものの、大半が生きてます!」
ほんとによかった。
長田勇さん「太い枝のサンゴも色が濃く元気です。水深10mでの水温は29.7度でした」
ほんとに少しの温度差なんですね。
長田勇さん「インリーフとの差は1.5度。サンゴにとっては心配な温度ではありますが、比較的流れのあるポイントなので、海水の入れ替わりがあったりと白化しずらい状態になるようです。影響の少なかった場所が見つかって一安心。まだ気は抜けませんが、沖縄のサンゴ礁全体を見たら悲観的になる必要はないように思います。」
スタジオ 長田勇さん「来週には、沖縄本島付近に台風が接近してくる予報が出ていますので海水をかき混ぜてくれて、水温も下がるはず。台風被害も心配ではありますが、あと少し頑張って欲しいです!次回の楽園の海では、生き残った元気なサンゴたちをたくさんお見せしたいと思います。」
よろしくお願いします。ありがとうございました。楽園の海でした。