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今を生きる私たちが未来の沖縄を考える「IMAGINEおきなわ」です。2004年8月13日沖縄国際大学にアメリカ軍のヘリが墜落し今年で20年になります。事故当時を知らない世代も多くいるなかで平和交流を通し、改めて基地問題について主体的に考えようとする高校生の取り組みに密着しました。

首里高校「アニョハセヨ・私たちは首里高校の学生です。よろしくお願いします」

#IMAGINEおきなわ vol.71「平和交流を通して学ぶ基地問題」

ソギポ高校「はじめまして。(韓国の)ソギポ高校からきました学生です」

今月5日に行われた首里高校と韓国の高校生たちの平和交流会。生徒たちは最初に沖縄国際大学に向かいました。2004年8月13日 アメリカ海兵隊の大型ヘリコプターが本館建物に接触して墜落、炎上しました。

沖国 友知先生「沖国に米軍のヘリが落ちたのは偶然ではなくて必然。それぐらい危険な毎日を私たちは暮らしています」

#IMAGINEおきなわ vol.71「平和交流を通して学ぶ基地問題」

事故直後の騒然とした現場、そして沖縄の状況を象徴するひとまくもありました。

謝花記者「Why not? It is public place.」

大学の構内に軍用ヘリが墜落するという異常事態。あわや大惨事となるところでしたが、現場はアメリカ軍に規制され、メディアも日本の警察も入ることができなかったのです。

沖国 友知先生「ここにヘリが落ちたときに日本の警察も入れなかった。入れたのは米軍関係者だけ。沖縄にはこういう言葉があります。沖縄に基地があるんじゃなくて、基地の中に沖縄があるこういう矛盾をはらんだ環境で私たちは勉強しています」

#IMAGINEおきなわ vol.71「平和交流を通して学ぶ基地問題」

首里高校生「近くにそんなことがあったんだっていう驚きでした」首里高校生「課題を一緒に考えながらもっといい方向に行けるようになればいいなと思います」

実は首里高校の生徒たちはこの日を前に、事前学習にも取り組んでいました。

首里高校 金城睦先生「幸いなことに夏休みで人がいなかったので、死者はでなかったんですが、本当に大事でした。奇跡だと思いますね。死者がでなかったのは」

幼い頃から沖縄戦の話を聞いて育った沖縄の高校生たち。日常の中で、世代を超えて「平和の継承」を実践してきました。

#IMAGINEおきなわ vol.71「平和交流を通して学ぶ基地問題」

中村万葉さん「ひーおばあちゃんが105歳ぐらいで、戦争の話とかめっちゃしてくれる人だったので、おばあちゃんから聞いたり、あとは小学校の時に劇みたいなものを経験したんですけど、その時の方言に訳したりするのとかもおばぁちゃんに手伝ってもらったりしてふれてきました」

高校生たちはから祖父母から引き継がれた平和への想いを、今度は韓国の学生たちに向けて伝える側になろうと考えていたのです。

平田菜乃華さん「沖縄の人もちゃんと基地問題に向き合うべきだと思うし、韓国の人たちも同じく基地を持っているということで、考えがあるはずだから、そこについて意見交流というか、お互い思っていることを聞いてみたいな話し合ってみたいなと思いました」

沖国 友知先生「あそこにはちょっと見えますけれどもオスプレイという飛行機が止まっています。アメリカ軍の飛行機のなかでもっとも事故率が高い飛行機です」

#IMAGINEおきなわ vol.71「平和交流を通して学ぶ基地問題」

沖国 友知先生「経済的に豊かになるべき土地。それが米軍基地に占領されている。沖縄の経済発展の阻害要因」

沖縄国際大学ではヘリ墜落の記憶を風化させないよう建物の傷や燃えたアカギの木を保存、公開しています。しかし住宅密集地のど真ん中にある基地は今も変わらず。日常的に訓練が繰り返されるなど、危険な状況は変わっていません。

韓国の生徒「もし自分が住んでいる済州の学校の前に基地があると想像すると不便というか、ちょっとどうかなという気持ちになりました」

韓国の生徒「さっき学校のとなりの公園にいたときに、飛行機がとんできてすごく大きい声が聞こえてびっくりしたんですよ。学校だから授業するときとか勉強するときに大丈夫かな邪魔にならないかなと心配はしました」

#IMAGINEおきなわ vol.71「平和交流を通して学ぶ基地問題」

交流会の最後、首里高校の生徒たちは世代や国を超えて、平和を継いでいきたいという思いを発表しました。

首里高校 吉里愛泉さん「私たちが学んだことの一つは戦争の悲惨さを知るだけでなく相互理解の重要性です。話を美化することなく事実をありのままを伝えることが重要だと考えています」

さらに、今の課題である基地についてどう向き合っていくか。沖縄の高校生にとっても考える機会になったようです。

首里高校 中村万葉さん「戦争体験者からしたら基地っていうか軍があること自体がいやなんだろうなって理解できたので印象深かったです」

首里高校 吉里愛泉さん「これから沖縄がもっと良くなっていくためには、基地問題についてこれから県民全体で考えるっていうことが必要かなと思いました。」

高校生たちの多くは沖国ヘリ墜落事故後に生まれた世代ですが、学校教育の中で基地問題や沖国ヘリについて学ぶことはあまりないと話していました。

平和教育を中心に学ぶのではなく、平和教育と基地問題を繋ぎ合わせて「沖縄だからこそできる平和継承の取り組み」が今後求められてくる、新たな学習形態の一つになりそうです。