ここからは早わかりビズです。りゅうぎん総研の研究員にお越しいただいて、県経済の動きをわかりやすく解説いたします。きょうの担当は宮国英理子(みやくに えりこ)さんです。よろしくお願いします。
今回のテーマは「県内における台湾からの入域客の動向」についてです。沖縄県にとっては最も多いインバウンド客は台湾からですよね。今回このテーマを取り上げたのはどうしてですか?
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「観光全体の足元の動きですが、コロナ禍を経て激減したインバンド客が去年から急激に回復しています。また、2023年はその消費額も過去最高となっています。沖縄は全国と比べると回復の勢いは緩やかですが、着実に増加傾向にあります。」
「観光業界ではインバウンド客をどのように取り込むかが課題ですので インバウンド客の傾向をしっかりと把握することが求められます。」
「今回は、その傾向を知る切り口として、台湾にフォーカスしました。」
「また、台湾関連のビッグデータを持つVpon JAPANとの連携で、沖縄を訪れた台湾の人たちがどう動いたのかを見ることができましたので、そこでわかったコロナ前との変化についても紹介したいと思います。」
なるほど・・・コロナ前とコロナ後を比較することで、インバウンドを代表する台湾の人たちの動向を知って、課題を見つけ、解決することで県経済に良い影響が出るという事ですね。まずは何から見ていきましょうか。
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「はい。コロナ前とコロナ後の、『県内を訪れた外国客』の構成を見ていきます。こちらです!青色の部分が台湾からのお客様ですが、コロナ前の30.6%からコロナ後は10ポイント以上増えて41.8%に増えています。」
沖縄にとっては一番近い海外の大事なお客様ですね。
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「そうですね。また台湾・韓国・香港の主要3カ国の平均滞在日数もコロナ禍前と比較しても増えています。なかでも台湾客は19年の平均3.3日から23年は平均4.7となっています。」
長期滞在へシフトしている傾向ですね。また冒頭で、インバウンド客の消費額が過去最高となっているということでした。台湾の方々はいかがでしょうか。
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「こちらの表をご覧ください。インバウンド客の消費額のうち、台湾が最も多く全体の14.8%を占めています。また、一人当たりの消費額をみると、全国籍・地域の平均は約21万円ですが、台湾は平均よりも少し低く、約19万円です。」
「台湾の方の消費額の内訳に特徴があります。全国籍の平均では、宿泊費が大きな割合を占めますが、台湾の方は買物代が 34.8%と大きくなっています。特にお菓子類や医薬品等が購入されているようです。」
確かに!買い物袋を数多くぶら下げて観光される方をよく見かけますやはり旅の目的は買物ということですね。
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「今のところはそうだといえます。ただ消費が「モノ」から「コト」へシフトしている傾向もみられます。これからは、県内でいかに良質な『コト消費』の場を提供できるかも課題です。」
なるほど、物を購入するのではなく、沖縄ならではの体験や経験に価値を見出される方が増えていくということですね。
さてつづいて、コロナ前とコロナ後、訪問先の変化についてですが大きな変化がありましたか?
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「1位の那覇市は変わっていないのですが、2位がコロナ前は8位だった沖縄市、3位は10位だった浦添市となっています。ヒアリングによりますと、去年は沖縄市でバスケットのワールドカップがあった事、エイサー祭りや花火大会などの大規模イベントに足を運んだことがわかっています。」
「浦添市はショッピングモールや SNS で紹介されて人気に火がついた港川ステイツサイドタウンの街歩きがあがっています。」
みなさん、きちんと事前のリサーチをして訪れているという事ですね、ここまで見てきてデータが示してくれた課題と必要な取り組みをまとめてください。
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「はい。この3つを挙げました。・1つ目は満足度向上のための受入れ体制と設備の強化です。県のアンケートでは、インバウンド客の沖縄の満足度はかなり高いことが示されていますが、まだまだ不十分とされているのが、1多言語対応 2キャッシュレス決済 3通信ネットワークであり、それぞれ対応強化が必要です。」
「2つ目はデータを用いた動向把握の必要性です。台湾のお客様は所謂観光地だけでなく、様々なところへ自由に周遊しています。最新のデータを活用して、どこでどんな風に過ごしているのかを詳細に確認し、オーバーツーリズム対策を含め、受け入れについて検討が求められます。」
「3つ目は地域の魅力となる「コト消費」への対応です。地域の生活文化や歴史に触れながら、心に残る体験ができる場の提供が求められます。例えば、やんばるなど自然環境のなかでの体験が挙げられますがその魅力をしっかり発信すること、そして自然体験におけるルールの策定や、ガイドの育成などの対応が急がれます。」
台湾は東京へ行くよりも近いですし、最も近い海外です。沖縄へ来てもらうだけではなくて、お互いに行き来しあうというのが大事かと思いますが、宮国さんは台湾へは行かれましたか?
りゅうぎん総研 宮国 英理子さん「もちろんです!1泊2日の弾丸旅行でしたが、台湾グルメや足つぼマッサージなど異文化体験を満喫しました。私たち個人レベルでの行き来もそうですが、経済界やスポーツ関連など様々な分野での交流を通じて、沖縄県が提唱している、人や環境に配慮した旅の仕方「沖縄エシカルトラベル」などの認知度も上げ、今後も持続可能な観光地として発展してほしいと思います。」
きょうは、りゅうぎん総合研究所の宮国さんにわかりやすく解説していただきました。ありがとうございました。ここまで「早わかりビズ」ビジネスキャッチーでした。
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