キャスター：ここからは新企画「注目！早わかりビズ」です。経済に関するニュースをわかりやすくコンパクトにお伝えしているビジネスキャッチーですが、ここからは専門家をお迎えしてさらにわかりやすくお伝えしてまいります。
りゅうぎん総合研究所、調査研究部研究員の城間櫻（しろまさくら）さんです。城間さん、きょうはよろしくお願いいたします。
城間さん：はい、よろしくお願いいたします。経済ニュースって専門用語が多くて分かりにくいとよく言われるのでそのあたりに気を配りながら、わかりやすくお伝えできるように頑張ります。
キャスター：きょうお伝えするのは、プロ野球春季キャンプの経済効果についてです。沖縄県における2024年プロ野球春季キャンプの経済効果は一体、どのくらいあったのでしょうか？
城間さん：２０２４年度の経済効果は、コロナ前を上回ってこれまでで過去最高の177億9300万円となっています。
キャスター：すごい数字ですね！ちなみに、この経済効果ってどのように算出するのですか？
城間さん：はい。わかりやすくといったんですが、申し訳ありません。経済効果を求める数式がこちらです。
キャスター：おお～、さっぱりわかりませんねぇ。
城間さん：それでは、ざっくりと簡単にご説明いたしますね。まず、キャンプ地に訪れたファンの方々は、周辺で食事をしたり、ホテルに泊まったりしてお金を使います。こうした消費によって、県内の各産業の売り上げが増加します。
城間さん：そして、その効果は飲食店やホテルだけではなく、そこに原材料やサービスを提供している産業へと波及していきます。さらに、各産業の売り上げが増加すると、そこで働いている雇用者の方々に渡るお金も増えます。雇用者の所得が増えることで、更なる消費が生まれる効果もあります。
城間さん：また、お金を使うのはファンの方々だけでなく、例えば選手の皆さんが使うお金や、各キャンプ地のインフラ整備などで使われたお金も、同じように波及します。これらすべてを合わせた金額が、今回の経済効果となります。
キャスター：それで出た経済効果が177億9300万円になるんですね。
城間さん：調査でわかったこととして、コロナ禍以前の2019年比で25.9％増となりました。（今年の経済効果は前年比で75.2％増）
城間さん：過去最高の経済効果となった理由としては、まずコロナ５類移行によって人の流れが活発化していたことや、良いお天気に恵まれた日も多く観客数が伸びた事があげられます。また、宿泊単価や物価の上昇などで1人当たりの観光消費額が増加したとみられることも要因です。
城間さん：ただ、これらを分析していく中で、プロ野球キャンプを継続、そしてさらに盛り上げていくために必要な課題も見えてきました。こちらの3つです。
（１）設備の強化：これまでも各自治体や協力会の皆さんは球団側と密にコミュニケーションをとりながら要望に応え、信頼関係を構築されていらっしゃいます。一方で、設備の充実はキャンプ地として選ばれるための大前提ですので、引き続き設備の老朽化への対応や、更なる機能強化など、各球団の要望に真摯に向き合っていくことが大切だと考えます。
（２）消費行動の促進：経済効果の最大化を目指すにあたっては、キャンプ地に訪れた観客の方々がつい消費をしたくなってしまうような仕掛けづくりも重要です。今年も各キャンプ地にはキッチンカーが並び、地元商店のスタンプラリーといった工夫も見られました。さらに地元の事業者さんと連携して地場産業をPRするような取り組みがあると、より賑わい創出につながるのではないでしょうか。
（３）交通問題の解消：各キャンプ地からのお悩みの声として多かったものの一つに「駐車場の不足」がありました。キャンプ地や、周辺の観光施設へのアクセス性の向上は経済効果を高めるうえでも欠かせません。例えば、同じ時期にキャンプを実施している宮崎では無料のシャトルバスがあるようです。これは一例ですが、こうした工夫を検討することも必要だと考えております。
キャスター：ここまで3つの課題についてまとめていただきましたが、解決に向けての大事なポイントは何でしょうか？
城間さん：一番は、県・自治体・地元事業者が連携しキャンプ集積地としての付加価値向上を図る事、そうした共通意識をもって一体となって取り組んでいくことがポイントだと考えています。
キャスター：そのために重要なのは？
城間さん：連携のために大事なのは、私たち県民が経済効果について関心を持ってまずは知っていただく事。そのためにシンクタンクとして分かりやすい情報発信に心がけていきたいと思います。
キャスター：毎月最終週の火曜日は研究員の方にご出演いただき「注目！早わかりビズ」としてお伝えしていきます。ご期待ください。ここまでビジネスキャッチーでした。
