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沖縄の代表的な果物、パイナップル。県産パインには、さまざまな品種がありますが、パインの王様と呼ばれる「ゴールドバレル」が、今旬を迎えています。樽のように大きい、黄金色の果実で地域を盛り上げようと生産者たちは栽培に励んでいます。

太陽の恵みをたっぷり浴びたパイナップル。芳醇な甘さと爽やかな酸味が特徴の果物です。県内一のパイナップルの生産地では、今、収獲期を迎えています。

「くゎっちーさびら、うさがみそーれ」

パイナップルは、地域の味としても親しまれているそうで、毎年この時期になると、東村内の小中学校では給食にパイナップルが登場します。

Qきょうのデザートは何?「ゴールドバレル!」「甘くておいしい」

パインの王様「ゴールドバレル」栽培に尽力「開拓者」の思いとこれから

パイナップルの生産量日本一の村、東村。「パインの村」としても知られています。

玉城さん、作業しながら「こっちは去年の3月に植えたんです。まだ1年4カ月ぐらいです」

今月中旬。照りつける太陽のもと、パイン農家の玉城忠男さんの畑でも朝早くから収穫作業が行われていました。玉城さんはこの道50年以上の大ベテラン。育てているのは、ゴールドバレルという品種です。

玉城さん「目安はやっぱり表面のよ、色ですよね。表面がちょっと緑色からね、ちょっと黄緑みたいに変わってくるわけ。こういうの中から、もう収獲熟しているわけ」「こういうの、下から上まで完熟ですよ。こういうの」

パインの王様「ゴールドバレル」栽培に尽力「開拓者」の思いとこれから

パイン栽培に向いているとされる赤い酸性土壌。およそ1.6ヘクタールの畑では年間25トンほどのゴールドバレルを収穫します。栽培に手間がかかるゴールドバレル。苗の受け付けから収穫までおよそ3年かかり、生産量は国産パインのおよそ5%です。

果肉が柔らかく糖度の高いゴールドバレル。その糖度は17.8度。

「いいですね。」Q上出来ですか?「はい、上出来です」収獲したゴールドバレルは、自宅の作業場で大きさごとに分けて出荷の準備。取引単価の高いゴールドバレルの栽培に力を入れている玉城さん。

形や重さなどを確認したあと、ていねいに箱詰めし、「タダオゴールド」というブランドで県内外へ出荷します。

玉城さん「天気が晴天続きで、糖度もかなり持ち直してきてこれまで通りの。去年より少し糖度がいいんじゃないかなと思いますね」

パインの王様「ゴールドバレル」栽培に尽力「開拓者」の思いとこれから

20代前半から東村でパイン栽培を始めた玉城さん。地元特産のパイン産業を発展させたいと、積極的に規模拡大や技術研究を重ねてきました。1990年代後半には、県の依頼を受けて9種類のパインを試験栽培。その中の一つが後の「ゴールドバレル」だったのです。

玉城忠男さん「切ってみたら、下から上まで黄色くして、見た感じとってもおいしそうな感じがしましたのでね、このパイン食べたらやっぱり結構果肉も柔らかいし、ジューシーな感じがあった。非常にこれは印象的でありました」

県農業研究センターと玉城さんが協力し、安定生産やブランド化に向けて20年以上を費やし開発されたゴールバレル。県農業研究センターの竹内班長はゴールドバレル栽培が農家の所得向上に繋がればと期待しています。

県農業研究センター名護支所・竹内誠人果樹班長「食べておいしいものですし、大きい玉ということで、とても商品価値が高いものかなと思っています。なので、高級素材としてどんどん使っていっていただければと思っていますし、今後沖縄県のパイナップルを牽引していく品種になると思っております」

パインの王様「ゴールドバレル」栽培に尽力「開拓者」の思いとこれから

畑を前に説明する玉城さん「風、塩害にあたった場合には表面が、新聞紙はがれた場合には真っ黒くして商品価値はゼロですね。そのあたりは気を付けています」

実の日焼け防止や防鳥ネットを掛けることはもちろん、手間をかけて草取りをして、作物にいちばん良い環境を作ることが大切だと話す玉城さん。ゴールバレルは、県産パインの可能性を広げてくれると確信しています。

畑を見ながら玉城さん「これに変わっていくことによって、だんだんまた、将来明るい未来が開けてくると思います」

未来の農業の担い手たちも奮闘しています。東村内でゴールドバレルを生産する農家の新里貴恵さんと善幸さん。玉城さんの娘の貴恵さんは、10年前から夫の善幸さんとパイン栽培をスタート。二人三脚で励んでいます。

作業の合間に貴恵さん「肥料あげたり草取ったりとか、地道な作業もいっぱいあるので。そういうの全部これにつながるんで想像しながらやってます」

また玉城さんのもとへ通い、技術や知識、情熱など未来につながるヒントを日々、吸収。ゴールドバレルで地域を元気にしたいと、生産拡大に意欲を燃やしています。

パインの王様「ゴールドバレル」栽培に尽力「開拓者」の思いとこれから

パイン農家・新里貴恵さん「日々勉強の毎日だなって感じるくらい、植物を育ててお客様に提供するのはむずかしいなと感じます」

パイン農家・新里義幸さん「追いつくことはできないと思います。追って追って、それについていく感じなので、やり続けることが一番の恩返しになるのかなと、ぼくは思っています」

パイン農家・玉城忠男さん「僕以上に技術を磨いて、ぜひもっといいものを作っていけたらなと」

太陽の恵みと農家の愛情を一身に受けて実ったゴールドバレル。今年も東村から夏の味覚を食卓へ届けます。

本土市場では、県産パインは唯一の国産として高く評価されています。生食用として8品種が生産されていて、バラエティーに富む県産パインですが、そのなかでも、ゴールドバレルは県内外で最も注目されている品種。東村の誇れる味、是非一度お試しください。

パインの王様「ゴールドバレル」栽培に尽力「開拓者」の思いとこれから