※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

県内で発生した事件事故・身近な社会問題を特集する真相フカボリです。突然ですが玉城アナウンサーは、無人店舗を利用したことはありますか?

玉城アナウンサー「利用したことあります!好きなタイミングで行く事が出来ますし、格好を気にせず人に人に会うことを気にせず利用できるところがいいと思います。」

きょうは、こうした無人店舗を悩ませる窃盗被害についてお伝えします。濱元記者のリポートです。

店にきた男が冷蔵庫から商品を取り出し、購入するかと思いきや、そのまま店を出ていきました。ことし5月に浦添市の無人店舗で起きた窃盗の瞬間です。映っていたのは市内に住む36歳の男で、警察がきのう窃盗の疑いで逮捕しました。県内の無人店舗を取材すると、この店以外でも商品が盗まれる被害が。

「無人店舗を狙う卑劣な犯行の瞬間を防犯カメラが捉えていました」

#5 真相フカボリ!!「無人店舗を悩ませる 悪質な窃盗」

冷凍食品やスイーツなどの食品や古着まで、誰もが気軽にいつでも立ち寄れる無人店舗。様々な場所で見られるようになり多くの人に親しまれています。

利用客「無人だと入りやすいというところはありました」「24時間開いてたら気分を変えたい時などにいいかなと思います」

魅力のひとつが商品の値段にあります。人を置かないことで人件費の分を商品に還元することができるからです。利用者に安くいいものを届けたいという設置者の思いとはうらはらに、一部の迷惑な人による悪質な窃盗が店を悩ませています。

冷凍庫から商品を取り出して袋に入れる若い2人の男性。片方がバーコード決済をする場所にスマホをかざすような仕草をしていますが、支払いはされていませんでした。

店舗管理者 沖縄ゼネラル布施凜太郎さん「QRをかざすふりをしてそのまま支払わずに帰った」

#5 真相フカボリ!!「無人店舗を悩ませる 悪質な窃盗」

種類豊富な餃子や韓国料理などを扱う那覇市松山の無人店舗では、去年8月ごろに人気商品「宮崎牛の牛すじカレー」が盗まれました。1パック1000円のものを2人は3つほど持って行ったと言います。

店舗管理者 沖縄ゼネラル布施凜太郎さん「信頼関係があっての無人店舗だと思いますので、その辺を裏切られたきぶんといいますか」「悔しいというか悲しい気持ちの部分が大きい」

他の店舗を取材してみると、若狭の無人店では、店主が厳選した珍しいスイーツ100種類をウリにしています。狙われたものは1缶で2000円ほどするチョコレートでした。

夜10時ごろに中年とみられるの女性3人が商品を選んでいます。うちひとりの赤い服を着た女性がチョコレートの入っている缶を手に取ります。購入するのかとおもいきや会計をせずに有料の紙袋に3缶を詰めました。その後も一緒に来た女性らと商品を見るなどし、数百円のものを数点購入してさも買ったかのような様子で店を後にしました。

#5 真相フカボリ!!「無人店舗を悩ませる 悪質な窃盗」

この店では別の日に商品以外の被害も。机の上に客が忘れたと思われる財布があります。黒い上着の男性が一緒に来た女性が会計をする間に財布をつかむと、他の客がいなくなったタイミングでなかからお札をとってポケットにしまいました。忘れ物が狙われてしまう場合もあるのです。

盗まれる商品は食べ物だけではありません。被害にあった牧志にある古着の無人販売店です。この店のカメラには大胆な犯行の瞬間が捉えられていました。一度店内を確認するようなしぐさをして通り過ぎた後、戻ってきた男性が自転車のハンドルを持ったまま商品に近づき、片手で服をハンドル部分にかけて逃走しました。この間10秒ほどです。

店舗管理者 RESTA小堀正弥さん「怒りもありますけど悲しさの方が強いですかね」「一部のかただけなので、ほとんどの方は普通に買い物をしていただいている」

店ではこのほかにも窃盗の被害にあっていて、ことし5月には服を27着盗んだとして69歳の男が逮捕されていました。

#5 真相フカボリ!!「無人店舗を悩ませる 悪質な窃盗」

店舗管理者 RESTA小堀正弥さん「ほぼほぼ(窃盗をした人は)捕まっているので、無人だからといって気軽に犯罪をできる状況ではないので、捕まるぞと、必ずだれかは見ているということで辞めてほしい」

今回取材した市内の3店舗は すでに被害届を提出していて、警察が犯人逮捕に向けて捜査を進めています。


記者解説


#5 真相フカボリ!!「無人店舗を悩ませる 悪質な窃盗」

取材するなかで見えたものはありますか?

濱元晋一郎記者「今回4店舗を取材すると様々な手口があり、急いで盗む人・スマホ決済をしたふりをする人・複数の商品の会計をしてその一部を支払わない人などがいるとわかりました。」

商品を盗むのは 犯罪です。「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられる可能性があります。

「できるだけ価格を安くして利用客に届けようと、人件費を抑えるなどして営業するなかで商品を盗まれてしまうと経営に大きく響いてしまうと店側が肩を落とす様子がとても印象に残りました。」

「無人店舗をとりあげていますが、スタッフが常駐する店舗の窃盗とはどのように違いがあるのでしょうか。」

「盗む側の心理について犯罪心理学などを専門にしている琉球大学の田中寛二教授は「無人店舗のように人目がない場所は、犯人が事件を起こしても発覚しないのではないかと主観的に考えてしまう」として人のいる店舗よりも犯罪が発生しやすい傾向にあると話していました。」

店側が被害を減らすためにできることは、どのような方法があるのでしょうか。

#5 真相フカボリ!!「無人店舗を悩ませる 悪質な窃盗」

濱元晋一郎記者「田中教授は、窃盗の対策として防犯カメラを設置してリアルタイムの映像を店内のモニターに映すことや撮影していることをポスターで大きく周知することを挙げていました。人がいなくても店内が見られているということをアピールすることで、盗む側のハードルがあがると分析しています。さらにスタッフが見回りをしていることを店内で周知して、無人店舗といえど人目がしっかりとあることを発信していくことが大切だとしていました。」

「また、それ以外の方法としては、商品を手に取るまでにひと手間をかけさせることで盗む気を削ぐということを挙げています。商品棚にロックをかけ、利用者に毎回解除してもらい、商品を取ってもらうような方法などがいいのではないかと話していました。」

一部の心無い人のために店側がこのような努力をしなければならないというのも不条理に感じますね。

濱元晋一郎記者「田中教授も「窃盗被害を店だけの責任にするのはお門違い」としていて、地域で犯罪をさせないという意識づくりが必要だとしていました。例えば周りの店舗が協力するなどして外の通りに一定距離毎に防犯カメラを設置して見守っていることをアピールして、地域ぐるみで犯罪をさせないという雰囲気を作っていければより被害の減少が期待できるということです。」

取り締まる側の警察としてはどのようにこの窃盗を見ていますか?

濱元晋一郎記者「警察も防犯カメラの設置してモニターで映像をみせるなどの自主防犯を推奨しています。もし被害にあった場合 容疑者の割り出しにも効果があるとしていて、実際に私がこの取材を始めてから2カ月の間にすでに無人店舗での窃盗事件2件を検挙しています。」

#5 真相フカボリ!!「無人店舗を悩ませる 悪質な窃盗」

県警は迅速な対応をするため県民に、「店舗周辺や店内できょろきょろと周りを伺うような不審な人がいれば躊躇なく通報してほしい」と呼びかけています。

人がいないからといって軽い気持ちで商品を盗むと、店に多大な迷惑がかかるだけでなく、自分や周りにも実害が出てしまいます。決してそういったことがないように、利用する私たちのモラルが問われています。