今月7日、那覇市内で女性が主役の「あるコンテスト」行われました。審査されるのは、見た目や年齢に捉われない「自身の人生のストーリー」です。この大会に特別な思いで挑んだ一人の女性を取材しました。
スポットライトを浴びてステージでまぶしい笑顔を見せる女性たち。女性が自らの無限の可能性に気付き活躍できる社会づくりを目的に47都道府県で開催されているミセスオブザイヤーでは年齢に捉われず自分を表現する女性の生き方から輝く 「美しさ」が審査されます。その舞台に特別な思いで臨む 一人の女性がいます。
成瀬さんご実家にて 「こんにちは~~3姉妹です」
成瀬絵里さん。3児の母として仕事に育児にと忙しない毎日を過ごす成瀬さんにとってこの日々は 決して”当たり前”ではありません。
成瀬絵里さん「(千羽鶴を)そのまま飾っている これ見たら思い出すね」
成瀬さんは23歳の時に「若年性乳がん」と診断されました。女性が患うがんの中で最も多いとされる乳がん。2019年のデータでは、 9人に1人の女性が生涯に「乳がん」を発症すると推定されていてそのうち、35歳未満で発症した乳がんを『若年性乳がん』といいます。
成瀬絵里さん「これからどうしようかなという思いが 社会人1年目だったのでものすごく強かった」
母:絹江さん「今はがんも治る確率が高いが あの時はまだ がん=死というイメージが強くて目の前が真っ暗になりました」
ほかの臓器へ転移は見られなかったものの、38歳で完治するまで 闘病生活は15年にも及びました。
成瀬絵里さん「まだいっぱいやり残したことがあるから 簡単には死ねないと思って」
大会への参加を決めたのも「大病を患った自分だからこそ伝えられることがあるはず」と考えたからです。
成瀬絵里さん「時間も命も 全部無限ではない。どんなに大きい病気になっても 病気じゃなくて困難があっても そこで諦めないで(人生は)一度きりなので二度と戻ってこない時間をがむしゃらに生きてほしい」
一番のサポーターは子どもたちです!
長女・一椛(いちか)ちゃん 「コンテストの練習を毎日車で写真撮りながら頑張っています」
次女・朝陽ちゃん「エントリーナンバー11番。成瀬絵里。私は23歳の時~」
当日、披露するスピーチもいつの間にか覚えてしまいました。
成瀬絵里さん「『お母さんみたいに頑張るからね』といった言葉をもらうとうれしくなる。緊張で眠れませんでした。でもいい思い出になると思うので楽しめたら」
今回、沖縄大会には4つの部門に29人がエントリー。 上位者のみが11月に東京で行われる全国大会に出場できます。
関係者・ファイナリスト(円陣を組む)「ミセスオブザイヤー2024。せ~の沖縄笑顔」
成瀬さんの思いを届ける。舞台の幕が上がりました。
ウォーキング審査の後は、スピーチ審査です。制限時間30秒以内に自身のストーリーを伝えます。
成瀬絵里さん「(心臓)バクバクです~~足も手も全部震えちゃって。さっきも立つのが大変でした~。でも一日しかないのでその緊張を楽しむくらい悔いなくきょうは出し切るだけ」
長女・一椛(いちか)ちゃん「何回も車で練習していたから多分いけると思う」
場内アナウンス「エントリーナンバー11番。成瀬絵里」
成瀬絵里さん「エントリーナンバー11番。成瀬絵里。23歳の時に患った”若年性乳がん” 朝日を浴びるのがこんなにもうれしい 明日が来ることが奇跡17年後の今私はお母さんとして生きています闘病中の皆さん諦めないで。私があなたの光となり明日を照らし続けます。ありがとうございます」
長女・一椛ちゃん「お母さん見てとってもとってもうれしい」「可愛いとっても。ミセスの中で一番かわいい」
すべての出場者がパフォーマンスを終えて、残すは審査発表です。成瀬さんは見事、「審査員特別賞」で11月の全国大会の切符をつかみました。
3姉妹「お母さんおめでとう~~~!」
成瀬絵里さん「頑張ったらなんでもできるから頑張ってよ」
長女:一椛(いちか)ちゃん「大きい声で間違えなくて止まらなかったからすごかった」
成瀬絵里さん「そうだね~初めて言えました」
長女・一椛ちゃん「自信もって言っている感じがした」
次女:朝陽ちゃん「かわいかった~~」
母・絹江さん「立派ですね~きれいですちゃんとやり遂げたということがすごく良かった。よくやったね~~」
成瀬絵里さん「感無量です。きょうの一日の悔いはもうないです。もう明日死んでも大丈夫。そのくらい思い残すことはない。生きていて良かったと思った。一生懸命頑張れば目標を達成することができるし、すぐにやりたいことはできるので後回しにしないですぐに飛び込んでほしいと思う。病気に関わらず いろんな人に希望と光を届けたいと思う」
今をがむしゃらに生きる。成瀬さんはこれからも前へ前へと 走り続けます。参加者一人一人に熱い思いがあって、一人ひとりのスピーチにみんなが耳を傾けて共感したり涙しているのが印象的でした。みんなに「今をがむしゃら生きてほしい」という 成瀬さんの思いが日本中に届くことを願います。