楽園の海、案内は水中カメラマン長田勇さんです。
長田勇さん「よろしくお願いします」
今回のテーマは「サンゴの産卵始まる神秘の瞬間」です。
長田勇さん「梅雨入り宣言のあったその日に、サンゴの産卵撮影して来ました!
今年は天気や気温がなかなか読めませんね、ではVTRをご覧ください
長田勇さん「5月21日夕方6時30分。本部町の山川港より出港です。梅雨入り初日は、もちろん雨模様。フィールダイブの宮原さんと一緒に潜ります。」
長田勇さん「よる7時過ぎに、サンゴの様子をチェックするため、ダイビングです。ここの場所にはテーブルや枝といったミドリイシの仲間が密集していて、5月にサンゴ産卵を観察するには、ベストポイント。水深3mから12mで、まずは早い時間に産卵するサンゴを探します。」
いよいよですね。
長田勇さん「7時40分。ガイドの宮原さんに呼ばれて向かった先では、ウスエダミドリイシが産卵していました。」
ピンク色の卵、バンドルが見えますね。
長田勇さん「すでに半分以上のバンドルが放たれたあと。産み始めて10分くらい経過していた感じです。残っているバンドルの数は少なかったのですが、私にとって今年初の産卵撮影となりました。最後まで残ってたバンドルたちが、サンゴから出た粘膜でくっついちゃっています。」
ほんとですね。
長田勇さん「休憩後に遅い時間に産卵するサンゴを探します。辺りは真っ暗です」
ほんとうに暗いですね!
長田勇さん「水深5mで、セットされている状態のサンゴを発見しました。セットとは当日産卵する確率100%の状態のことで、私たちは「セット完了」と言っています。ダイバー用語またはサンゴ研究者で使われているだけの用語かもしれません。今か今か、と海へ放たれるのを待ち望んでいる感じです」
長田勇さん「メガネゴンベも眠っていますね。寝床にしているサンゴも、セット完了。ブダイも膜を張って爆睡している夜10時30分、テーブルサンゴを中心に産卵が始まりました。」
なんという光景でしょう!
長田勇さん「この日は宮原さんと2人のみで、この海を独占させて頂きました。ここは宮原さんが昨年から調査を始めたばかりの場所で新しいオリジナルポイントなんです。」
すばらしい!
長田勇さん「直径1mに育ったテーブルサンゴも産卵してくれたので、とにかくバンドルの数が多いですねバンドルは水面まで到達した後に弾けて、別のサンゴと受精します。産卵開始から15分が経過すると、中層にあるバンドルの数もかなり増えてきました。」
まるで宇宙を彷徨っている様に見えますね。
長田勇さん「例年、恩納村や本部半島の浅瀬のサンゴは、沖縄本島のどこの地域よりも早く産卵します。この日の水温は23.5℃。梅雨入り宣言の出た日ですし、雨が降っているのに関係なく無事産卵してくれました。石垣島や西表島もほぼ同じ日程で産卵したようです。」
生命の神秘ですね。天候が悪いと産卵に影響がある?
長田勇さん「雨のせいで赤土が流出した水深の浅い場所などは、ひょっとすると産卵が遅れる可能性もあるかもしれませんが、沖合で水深3mより深い所に生息するサンゴには関係ないようでした。」
安心しました。
長田勇さん「昨年は高水温の影響で大半のサンゴが死滅したなどの報道もありましたが各地域のサンゴは、ここ数年でかなり復活してきている様に感じます。私が沖縄に来たばかりの33年前に見た光景に随分と似てきました。今年もこれだけ産卵してくれたら、さらに増えますね」
うれしい限りですね。
長田勇さん「はい、産卵はおよそ1時間続きました。水面はまるで天の川の様。水面に上がるとピンク色の海。生臭い匂いも、嫌じゃなかったです。次の満月は6月22日。この前後の日程でもミドリイシの仲間を中心に様々なサンゴが産卵します。沖縄には多くの種類のサンゴが生息していますので10月くらいまでは産卵が続きます。」
長田勇さん「一生続けていきますよ、僕は!」
ありがとうございました。楽園の海でした。