きのうは旧暦の5月4日「ユッカヌヒー」で、県内各地ではハーリーが行われていましたが、海人の街・糸満市でも「糸満ハーレー」が開催されました。例年通りの開催で、多くの人でにぎわいました。
今月3日、まだ夜が明けない糸満の街に鉦(かね)の音が響き渡りました。糸満ハーレーがことしも開催することを知らせる鉦打ちです。
行事委員会 東恩納委員長「ハーレー鉦が鳴ると梅雨明けも近いと言われているので当日は晴れることを願っている」「非常に心が高まっている」
濱元晋一郎記者「ことしもハーレージョーグーたちの熱い戦いが繰り広げられていて会場にはその熱戦を一目みようと多くの人が集まっています」
訪れた人「糸満市の人間なので知った人が出場するのが楽しい」「地域・門中(の競漕が)あるからこれが糸満ハーレーの良い所」
訪れた人「糸満の一番すごい行事なので(見に来た)」「盛り上がっていました、周りも盛り上がっているので」娘「楽しかった」
訪れた人「母が沖縄が好きでハーレーがずっと見てみたい、転覆が見てみたいということで(福岡から)来ました」
糸満ハーレーは、旧暦の5月4日に豊漁と航海安全を祈願して行われる伝統行事で、市の無形文化財にもなっています。その歴史は450年とも580年とも言われており、地元で長く親しまれながら伝統を繋いできました。10人の漕ぎ手が船に乗り込み、鉦打ちの音に合わせてエークを動かして進み速さを競います。
企業などが出場する職域には、75チームが参加。時折、降る雨にも負けず、トップを目指し力を合わせてエークを漕ぎます。時間にして4~5分の勝負で、650メートルの距離に全力をぶつけていました。
参加したひと(糸満市消防団)「初めて漕いだんですが左腕がもげそうです、でも楽しかったです」「絆も深まりますね」
参加したひと(マルカ水産)「あいにくの天気ですけど、清々しかったですね、汗をかいて、仲間同士でこういった競技ができることに喜びを感じます」「肉体改造をして来年はマイナス10秒を目指したいとおもいます」
応援していた人「今回マルカ水産を応援していて残念な結果だったんですが、来年また頑張って欲しいです」
アヒルとの知恵比べと水泳技術向上を目的にハーレーとともに行われてきた伝統行事の「アヒル取り競争」も行われました。この行事を巡っては、去年、東京の動物愛護団体が動物虐待だと刑事告発しましたが、4月に那覇地検が嫌疑不十分として不起訴処分にしています。
行事委員会では、行事の存続とアヒルの取り扱いについて話し合い、当日、会場に羽や首を無理やり握らないよう呼びかけるポスターを掲示したり、アナウンスで何度も注意喚起をしたりするなどの対策を実施。今回は、100人ほどが参加し、勢いよく海に飛び込んでいました。
そして、会場の注目を集めたのが、漁村・糸満を構成していた旧集落「中村・西村・新島」によるプライドをかけた競漕です。
濱元晋一郎記者「(3者)並んでいます、一気に船が傾き、転覆してしまいました」トラブルが起こったようにもにも見えましたが、これは「クンヌカセー」と呼ばれる競漕で、わざと転覆して体制を立て直して再び勝負を再開するものです。どれだけ早く船のなかの水を外にすくい出せるかが勝負のカギとなります。ことしは「中村」に軍配があがりました。
糸満ハーレーのフィナーレを飾るのは、通常の競漕の3倍以上の2150メートルを漕ぎ続ける「アガイスーブ」です。ハーレーの強者(つわもの)たちのなかでも選りすぐりの実力者のみが出場を許されるものです。
会場全体で応援の声が響くなか、緑とピンクの「中村」と赤の「新島」がほぼ同時にゴール!デッドヒートの行方は?
「優勝!新島!」
コンマ6秒の差で「新島」が2連覇を果たし、ことしの糸満ハーレーを締めくくりました。
行事委員会 東恩納博委員長「ハーレーシンカがこれだけ一生懸命頑張ってハーレーを盛り上げてくれた、何よりうれしいのが行事期間中に事故がなくてけが人も出すことなく無事終えたことに安堵しております」「伝統文化を大切に守ってくれる市民のおかげだと強く感じておりますし、盛り上げてくれた市民に感謝しかありません」
ことしも盛り上がった糸満ハーレー。その一方で、「伝統をどのように後世に繋げるのか?」行事委員会の模索は今後も続きます。