めざせ甲子園、2回目のきょうは宜野座です。春の大会でベスト4に輝き、10年ぶりに夏のシードを獲得。「逆転の宜野座」を掲げ、地元に集まったチームの飛躍のカギは、練習の雰囲気づくりにありました。
宮城岳幸(たけゆき)監督が自作した、「逆転の宜野座」の看板に見守られながら、練習に励む選手たち。公立校として私立に勝つために掲げたこの考え方は「点数の逆転」だけではありません。野球をする上で必要な柔軟な発想や考え方、広い視野を持ってプレーすることを意味しています。
宜野座 比嘉翔吾選手「ピッチャーとして相手の嫌がることを突いて「逆転の発想」をしたら防御率や被安打が少なくなってきたのも数字で出ている(ピッチャー陣は)仲良いし、どうにか抑えてくれるだろうと代わっても信じあえる仲」
夏に近づき、ピッチャーは比嘉翔吾に加え、比嘉恵佑や許田壱哲(いってつ)、比嘉快風(はやて)など個性派ピッチャーが成長し、多彩なラインナップがチームの武器になりました。
そして「逆転の宜野座」の真骨頂は小技を使った攻撃。バントや盗塁を効果的に使い、ランナーの動きや打球の方向などの精度の高さで着実に得点を積み重ねます。それを作り上げているのが毎日の練習。とにかく声が絶えません。
ランナー・バッター・守備位置の動きの一つひとつ、気づいたことは必ずためらわずに口に出すのがチームの共通認識です。
宜野座 漢那透和選手「流したらOKになってしまう。きょうOKだったら一回だけじゃなくてずっと続くと思うので、言うことも優しさなのかな。」
宜野座 比嘉翔吾選手「やってきた分お互い指摘できるところもあるし、他にはない団結力がある。高校は一個一個のプレーに対してプレーを止めたりしてみんなで指摘し合って理解した中でやっている。」
しかし、今の練習の雰囲気は時間をかけてようやく作られたものでした。今年のメンバーは多くが宜野座中学出身。中学3年生の時、県代表として全国大会に出場し、ベスト16に輝いた実績があります。別の中学のメンバーも加わって高校1年生の時からまとまりのある代であるがゆえ、最初は緊張感のなさが目立っていたと言います。
宜野座 宮城武幸監督「自分たちよりも力のある先輩たちが負けていくのを見て、自分たちがこのままではいけないと思ったんじゃないかなと思う。」
2学年上の代は、新型コロナの影響で2回戦で出場辞退、去年の夏は、糸満を相手に9回逆転負け。先輩たちの涙を目の当たりにしてきました。宜野座中でもキャプテンを務めていた石川晄大を中心に高校野球の厳しさを痛感した選手たちは、徐々に高め合う雰囲気を作っていきました。
宜野座 石川晄大主将「甲子園に向けてどれだけ一人ひとりが本気で目指せるか、目標が全員一緒になればチームが自然と一つになると思ったし、もしそれを見失う人がいれば自分が「違うだろ」と引っ張る努力をしてきたつもり」
リーダーシップの高さでチームを引っ張ってきた石川は4番バッターとして打線の中心でしたが、2月に右膝の前十字靭帯断裂のけが。春の大会では、応援団長としてスタンドから見守っていました。一冬を越えたチームの成長に石川は大きな手ごたえを感じていました。
宜野座 石川晄大主将「どのチームに比べても声が出ていたり雰囲気が良かったり、1アウトとか1ヒットに対しての思いがあるチームで、とても良い雰囲気でやれている感じがしてうれしかった。」
今年の春の大会でベスト4に輝き、夏は10年ぶりにシード獲得。それでも準決勝の興南戦に敗れた後は多くの選手が悔し涙を流すなど、その結果に決して満足していません。
宜野座 漢那透和選手「確実に一番強くなったと思うので、自信はついていると思うので甲子園に行きたいです。」
宜野座 石川晄大主将「常に下から下から挑戦者のつもりで一戦を大事に戦って、どうしても甲子園行って恩返しがしたい。」
まだまだレベルの高い野球を追い求め、宜野座から23年ぶりの甲子園へ。グラウンドからは地元に集まった球児たちの威勢の良い声がこだまします。
宜野座(集合)「甲子園行くぞー!」
中学校で実績を残して入学してきた選手たちだったんですが、監督からは「宜野座中4年みたいだな」と、その雰囲気の緩さを指摘されていたそうです。「チームワーク」の本当の意味ってなんだろうと考え抜いて、頼もしい姿になった3年生。夏は公立校の誇りを胸にシード校として23年ぶりの甲子園をめざします。
あすは普天間高等学校です。