2026年の完成に向け再建が進む首里城の今、人々の復興への思いを紹介する『週刊・首里城』です。今週は、先人たちに思いを馳せ復元に臨むウチナーンチュ彫刻家の思いに迫ります。
例年より少~し遅く、雨の季節がやってきた今週。那覇市内でつくられていたのが龍を柱に見立てた「龍柱」です。実は首里城正殿、3対の龍柱があるんです。ありし日の正殿を見てみると、まず、最も知られている正殿の御庭に並ぶ石で造られた大龍柱。そして、階段の上にもサイズが一回りほど小さい小龍柱が立っています。
もう一対は、正殿内部2階の国王の私的空間、御差(うさ)床(すか)に並ぶ木でできた「御差床の龍柱」金色にまばゆく輝く阿吽(あうん)の龍です。
口を開けた「阿形」口を閉じた「吽形」のうち、令和の復元で「阿形」の木彫りを担当するのはこの道35年の彫刻家・儀保克幸さんです。
彫刻家・儀保克幸さん「少しずつ形が違う、ノミを揃えて、それぐらいの量になる変わったところで言うと箱型の「箱ノミ」というものがあって、こういう角を取っていくものになる」
刃(とう)の先が丸かったり真っすぐだったり、微妙にカーブがかっていたり…大小様々60種類以上のノミを場所ごとに使い分けています!4月末からは、石膏原型をもとにおおまかな形をとっていく「荒取り」の段階に入っていて細かく寸法を確認しながらひと彫りひと彫り丁寧に彫り進めています。
彫刻家・儀保克幸さん「沖縄という風土の中で先人たちはどういう龍をつくろうとしていたのか、そういうことに思いを馳せるのがすごく楽しい」「技術的にもすごく高かったと思うし、形は素朴だがまとめられたセンスが光っている。そういうのを彫りながら学んでいる」
儀保さんは龍柱以外にも正殿正面の柱に巻きつく躍動感ある「金龍」や牡丹の花と唐草模様、獅子の力強さを表現した「透欄間」など3種類の製作に携わります。確かな技術が求められる現場。儀保さんの30年以上の経験をもってしても緊張の連続だそうですが、日々、背中を押してくれるのは?
彫刻家・儀保克幸さん「ウチナーンチュの思い」「首里城は当時も沖縄の人が彫っていたという、自分も同じウチナーンチュとしてやってやるぞという感じ。それが原動力」「沖縄独自の造形美みたいなものがちゃんとそこに隠されているんだと気づいてもらえるような彫刻にしていきたい」
ウチナーンチュとしての誇りを胸に。儀保さんの思いが詰まった「御差床の龍柱」は8月末に木彫の作業を終えそれから塗りの工程に入る予定です。
今週末、普段は立ち入れない工事エリアの一部を特別公開するなど明日・明後日(25日・26日)首里城公園ではイベントを開催。詳しくは首里城公園のHPをご覧ください。
首里城 ‐ 琉球王国の栄華を物語る 世界遺産 首里城 ウェブサイトCATCHY 第1部 情報番組 – 5月23日放送 – キャッチー 木曜日