琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。本日もよろしくお願いします。さて今回のテーマは「梅雨直前 やんばるを彩る植物たち」です。
湊和雄さん「先月後半から「梅雨?」と思わせるような空模様ですが、梅雨入り宣言はまだですね。しかし自然界、特に植物たちは既に梅雨の世界です。」
ではVTRをご覧いただきましょう
湊和雄さん「やんばるの山並みは、既に新緑も過ぎ、深い緑に覆われています。雲も低く、既に梅雨入りしたかのようです。」
幻想的です!
湊和雄さん「4月後半からは雨も多いですね。 ダムの貯水率も平年並みに近づきうれしいです」
こちらは美しい花ですね!
湊和雄さん「アオノクマタケランです。私たちの身近な環境で、梅雨の植物というとゲットウでしょう。しかし、森の中ではゲットウに代わってこのアオノクマタケランが咲いています。どちらもショウガの仲間で近い関係なのです。」「ゲットウの花に比べると地味な印象ですが、ちょっと控えめな美しさを感じる花です。 ゲットウの花は下向きに垂れ下がるように咲きますが、アオノクマタケランは直立して咲きます。」
こちらも美しい!満開ですね。
湊和雄さん「森の中で梅雨の花というとイジュの花が知られていますね。遠くから見ると白い花が木全体に散らばって見られ近づくと清楚な印象です。ツバキの仲間で、ヒメツバキとも呼ばれます。」
こんなに間近で見たのは初めて!
湊和雄さん「このコロンカも、やんばるの森で梅雨に見られる花です。」
真ん中が鮮やか!
湊和雄さん「白いのは蕚(がく)で花弁ではありません。黄色いのが花です。低木なので目立ちませんが、アップで見ると黄色い花の部分は星形をしています。ちょっとお洒落ですねクチナシの花です。3月頃から咲き始めていますが、梅雨に入ってもまだ花が見られます。こうして見ると、やんばるの梅雨に見られる花は黄色と白の組み合わせが多いですね。ちょっと地味な印象も。」
雨の雫がクリスタルのように美しい。
湊和雄さん「これまた地味な印象の花。シラタマカズラ。色も地味ですが、花のサイズも控えめで、直径5mmもありません。」「ところが、この花、チョウたちに大人気なんです。このときはたくさんのイシガケチョウが集まっていました。もちろん、地味な色彩の花ばかりではありません。このノボタンはその代表でしょうか。」
花弁に付く雨滴がよく似合っていますね。
湊和雄さん「梅雨に目に付く植物は花だけではありません。この時期に実になっている植物も少なくありません。これはタブノキの実。実は緑色ですが、それを支える軸が鮮やかな赤色で目立ちます。実はやがて黒く熟し、多くの野鳥に好まれます。人間も食べることができます。緑色の果肉で、ちょっとアボカドのような味わいです。」
栄養価も高そう!
湊和雄さん「これはヤナギイチゴの実。綺麗ですね。木イチゴのようなネーミングですが、そうではありません。しかし、食べることが出来ます。シャリシャリとした食感と控えめな甘味があります。」
食べてみたい!!!
湊和雄さん「こちらは、正真正銘の木イチゴの仲間、ホウロクイチゴ。地面に近い低いところに実を着けるので、ヤンバルクイナが食べていることもあります。人間が食べても美味です。」
そして、一般的に知られている森の果物、ヤマモモ。果実酒やジャムの原料にも利用されますね。もちろん生でも食べられます。甘味と酸味が微妙なバランスで、野生の味が楽しめますこれも実なのですが、マメの仲間なので実は鞘の中に入っています。この鞘は長さ50cm近くにもなります。鞘は若いときには、このように緑色ですが、やがて黒くなります。」
湊和雄さん「ちょっと心配な光景に出会いました。本来、3月頃に開花するイルカンダが未だ花を咲かしていました。つまり実と花が同時に着いていたのです。最近このような、通常では見らない状況が自然界で起きています。」
異常気象の影響でしょうか?
今回も貴重な映像ありがとうございました。リュウキュウの自然でした。