琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。本日もよろしくお願いします。さて今回のテーマは「チョウたちの恋の季節」です。
湊和雄さん「前回、前々回と春のやんばるの森の昆虫の主役を紹介しました。それは 意外にも、チョウではなく甲虫でした。しかし、最近少しずつチョウたちの姿も増え始めプロポーズ(求愛)のシーンが観察されるようになってきました」
咲恋の季節なんですね!ではVTRをご覧いただきましょう
湊和雄さん「まず、イシガケチョウ。葉の裏にとまるメス(右)に接近してときどき翅を開いたり閉じたりするオス。もう頭と頭、特に触角は触れ合うほどに接近しています。」
くっついてますね!
湊和雄さん「求愛行動でしょう。しかし、この後メスはどこかに飛び去ってしまいました。人間界でも、よくある展開ですね。」「次は沖縄を代表するアゲハチョウ・シロオビアゲハ。数も多いので、この求愛シーンもそれほど珍しくはありません。結構観察できる機会があります。」
そうなんですね。
湊和雄さん「花で蜜を吸うメス(右上)の背後から近づくオス(左下)。オスはほとんどヘリコプターのようなホバリング状態ですね。」
湊和雄さん「この後、エスカレートすると、オスはメスの上で求愛行動を続けることが多いのです。時には、よく観察するとこのようにオスが背面飛行していることもあります。」
ほんとだ!すごい!背面ですね。
湊和雄さん「これはオスの翅の表面をメスによく見えるようにするための行動にも思えますが、チョウの求愛は匂いに頼っていることが多いと言われます。」
匂い!?
湊和雄さん「そうです、オスは発香鱗(はっこうりん)という鱗粉を持ち、そこからフェロモンを分泌しています。その鱗粉がどこにあるかは種類によってかなり異なるようです。この姿はそれに関する行動かもしれません。」
湊和雄さん「次は、沖縄県の蝶オオゴマダラ。」
美しいですね!
湊和雄さん「はい、日本最大のチョウですね。このマダラチョウの仲間は、鱗粉ではない器官からフェロモンを発します。やはり花で蜜を吸うメスの上でホバリングするオス。このときに特徴的なのは、尾の先を下に向けていることです。」「メスの体に触れそうになることもあります。そして時々、尾の先からクリーム色の針のような器官を出します。」
ん!?見えたような・・・
湊和雄さん「雌雄が重なってしまってよく見えませんでしたが、こちらはオスが空中にいるので先ほどよりか分かり易いでしょう。」「先ほどは針のように見えたものが、左右1対に分かれ、そこから毛が生えていますね」
見えました!
湊和雄さん「これはマダラチョウの仲間のオスに特有のヘアペンシルと呼ばれる器官です。ここからやはり求愛フェロモンを分泌します。」
ヘアペンシル・・・初めて知りました!
湊和雄さん「オオゴマダラのヘアペンシルは日本最大の体に比べると小ぶりで、色彩的にも目立たないものです。それに比べて、このツマムラサキマダラのものはよく目立ちます。オスの特徴の前翅の紫色とは補色関係の黄色で、房状をしています。」
わー鮮やか!まるで花のようです、サガリバナみたい!
湊和雄さん「しかし、この映像は20倍スロー映像で、実際にヘアペンシルが見えているのは1.2秒程度の時間です。肉眼では一瞬黄色いものが見えた?程度の出来事なのです。さらにオオゴマダラは1秒以下のことが多く肉眼ではほとんど気づきません。」
子供のころにチョウを触ったことはありましたが知りませんでした。1秒以下だとわからないですよね、自然界のフシギ!!感動しました。今回も貴重な映像ありがとうございました。以上リュウキュウの自然でした。