続いては、今を生きる私たちが沖縄の未来を見ていく「イマジン沖縄」です。今回は、私たちの生活に欠かせない水道水について取り上げます。日ごろ、あまり見ることのできない水道水をチェックする機関にカメラが入りました。どのような検査が行われているのか?密着しました。
みなさんが毎日必ず使用する水道水。その安全性などについて考えたことがありますか。
音を立てて回転する機械。機械にセットされる容器。この施設では先端技術を使って検査が行われています。きょうは水道水に厳しい目を向ける人たちに密着します。
濱元晋一郎「私たちがよく利用している水道水。この安全はどのようにして確かめられているのでしょうか」
朝の公園に慣れた手つきで水道からビンに水を汲む男性がいました。
那覇市上下水道局 配水課 上原恵介さん「給水区域の末端の公園の蛇口から水を採取して検査をおこなっています」
那覇市の水道局では市内全域の配水池などから送られている水道水を、給水区域の末端部分に設定した10カ所から採取しています。色が変化していないかや、濁っていないかという目に見える変化は毎日ポイントをまわってチェックしているといいます。
ほかにも月に1度から年に1度の検査があり、水道水に含まれる菌や成分の確認などすべてあわせると51項目にのぼります。各エリアから採取した水道水が集まるのが県環境科学センターです。
県内のほとんどの水道水の検査を請け負っており、検査員の経験と先端技術を駆使して分子レベルで細かく見ていきます。今回特別に検査の現場にカメラが入りました。
採取した水を温め始める検査員。味と臭いがはっきりする40度から50度ほどの温度にし、どのように確認するかというと、口に含みます。
県環境科学センター 水道検査課 仲座凜太郎さん「異常なしで水道水の一般的な香りでした」
検査員は「腐敗臭」や「生臭臭」など様々なサンプルの臭いを覚えていて、微妙な味の違いを自身の味覚を頼りに感じとって検査に臨んでいます。
那覇市では3カ月に1回人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物「PFOS」の濃度を調べます。まず特殊なカートリッジに水をくぐらせて、PFOS成分のみを吸着させて取り出します。
そのカートリッジにメタノールを注入し、PFOS成分が溶け出した液体を抽出します。そして、液体に窒素を吹きかけたり、装置で残った成分を取り出したりして1ミリリットルまで濃縮しました。
特殊な計測器で濃度をグラフ化して、山の大きさで基準値以下かどうかを見ていきます。
県環境科学センター 水道検査課 新垣弥優さん「基本的には(水道水のPFOSの濃度は)低い、完全にゼロというのはないが、検量線以下の低い濃度で検出されて数値化される。問題ない状態」
ことし2月に行った前回の検査では、国の暫定指針値である1リットル当たり50ngなのに対し、1ng未満となり安全性が確認されました。
一般細菌・大腸菌の検査。実は日本に数台しかない「自動培養装置」というものです。自動培養装置を使用することで検査の対象となっている細菌を他の細菌と混ぜることなく培養できます。
そしてさらに菌が繁殖しやすい温度とされる36度に設定した部屋におかれ、24時間後に菌が基準値以上に繁殖していないか調べます。最後にチェックするのはやはり人の目です。
県環境科学センター 水道検査課 友利志乃さん「那覇市の場合は菌の繁殖はゼロです。一般細菌の検査方法ではゼロということになります。」
検査項目はこのほかにも多岐にわたり、そのうえ検査する水が搬入されてから12時間以内に着手しなければならず、自治体からの依頼が重なると昼ごはんも食べられず帰りが夜遅くになることもあるといいます。
県環境科学センター 水道検査課 吉川大介課長「県民のみなさんの安全安心を守るということが、弊社の設立の意義でもあると思っているので、水道水の分析を通して県民のみなさんに安心してもらえるところにやりがいを感じています。」
蛇口をひねれば普通に使用できる水道水。その影には安心・安全を届けるために多くの人たちによって支えがありました。
水の検査は各市町村で同じように行われています。那覇市上下水道局では検査結果をウェブサイトで公開しています。
県環境科学センターでは水道だけでなく、店舗で販売される食品や輸入食品の成分分析(検査)なども行っています。
水質検査結果等|那覇市公式ウェブサイト