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1996年に日米両政府が普天間基地の返還に合意してからあすで28年となります。時を経ても宜野湾市の中心で運用が続く普天間基地。住民たちはオスプレイなどがまき散らす軍用機の騒音にひたすら耐え続けています。さらにオスプレイを巡るずさんな管理も見えてきました。

橋本総理(当時)「普天間飛行場は今後5年ないし7年以内にこれから申し上げるような措置が取られた後に全面返還されることになる」

1996年4月12日、当時の橋本総理とアメリカのモンデール駐日大使が会談。普天間基地の返還が決まりました。

橋本総理(当時)「同時にこの決断は沖縄県及び沖縄の方々の強い要望を背景としてなされたものである」

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

返還合意を発表する会見で橋本総理は沖縄への配慮を強調、しかし県民からは反発の声が上がりました。あくまで県内への移設が条件とされたためです。

県民「自分たちが求めているのは最終的には全面返還」「機能を移すとかそういうことで機能を保持しながら一部ずつ返還するのはやはり満足できる結果ではない」

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

あれから28年。今も普天間基地の運用は続き、返還どころか上空を行き交う外来機は増加傾向にあります。2017年度に普天間基地に着陸する外来機は415回でしたが、翌年には1700回(1756回)。2021年度には3400回(3446回)を超えています。

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

緑ヶ丘保育園神谷武宏園長「あの合意ってまだ生きているんですかね」「というふうに疑いたくもなるでも合意したわけだから日米でちゃんと合意して普天間基地は返還されるとなった訳だからそういう経過を見せてほしい」

普天間飛行場の東側にあり滑走路からわずか1キロの場所にある緑ケ丘保育園。7年前、ヘリの計器カバーとみられる部品が園舎の屋根で見つかりましたがアメリカ軍は今も落下させたことを認めていません。さらに普天間返還の条件となる代替施設・辺野古新基地は建設が難航、状況は28年前と何ひとつ変わっていません。

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

緑ヶ丘保育園神谷武宏園長「名護に移設したら普天間基地はなくなるのかという状況も見えてこないもしかすると名護に基地ができて普天間が残るならさらに基地が増えてしまうという状況にならないかここに住んでいると感じる」

日米は「長い滑走路のある民間施設の使用改善」を条件に普天間返還に合意。県内で大型機が発着できる3000メートル級の滑走路がある施設は普天間基地などに限られていて7年前には当時の稲田防衛大臣が国会で「条件が整わなければ返還はされない」と答弁しています。

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

緑ヶ丘保育園神谷武宏園長「基地が閉鎖に向かっていく」「ゴー」「きょうも結構飛んでいる午前中から」「こういうことがなくなっていかないといけない合意された訳だから」「閉鎖に向かっていくような状況、オスプレイも減らしていくとかそうなってほしいしならないところに本当に返還されるのか疑問だらけ」

普天間基地周辺で軍用機がもたらす騒音について調査している琉球大学の渡嘉敷健(とかしき・たけし)准教授。去年11月に屋久島沖で墜落し12月から飛行が止まったオスプレイについてその前後で騒音を調べたところ、停止後の数値が大きく下がったことを突き止めました。

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

琉球大学渡嘉敷健准教授「数値的には下がるだろうと思っていた10デシベル以上の数値が下がるのはそれだけオスプレイの運用が多くなってきたということ」

さらに渡嘉敷准教授は、先月飛行を再開した普天間のオスプレイ24機のうちたった1機が飛行再開のわずか8日前にエンジン調整している様子を確認していて、塩害がもたらされる沖縄で3カ月に渡って放置されメンテナンスもろくにせず飛行を再開したことを危惧しています。

琉球大学渡嘉敷健准教授「エンジン内部フィンの部分のサビでファンが中で破損するとかにつながったら事故の確率は大きくなる」「簡単なエンジン調整で済ませていいのかと思う」

私たちは沖縄防衛局に飛行を停止していたオスプレイがどのように管理されどのようなメンテナンスを経て飛行を再開したか尋ねました。

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

沖縄防衛局「事故を受けて日米間では前例のないレベルで技術情報に関するやりとりがなされており、特定の部品の不具合が発生したことが事故の原因であるとの認識に至りました。当該原因に対応した各種の安全対策の措置を講じることにより同種の不具合による事故を予防・対処することができると考えています」

東京新聞の元記者で防衛ジャーナリストの半田滋(はんだ・しげる)さんは、オスプレイの運用について指摘します。

防衛ジャーナリスト半田滋さん「定期整備は5年に1回ある。沖縄にオスプレイが配備されたのが2012年12月本来であれば1機に2回くらいは定期整備をやっていないといけない。そのペースになっているかという疑問はある」

普天間返還合意から28年~動かぬ基地~

さらに28年が経とうとしている普天間返還合意については。

防衛ジャーナリスト半田滋さん「住宅地のど真ん中に普天間基地があって、いつでも物が墜落したり、落下したり、実際に沖縄国際大学にはCH53という大型ヘリが落ちた」「世界一危険とアメリカのラムズフェルド国防長官が言った言葉、そういったものをずっと使い続けている住民の安全軽視としか言いようがない」

あの時交わされた返還合意とは移設合意ではなかったのか?考えるべき時が来ています。