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琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。 本日もよろしくお願いします。

湊和雄さん「よろしくお願いします」

さて今回のテーマは「やんばるに新しい生物がデビュー」です。

湊和雄さん「はい、その生き物とは「ヤンバルトカゲモドキ」です。先月末、やんばるに新しい生物としてデビューしました。新しい学名が与えられたので新種と言えばそうなのですが、突然発見されたのではなく昔から知られた存在なのです。」

ではVTRを見てまいりましょう。

湊和雄さん「これがヤンバルトカゲモドキ。実は以前から知られていた存在で、これまではクロイワトカゲモドキと呼ばれてきました。」

しなやかで美しいですね。

リュウキュウの自然「やんばるに新種デビュー ヤンバルトカゲモドキ」

湊和雄さん「はい、クロイワトカゲモドキは、やんばるだけではなく沖縄本島全域に生息しています。」「名護市以南のものはこれまでどおりクロイワトカゲモドキ、それより北のものと古宇利島産が独立してヤンバルトカゲモドキになりました。」

それで新種と呼ぶんですね。

湊和雄さん「はい、ヤンバルトカゲモドキはの特徴は背中の縦と横の帯模様がないか、ボヤけているのです」

帯の模様がたしかにほとんど見えませんね。

湊和雄さん「しかし、こちらは赤みのある横帯、そして途切れてはいますが縦帯が見られます。」

頭の方ですね、縦です!

リュウキュウの自然「やんばるに新種デビュー ヤンバルトカゲモドキ」

湊和雄さん「そうなんです、これも、同じヤンバルトカゲモドキです。このように典型的な模様は 意外に少なく、例外が多いのです。それ以外の識別ポイントは、捕獲してしか確認できない細かいものです。」

判別が難しいのですね。

湊和雄さん「そう。しかし天然記念物なので、許可を受けないと触れません。私が気になるのは、陸続きの生息地の境界線付近はどうなっているのかという点なんです。」

古宇利島産はともかく名護市の境界線が気になりますね。

湊和雄さん「一般に新種登場というとヤンバルクイナのようなイメージでしょう。1981年に突如新種として発表され大きなニュースになりました。このときは、もう日本国内で鳥の新種は発見されないと言われていましたから、余計に驚きでした。」

リュウキュウの自然「やんばるに新種デビュー ヤンバルトカゲモドキ」

この話題は日本中を席巻したと聞きました。

湊和雄さん「そうです。こちらはその2年後の1983年に新種発表されたヤンバルテナガコガネ。これも同じような例です。実は小さな昆虫は今でも新種発表が続いています。しかし、これは日本最大の甲虫。これもまた驚きでした。」

ほんとに手が長い!日本最大の甲虫、貴重な存在ですね。

湊和雄さん「今回のヤンバルトカゲモドキに似た例は、オキナワイシカワガエルです。」

カメラ目線!かわいらしい!

湊和雄さん「かつて、やんばると奄美大島に共通のイシカワガエルが生息するとされていましたが、2011年にそれぞれ独立してオキナワイシカワガエルとアマミイシカワガエルになりました。別の島ですし、識別に困ることはありません。」

リュウキュウの自然「やんばるに新種デビュー ヤンバルトカゲモドキ」

湊和雄さん「さらに似た例は、トゲオトンボでしょう。それまでリュウキュウトゲオトンボという種類が沖縄本島北部に生息していました。それが2005年に南部側のものはオキナワトゲオトンボになりました。翅の先端に黒い紋があるのが特徴です。」

湊和雄さん「そして、やんばるでも北側に生息しているトゲオトンボはヤンバルトゲオトンボに独立しました。翅の先端まで透明なのが特徴です。」

学術界は日々アップデートされているんですね。

湊和雄さん「そうですね。このような例もあります。以前から存在を知られているグンバイウンカの仲間ですが正式な名前がありません。その理由は、このグループ全体の研究が進んでいないので学会で発表して和名や学名を登録(記載)できなのです。昆虫では意外と、特に沖縄ではこのようなことが少なくありません。ヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネのような例のほうが少ないとも言えます。」

リュウキュウの自然「やんばるに新種デビュー ヤンバルトカゲモドキ」

私たちはすばらしい自然のすぐ近くで生活しているんですね。そして研究者の方たちが常に調査されていることを改めて知りました。私もきょうから小さな昆虫をよく観察してみようと思います。

今回も貴重な映像ありがとうございました。リュウキュウの自然でした。