おきなわの未来を考える「イマジンおきなわ」です。今回は、高齢者ドライバーが事故を起こすことなく安心して運転を続けるために大切なことを考えます。
70歳以上の高齢者が運転免許証を更新する時には必ず「高齢者講習」を受けて安全な運転を続けられる能力があることを確認する必要があります。
年を重ねると動体視力や瞬時に判断する力がどうしても低下してしまうため、「高齢者講習」が自分の運転を見直すきっかけになります。
運転免許センターの教習コースを走る車の中では指導員よりも年上の男性ドライバーがハンドルを握っています。
車中でのやりとり「今のところも右側車線に移らなければいけなかったですね」「一時停止だったんですけど完全に止まってなかったです気付きましたよね?」「はい」「あれだと止まったと言えないのできちんと止まってから確認して発進するのをお願いします」
免許を更新するための講習を受けていました。
高齢者講習を受けた人・浦添市 新里明さん(71)「車社会ですので車がないと仕事にも買い物にもいけないので」「日ごろ運転はしているんですけど特に高齢者にとっては(講習が)必要なのかなと感じます」「高齢者になりますと認知機能も衰えるし身体の機能も衰えるし特に高齢者になると大きな事故につながる可能性が大きいので運転には十分気を付けなければいけないと感じております」
県警本部交通部・運転免許試験課・戸眞伊隆・高齢運転者支援係「指導員としてはちょっとした油断が取り返しのつかない大きな重大事故につながるということを高齢者にもわかりやすく伝えていけるような講習を行っていきたいと思っています」
県内では先月、高齢ドライバーによる死亡事故が相次ぎました。
濱元晋一郎記者「目撃者の話によると、この付近で歩行者をはねた車はそのまま止まることなく直進し続け、工事用のバリケードに突っ込み停止しました」
1月6日、浦添市の国道58号では工事のために車道に設けられた仮設の歩道に81歳の女が運転する軽乗用車が乗り入れ歩行者2人をはねました。1月16日、那覇市の国道331号では87歳の女が運転する軽乗用車が交差点を左折した時に横断歩道を渡っていた83歳の女性を巻き込みました。2つの事故の共通点は「高齢者が車を運転していた」ことです。
警察のまとめでは去年、県内で起きた「死亡事故」は38件にのぼります。このうち「高齢者がドライバーだった死亡事故」は15件で全体の4割を超えていました。
70歳以上で運転を続けようと考えている人は免許を更新する時に必ず「高齢者講習」を受けないといけません。各地の「自動車教習場」、もしくは、豊見城市にある「運転免許センター」で受けることができます。事前の申し込みが必要です。
講義が始まる前の一言「よろしくお願いします。きょうは高齢者の講習を行っていきます」
受講者は初めに指導員による1時間の講義で交通ルールや安全運転に関する基礎知識を再確認します。また、測定器を使って、動体視力や夜間視力、視野などを調べます。最後は、教習所のコースをまわる運転講習です。段差に乗り上げた時にとっさにブレーキを踏めるのか反射神経を確かめたり、S字カーブや見通しの悪い交差点を通って車を運転する力を確認したりします。
車内のやりとり「初めてのコース、道がわからないんだよ」「わかりにくい道路だからと言って事故を起こしたら言い訳にならないですから」「どんな所を通る時にも標識、表示をよく見るようにして運転をしていけばもっといい運転になると思いますのでよろしくお願いします」
受講者は指導員から曲がる時にはスピードを緩めることや車線変更をするときには早めにウインカーを出すこと、一時停止ではしっかり止まるなどアドバイスを受けていました。
高齢者講習を受けた人・南城市 仲田勉さん(69)「だいぶ視野も狭くなって来ている」「今後、自覚する意味では(講習を受けて)ちょうど良かったと思います」「スピードを控えめにと(指導員から)言われたので今後、気をつけていこうかなと思っています」
県警本部交通部・運転免許試験課・戸眞伊隆・高齢運転者支援係「もし運転に不安を感じた高齢者やその家族の方は相談ダイヤルの活用や運転免許の返納も検討してほしいと思います」「いざという時に慌てず落ち着いて正確に対応できるように長い運転経験を活かして常に道路の危険を予測しながら運転していただきたい」
高齢ドライバーによる悲しい事故を未然に防ぐため警察では「免許の自主返納」も呼びかけています。事故のない安全な社会をつくっていくためにも現在の運転能力がどういった状態なのか自覚することが大切です。