沖縄県うるま市にあるゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を新たに整備する計画について防衛省は、2月12日に説明会を開いて訓練場の建設に理解を求めましたが、地元の住民たちからは「生活に影響する」などと計画に反対する声があがりました。
防衛省が実施した説明会は、沖縄県うるま市石川地区のうち旭区と東山区の2つの地区が対象となっていて、会場には約300人が集まりました。
国は陸上自衛隊第15旅団を「師団」に改編する人員の増加で「訓練場が不足している」ことから、うるま市にあるゴルフ場跡地約20haを取得して新たな訓練場を新設する計画を進めています。自衛隊の駐屯地などから交通のアクセスが良いことや、すでにゴルフ場として開発されているので工事による自然環境への影響を抑えられることなどが説明されました。
参加した市民からはさらなる基地負担につながることへの不安や、沖縄が再び戦場になるのではないかといった有事の際に訓練場の使用に対する懸念のほか、生活環境に悪影響を及ぼすなど質問や意見が相次ぎ計画の撤回を求める声もあがりました。
説明会の参加者「ちゃんと説明してほしかった。区民の意見になにも答えていなかったような気がします」
説明会の参加者「(防衛省側が)目を見て聞いてないなって感じがして、面倒くさいのかなとか、もう早くしてよって感じで、終わらせたいのかなと思いました」
説明会の参加者「もう本当に許しがたい。(市民側は)ほとんど納得していないと思います」
説明会の参加者「今回の説明会は(新たな訓練場を)絶対に造らせてはいけないという意思表示」
国は陸上自衛隊の訓練場建設に向けて、2024年度に用地を取得して2026年度に工事を始める予定です。
陸自訓練場の整備計画とは
防衛省がうるま市で進めている「陸上自衛隊の訓練場の整備計画」を詳しく見ていきます。
なぜ、うるま市なのかというと、ゴルフ場跡地にはおよそ20ヘクタールの面積があって、必要な内容と規模の訓練が実施できる一定の広さを確保できるためだと説明がありました。
この場所では、「新隊員の教育」のため、射撃動作などを身に着けたり、警戒や警備の訓練が行われるほか、部隊を展開させる訓練や災害に対応する訓練なども行われます。
周辺地域への影響を最小限にするため、実際に訓練をする時に、大きな音がする「実弾」や「空包」そのほか、照明や発煙筒といった化学火工品は使わないとしています。災害時や緊急時を除いてヘリコプターを使わないうえ、車両は住宅密集地を避けて走行するほか、夜間の訓練を実施する場合には周辺住民に通知するとしています。また、「訓練場をアメリカ軍が使用することは想定いていない」ということです。
説明会はゴルフ場跡地に近い旭区と東山区の2つの地域しか対象になっていませんでしたが、うるま市石川地区にある15の自治会でつくる会長会では訓練場の整備計画に反対することで一致していて、石川地区全体への説明を求めています。
参加した人たちの話を聞くと今回の防衛省の説明会は、地元の理解を得たり不安を払拭したりするということとはほど遠く、「地元の人たちに向けて説明した」という既成事実を積み重ねるためだけだったような感じがしてなりません。