辺野古新基地建設をめぐり国が県に代わって工事を承認する「代執行」に向けた裁判が2023年12月20日に開かれ、裁判所は国の主張を認め県に設計変更の申請を承認するよう命じました。
この裁判は辺野古新基地建設の軟弱地盤を固める工事をめぐる最高裁判決で、県の敗訴が確定したあと玉城知事が埋め立て工事を承認できないとしたことから、国が代わりに承認する「代執行」の手続きを進めようと起こしたものです。
これまでの裁判で原告の国は「知事が承認しないことは、法令規定に違反する」などとして承認命令を知事に出すよう求め、県は新基地建設問題で国がこれまで対話の努力をしていないなどと主張し、国の請求棄却を求めていました。
2023年12月20日の判決で、福岡高裁那覇支部の三浦隆志裁判長は「地方の行政機関である県が確定した最高裁判決を放置することは、社会公益の利益を甚だしく害するものと言わざるを得ない」と国の主張を認め、県に対して判決文の送達を受けた翌日から3日以内に設計変更の申請を承認するよう命じました。
一方、判決の中で「歴史的経緯などを踏まえれば県民の心情は十分に理解できる」とし、「普天間飛行場の代替施設をめぐる一連の問題に関しては、相互理解に向け対話を重ねることで抜本的解決の図られることが強く望まれる」と国に対しても指摘しています。
辺野古の軟弱地盤をめぐる代執行訴訟の判決は国と地方の関係に一石を投じ、地方自治のあり方を問うものでした。きょう1日を振り返ります。
午前9時すぎ、県庁。
玉城知事「県民の思いにそった判決が出されることを期待いたします」
午前11時、裁判所。
寺崎未来アナウンサー「午前11時すぎです。小雨がぱらついています。裁判所は普段と違う規制がしかれていて、多くの報道陣が集まっています」
32の傍聴席に172枚の抽選券が配られる。
県民「いろいろ話し合いをして(国は)沖縄側の言い分もきいてほしいですね」
午後2時前、常住智史記者「まもなく判決が出る午後2時です。裁判所前にはプラカードをかかげる人の姿もあります」
午後2時、判決。
県民「できたら上告だと思っています」
県民「どうしたら沖縄県民の声が国に受け入れてもらえるんだろうなという疑問がより深まりました」
斉藤鉄夫国交大臣「沖縄県知事におかれて本日の判決に従い定められた期限までに承認頂きたいと考えております。私たちも丁寧に普天間基地の危険除去のために何が必要なのかということを丁寧に沖縄県民の皆様に説明をして参りたいと思っております」
松川宜野湾市長「非常に残念。なんとか打開の道を対話でやるべきだったのでは」
県との間にますます大きな溝を作りかねない、国が踏み切る代執行という強硬手段。
普天間基地の移設問題は、県が求める「国との対話」がないまま結末を迎えるのでしょうか?