今を生きる私たちが沖縄の未来を考えてゆくシリーズ「#IMAGINEおきなわ」です。沼尻さん、これ何だかわかりますか?
沼尻アナウンサー「見たことない果実ですね、新種のシークヮーサー?」
惜しい!これ実は外国原産のある果物なんです。これを島の特産品にしたいとやんばるで奮闘する男性たちを取材しました。
飛び出す無数の果肉!(まるでビックリドッキリメカのよう!?)この果物の正体は一体? 実はこれ、巷で話題の「フィンガーライム」という柑橘類なのです。
この粒々した果肉から「森のキャビア」とも言われ食感はプチプチとして楽しく、色も綺麗で香りも良いので料理やカクテルなど様々なものに使われ始めています。
そんなフィンガーライムをやんばるの特産品にしたいと奮闘する男たちがいました。
宜野座村の農園。黙々と作業をする二人の男性の姿がありました。フィンガーライム農家の井上さんと鈴木さんです。
大阪出身の井上さんは2005年、病気療養のために住んだオーストラリアでこの果物に出会いました。
Ino Mind 株式会社 井上 幸一(いのうえ・こういち)さん「オーストラリアではブッシュライムといって、もともとは棘がきついので家畜を守る、実を採るんじゃなくてブッシュとして囲い的な要素で昔からあるものなんです。」
割って剥いて出したときの印象がすごく強くて、これは出来たら日本で作ってみたい、売ってみたいってまず思って。
その魅力に取りつかれた井上さんははじめ、果実を輸入しようとしましたが。
Ino Mind 株式会社 井上 幸一さん「「オーストラリアから持ち込むときに冷凍にしないとこっちに輸入できなかった、冷凍にするとあのプチプチ感が味わえないということで何とか日本で作れないかと思った時にオーストラリアの気候条件と合うのが日本では沖縄しかない。」
そして、2019年から沖縄で栽培を始めました。
『種からだと6年』
接ぎ木による栽培で、ホストとなる台木(だいぎ)を通常は「カラタチ」で作りますが、井上さんは「やんばるの特産品にしたい」という思いからシークヮーサーで作り始めます。そのフィンガーライムを「やんばるライム」と名付けました。
3年ほどで実を収穫できるようになるという事です。そんな井上さんと名護で出会い、栽培を手伝うようになったのが徳島県出身の鈴木さん。
Ino Mind 株式会社 鈴木 公瑛(すずき・こうえい)さん「割って、プチプチって、こう出てきて、噛んだら噛んだ瞬間に音が鳴ってライムの味になるところに感動を覚えたので」
ふたりは今年、会社を設立。2000株を栽培するまでになりました。
Ino Mind 株式会社 井上 幸一さん「「私の最終目標はシークヮーサーと同じような、並んでフィンガーライムが沖縄で出来ている、それを目標にしたものですから
ナレ)しかし、そんな二人を悲劇が襲います。8月の台風6号です。
Ino Mind 株式会社 井上 幸一さん「「一番はじめに作った、これから実になるやつがダメになった非常に残念です。
大宜味村で育てていた、今年からいよいよ収穫できるという木々が台風で壊滅してしまいました。九州で栽培していた2000の苗木も7月の集中豪雨でダメになってしまったのです。
Ino Mind 株式会社 鈴木 公瑛さん「正直農業ってそんなに大変じゃないんじゃないか、水やったりとかっていうくらいだと思っていたんですけど」
農業を経験したことのなかったふたり。度重なる被害に心折れそうになりながらも日々、頑張っています。完全無農薬で育てているため、青虫やカイガラムシ、カタツムリなどの駆除をひとつひとつ手作業で行っています。
Ino Mind 株式会社 鈴木 公瑛さん「愛をちゃんと入れてあげないとすぐ枯れてしまうので、日ごろの手入れだったりとか力作業のところもあるので」愛をと言った?「そうです」LOVEの愛?「はいそれを日々込めて、初心者なのでわからなくて、よく話しかけたりとかした方がいいのかなって元気になってねーとか言ってます」
そんなふたりの「愛」のこもったフィンガーライム、料理になるとこんな風になるんです!たくさんの種類があり、色や形も様々。井上さんはオーストラリアから19品種を輸入し沖縄の風土気候に合う6種類ほどを選び育てています。
フードアーティスト 崎浜 温子(さきはま・あつこ)さん「初めて食べて、まず感動したのが口の中に入れた時のプチプチ感。その時の感動をまだ覚えてるんですよ。」
県産食材を使ったレシピや商品を開発し発信しているフードアーティストの崎浜さんも、この果物の魅力に取りつかれた一人です。
フードアーティスト 崎浜 温子さん「まず見た目がすごくかわいい、流石森のキャビアと言われているふうに何にでも何に乗せてもすごく映えるんです、味も口の中に入れるまで損なわれない」
Ino Mind 株式会社 井上 幸一さん「イタリアンとかフレンチのシェフが感動されて、レモンでもすだちにしてもシークヮーサーも「絞る」ということと、つぶつぶが出るということは大違いなので他にないと思う」
フードアーティスト 崎浜 温子さん「驚きと、あと、おいしいが一緒になると「嬉しい」になると思うんですね、これってごはんを食べる事への喜びになると思うんです。それってすごい幸せなことでこのフィンガーライムひとつでみんなを幸せにできるこれが私が一番すごいなと思っている事(たくさんの人たちに食べてもらいたいと思います)」
Ino Mind 株式会社 鈴木 公瑛さん「まだまだ知っている人が少ないので、これからの植物というところの未来の可能性も感じますし、たくさんの人に知ってもらって、いろんなところで使われるようになったら自分たちが愛をこめて育てたものが、お客さんが喜んでもらえたりとか、飲食店がたくさん使ってもらえるっていう姿が今一番の夢だなって」
Ino Mind 株式会社 井上 幸一さん「「第2のシークヮーサーに北部でなってくれればいいなと思ってます」
美しくておいしくて楽しい!そんなフィンガーライムがやんばるの特産品になる日も近い、かもしれません。
と、いうことでこちらがそのフィンガーライムです。先ほどのものを割った状態です(絞って出してみる)わ~面白いですね!香りも良いですね。
試食してみると、「うわプッチプチだ!」
栄養はビタミンがミカンの3倍、葉酸、カリウム、ビタミンEなどが含まれています。このフィンガーライム栽培については今、クラウドファンディングを実施しているほか、栽培に協力してくれるボランティアさんや、自分で栽培してみたい!という人には苗木の販売もしているそうです。
詳しくは「やんばるライム」で検索してみてください。
やんばるライム | 沖縄産フィンガーライムを産地直送 – Ino Mind 株式会社