ボクシングの話題です。迫力あるパンチで相手を倒すことが魅力の競技ですが、今回県内で開かれた大会では何と、そのパンチを「当てない」んです。ボクシングが生涯スポーツとして新たな形を見せ始めています。
きのう沖縄水産高校で行われたボクシングの大会。選手の息遣いや周りの声援の中、ヒットするパンチの音は聞こえません。これは「マスボクシング」と呼ばれ、普段の練習で行なわれる寸止めで攻撃や守りの形をつくっていくためのもの。
拳を当てない攻防はそのまま競技として採用され、2年前からは全国大会が行われています。沖縄でも今回初の大会開催となり5人の選手が総当たりのリーグ戦に参加しました。
阿波連本親さんは泊高校の教師で、高校時代はインターハイで2年連続の全国優勝。
泊高校教師・阿波連本親選手「当てない分だけ自分が普段練習しているものがリング上ですごく表現しやすい。老若男女リング上で楽しむことができるのではないかと思った」
その元日本王者の胸を高校生が借りました。
沖縄水産1年・中村龍選手「10月の頭から(ボクシングを)始めて、ボクシングは6カ月経たないとちゃんとした(大会に)出られなくて、これ(マスボクシング)は6カ月経たなくても出られるということだったので経験として出場した」
熱くなるとパンチがあたることもありますが、マスボクシングでは減点。寸止めながらより有効打を放ったと判定された選手にポイントが入り、ラウンド後のジャッジで勝敗が決まります。
初開催の大会への参加者を集めたのが向陽高校教師の仲村泰洋さんです。仲村さんは県ボクシング連盟の一員として高校生の指導や審判などを担当していますが、今大会は、選手として登場。相手は高校時代に仲村さんの指導を受けていた琉大4年の石峯早人さん。すでに卒業と官庁への就職を決めていて、恩師の呼びかけに応え高校卒業以来となるリングに上がりました。2分1ラウンドの師弟対決。
向陽高校教師・仲村泰洋選手「(石峯さんに)連絡した時も喜んで出てくれるということで、先週NAHAマラソンに出て完走したということだったが、疲れに負けずに立派だった」
琉球大学4年・石峯早人選手「いままでお世話になった(仲村)先生に、この機会に恩返しできるのではないかと思って大会参加を決意したということもあるが、久しぶりにボクシングで楽しく体を動かせるということで、高校時代のいろいろなことを思い出しながらすごく楽しめたと思う」
拳を当てない真剣勝負そのジャッジは赤、石峯選手の勝利となりましたが、どちらも笑顔で試合終了。参加5選手による総当たりの結果は、阿波連選手が貫録の4戦全勝。一方で本来は年齢・身長別で行われるため、全選手がそれぞれのカテゴリーで上位となり賞状を手にしました。
向陽高校教師・仲村泰洋選手「今回初めて出られた方もいる。そういった方も一緒にボクシングに親しむ機会になると思うので今後もみなさんの参加を望んでいる」
琉球大学4年・石峯早人選手「これから2回、3回と続いていくと思うので、機会があればこれからも参加し続けたいと思っている」