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続いては、4年半ぶりとなった先週の玉城知事の台湾訪問についてのリポートです。来年1月の総統選挙に向けて、政治情勢が目まぐるしく動いている台湾。ただ、今回の玉城知事の訪問は経済団体との面談が主で、台湾政府や政党の関係者との面談はありませんでした。現地での取材を通して見えてきた県の地域外交の今後についてお伝えします。

およそ4年半ぶりとなった玉城知事の台湾訪問。

玉城知事「コロナも収まって、これからいろいろ地域間の経済や交流など、いろいろな取り組みを進められるのはうれしい」

いわゆる「トップセールス」として、ITや観光、経済関連団体を相次いで訪問しました。話題に上がっていたのは、台湾の半導体受託生産の世界最大手・TSMCが熊本県に建設中の工場でした。工場建設に派生し、沖縄でのIT分野での台湾との連携について、意見も交わされています。

玉城知事の台湾訪問「トップセールス」の成果と、県の「地域外交」の展望は?

玉城知事「九州や沖縄の関連産業の活性化につながる機会が増えれば、沖縄も活躍するフィールドも増えると期待している」

台湾側出席者「(台湾から)交通のつながる形。沖縄と九州、関係がないことはない。人的な交流と物の交流とつながると思う」

面会した各団体のトップには、議員や閣僚の経験者もおり、台湾政府や政界とのつながりが強い人物もいました。

中華民国全国商業総会理事長「知事と私の経歴は似ている。知事は衆院議員を4期、私は台湾の立法院議員を5期(務めた)。経済界・政界で人脈があるので交流を作る場はあると思う」

一方で、玉城知事が台湾を訪問した期間は来年の総統選の候補者調整が行われていた時期と重なり、台湾の政治情勢が注目されました。また、東京の中国大使館は、知事の台湾訪問に反対する談話を出しています。

玉城知事の台湾訪問「トップセールス」の成果と、県の「地域外交」の展望は?

今回の訪問は、総統選の2か月前となった半面、政府や政治関係者との面談はありませんでした。玉城知事は現地での取材に、あくまで「トップセールス」であることを強調しています。

玉城知事「1月の総統選を待つと、12月、1月ほぼ2か月間動きが取れなくなりますし、総統選が終わった後も海外出張の予定も入っている。そうであるならば、まだ選挙の影響が少ないこの時期に、訪問しておいた方がいいだろうと」「そうすれば先にトップセールスをして、そこから民間交流を県庁側が行政としてサポートすることは十分可能」「政治レベルに全く影響しない、影響させないことを前提に、私もトップセールスに臨んでいます」

塚崎記者「今回の玉城知事の台湾訪問は、文化や経済面での交流がメインとなりました。大国の影響を大きく受ける沖縄の現状を今後、打開していくうえで、地域外交の真価がますます、問われることになると思います」

ここからは現地で取材した塚崎記者とお伝えします。今回の知事の台湾訪問、あくまで「トップセールス」ということを強調していましたが、改めて、どういった意味があるのでしょうか。

塚崎記者「中国との関係が、背景にあるとみられます。玉城知事が出発直前、記者団に語っていたことに、ヒントが隠されています。」

玉城知事「県はこれまで政府がとっています通り、一つの中国政策ということを念頭に置いて、地域外交をしようということでお伝えしています。ですから、今回行政関係・政府関係の方々と特に会うセッティングをしていないのは、我々が発していることと食い違わないことを先方も分かっていただけるようにしないといけない」

玉城知事の台湾訪問「トップセールス」の成果と、県の「地域外交」の展望は?

知事が言っていた「一つの中国政策」とはどういったものなのでしょうか。

塚崎記者「一つの中国政策」は、中国の台湾への考えに対するアメリカなどの対応を指します。」

日本政府の台湾についての認識は、中国側の「台湾は領土の不可分の一部である」との主張を「理解・尊重する」という立場です。これに基づいて、日本政府は外交関係を中国・つまり大陸側の中華人民共和国と結び、台湾の中華民国とは外交関係を結ばないという、立場をとってきたわけです。

台湾と日本は国交はないわけですが、そうした台湾と沖縄が地域外交を展開する余地はあるのでしょうか。

塚崎記者「日台間では、経済や文化など民間交流、自治体、議員間の交流が進められています。」「現地で取材した関係者によると、国交のない日本との自治体間の外交・交流は、台湾政府も、日本との関係を維持する意味で、むしろ推進する立場だといいます。」

「経済や自治体の交流は、自治体や民間でも決められることが多く、むしろ台湾と沖縄の「地域外交」は他の国に比べて、自由度が高い状況だといえると思います。」

台湾有事の危険性も語られている中で、沖縄と台湾の関係はどのように考えていけばいいのでしょうか。

玉城知事の台湾訪問「トップセールス」の成果と、県の「地域外交」の展望は?

塚崎記者「台湾側との面談の中でもでていましたが、沖縄も台湾も、大国の間での政治や軍事的対立に住民が翻弄され続けた点では共通しています。今回の知事訪台を巡っては、中国政府が、反対する声明を出すということもありました。そうしたこともあって「親中国」か「親台湾」かといった文脈で、県の地域外交について議論する向きもあります。「敵か味方か」の二項対立にくみすることなく、沖縄が台湾の「隣人」として、交流を深め、台湾周辺の緊張を緩和していく方法を一緒に考えていく土台をつくることが、必要だと思います。」