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特集です。こちらは、今年3月に県内の特別支援学校を卒業した生徒の一般企業への就職率、39%です。徐々に高まってるいますが、働く期限の定められた有期雇用が多いため、安定的に長く活躍するのは難しいという現実があります。このようななか、ある企業が将来的に会社の力になってほしいと、特別支援学校に通う生徒たちの採用に乗り出しています。

障がいがある人の活躍の場を広げながら成長を支えていこうという取り組みを通して誰もが働きやすい環境のために、今求められることについて考えます。

講師「あえて障がい者とみる必要はないかもしれないけれど見る目の考え方ではなく、本人と接する時の考え方を変えていただければいいかなと思っています」

先日、那覇市のリゾートホテルで行われた研修会。真剣な表情で耳を傾けているのは、ホテルで働いているスタッフです。障がいのある人とともに働く上で求められる心の持ち方などについて学ぼうと今回初めて講師を招き研修を行いました。

受講したスタッフ「明確な指示を出してあげなければいけないんだとか、彼らが何に困るんだということをきょう、はっきりと聞くことができたことは、自分のためになった」

特集・障がい者が活躍できる場を

受講したスタッフ「仕事の切り出しで何ができるかということについて、もっともっと突き詰めていくと、もっとできることもあるのかなというふうに感じております」

那覇市にあるリゾートホテル「ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城」およそ240人が働いています。宿泊の対応などフロント業務をはじめ結婚式など華やかな舞台を裏方で支える宴会サービスなど仕事の種類は多岐に渡ります。

秋の修学旅行シーズンが始まり、ホテルは大忙し。駆け付けたスタッフたちが荷物を手際よくさばいていきます。

新垣英斗さん「早く運ばないと、どんどんここに積まれていってお客様の邪魔になるじゃないですか。だから人手を呼んでみんなで持ち上げる。」Q応援で?「応援で」

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こう話すのは、今年4月に正社員として入社した新垣英斗さん。軽度の知的障がいがありますが、バンケットサービス部門に所属し働いています。必要に応じて上司のサポートを受けながら、ホテルスタッフとしてのホスピタリティやスキルを磨いている新垣さん。食器類やカトラリーなどをていねいに並べていきます。入社して半年あまり。新垣さんは大きく自信がつき、働くことへの意識が変わったと話します。

ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城・バンケットサービス新垣英斗さん「お客様との接し方だったり、披露宴とかもあるんですよ。披露宴とかどうやって、どこまで自分たちで盛り上げられるかどこまでいい披露宴にできるかと常に考えて動いていますね」

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ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城室田幸子 人事部長「私はこれが得意ですというのが見つかったら、それは会社にとっても財産になるはずなので、そこが一緒にトレーニング重ねながら働けるなら、見出せるなら、時間をかけてもいいのかなと思っております。そのなかで、自分がやりたいことが人生のなかのステージステージで変わってくると思いますが、合わせて私たちがサポートできれば企業としてもいいと思っています」

「おはようございます。中に入るのでミーティングの前に身だしなみチェックをしますね」

またホテルでは、来年度の採用に向けて動きだしています。それは、就業体験の受け入れです。やえせ高等支援学校3年の赤嶺姫奈乃さん。卒業後、接客や料理に携わる仕事に就きたいと考えています。今回は、厨房の調理補助業務をはじめレストランでのテーブルセッティングなどに挑戦しました。

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接客のついてレクチャーを受ける様子

「右から下げる。料理持ってきたらここに立って、失礼いたします」

また、赤嶺さんの“やってみたい”という気持ちを後押ししようと、ホテルからは、こんな計らいも・・・

シェフに食材の切り方を教わる赤嶺さんの様子

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「押さえて(赤嶺さん:この辺ですか?)はい、それぐらいで大丈夫です。押しながらちょっとずつ」

ビュッフェコーナーでお客様役のスタッフに料理を提供するというシェフの仕事の一部を模擬体験です。シェフに指導を受けながら、ローストビーフの切り方や盛り付け方などを教えてもらう赤嶺さん。慎重に薄くスライスしたお肉を皿に盛り付け、ソースを添えて手渡します。

お客様役のスタッフに料理を手渡す様子

「お待たせいたしました(スタッフ:ありがとうございます)」

就業体験は、将来を見据えたうえで、生徒、企業どちらにとっても互いを知ることができる貴重な機会。双方の懸け橋となって就労支援に取り組む関係者は、職場実習を受け入れたことにより、企業が雇用に踏み出し生徒の就職に結び付くケースが増えることを期待しています。

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就労支援コーディネーター・翁長克さん「本人が持っているものって、自分でどんなに努力しても出しきれない。まわりに接触して触れ合うことによって広がっていく。〇〇くん、〇〇さんという“個”で見たときには、もっと輝いて見える部分が絶対あると思う。そこはぜひ、見てもらったほうがぼくはうまくいくと思っていますね」

「いろいろなことを経験していただいて、将来自分の道になんかの材料になればと思いますので、頑張って下さい。(赤嶺さん:ありがとうございます)」

就業体験を通して、働くための心構えを学んだ赤嶺さん。卒業後、働く自分の姿を思い描けたようです。

やえせ高等支援学校3年・赤嶺姫奈乃さん「お客さんに喜んでもらえることが大事だなと思いました。今後、就職に向けて考えたいと思います」

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ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城室田幸子人事部長「いろんな方が働いてていいと思いますし、彼らの力を信じて、個性を伸ばして。仕事が楽しいと思っていたら、笑顔も自然と出てきますし、それでお客様がまたここに来たいと思ってもらえれば、それでウィンウィンの関係だと思います。そういった形のホテルにできたらいいなと思います」

障がいのあるなしにかかわらず、誰もが“働く喜び”を感じられる社会を目指して。これからも、それぞれが能力を発揮できる環境づくりを続けていきます

実はこの時期、県内各地で特別支援学校に通う生徒たちが赤嶺さんのように就業体験を行っています。大切なことは、まず「相手を知る」こと。障がいの特性を知り、その人に配慮しながら相手のできないことよりもできることに着目し一緒に働く仲間としての意識を持つことが仕事の定着につながる。

ヒルトン那覇首里城では、来年の春、赤嶺さんを正社員で採用することを検討している。