沖縄の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」のコーナーです。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。
湊 和雄さん「宜しくお願いします。」
今回のテーマは「チョウ大復活!」です。
湊 和雄さん「8月初頭に襲来した台風6号。通過直後には、チョウたちがほとんど姿を消してしまい、年内に復活できるのか心配しました。それから2ヵ月。特に今月はチョウが多く、話題やニュースにもなっています。」
それは楽しみです!さっそくVTRご覧ください。
湊 和雄さん「今月初めに撮影した映像です。道路脇のセンダングサ類にたくさんのチョウたちが群れています。数もさることながら、種類もざっと10種類くらいが混ざっています。」
湊 和雄さん「こちらはネムノキ。ピンク色の花に、やはりたくさんのチョウが群がっています。こちらはセンダングサと共通する種類もいれば、センダングサでは見られなかった種類も含まれています。やはり10種類は混ざっています。」
10種類いるんですね、後でもう1度よく見てみます!
湊 和雄さん「ここから、少し具体的な種類を見ていきましょう。」
これはオオゴマダラですね!
湊 和雄さん「そのとおり、日本最大のチョウとして有名なオオゴマダラです。花にとまって蜜を吸っている雌に、雄が盛んに求愛しているシーンです。」
湊 和雄さん「これもネムノキの花に群がるイシガケチョウ。もう咲き終わったような花に群がり離れようとしません。また1種類だけでかたまっているのも不思議ですね。」
湊 和雄さん「この花はニトベカズラ。これまた、たくさんの種類が集まっています。飛んできたのはシロオビアゲハとリュウキュウアサギマダラ、花にとまっているのはイシガケチョウ、ツマムラサキマダラ。」
湊 和雄さん「フウリンブッソウゲで蜜を吸っているのはナガサキアゲハの雌。雄は黒いチョウですが、雌は南下するに従ってだんだんと白くなり、奄美群島や沖縄では黒ではなく白いチョウです。」「大きさもオオゴマダラに匹敵するサイズで、この白い雌は有毒なオオゴマダラに擬態しているという説もあります。」
オオゴマダラ毒があるんですね。
湊 和雄さん「これはシマヒギリの花に群がるシロオビアゲハ。ときどき別のチョウも混ざりますが、ほとんどシロオビアゲハに占有されている状態ですね。」
これも不思議ですね~
湊 和雄さん「そうですね。シロオビアゲハ1種類と言いましたが、よく見ると翅の模様の異なる2パターンが混ざっています。」「これは、黒地に帯状に白い点線の並ぶ、文字通り白帯模様のシロオビアゲハ。すべての雄と多くの雌がこの模様です。」
湊 和雄さん「ところが、一部の雌(フレームイン)が異なる模様をしています。何故このような現象が起きているかと言うと、数少ない方のシロオビアゲハは、この有毒なベニモンアゲハに擬態していると考えられています。」「雄と雌で異なる模様や色彩をしているチョウは少なくありません。」
何故シロオビアゲハは雌の一部だけが有毒種に擬態しているんですか?
湊 和雄さん「それは、シロオビアゲハはとても数が多いんです。一方、ベニモンアゲハは少ないのです。擬態というのは、本当は毒がないのに姿が似ていることによって、鳥などの天敵を欺く世界です。つまり、本当に有毒な正直者の中に、少しだけ無毒の嘘つきが混ざっていて成り立つのです。」
何だか人間社会にも当てはまりそうな。。
湊 和雄さん「さて、今回登場した植物(花)はすべて外来種。やんばる在来の花にやってくるチョウはほんのわずかです。考えさせられますね。」
湊さん、今回も貴重な映像ありがとうございました以上、リュウキュウの自然でした。