「負担軽減ないままの配備は承服できない」と訴えました。嘉手納基地への無人偵察機MQ9の配備について、県は2023年10月17日、沖縄防衛局に配備見直しを求めました。
県の溜知事公室長らは、嘉手納町の沖縄防衛局を訪れ、無人偵察機の配備について見直しを求めたの対して、防衛局は、「沖縄を含む地域の防衛に重要な役割を果たす」などとして配備への理解を求めました。また、要請の中で知事公室長は、このように指摘しました。
溜知事公室長は「県外に展開する無人偵察機を沖縄に移すことは、1950年代に日本本土で発生した米軍基地への反対運動で、当時、米軍施政権下にあった沖縄に米軍基地が移転した経緯を思い起こさせる」と述べました。
溜知事公室長は、要請後、記者団の取材に応じ「どんどん沖縄に基地が集中する可能性が出てきている」と不信感を示した上で、「地元の意向を考えているか」と防衛局の対応について疑問を呈しました。
解説 無人偵察機「MQ9」 配備の意図と地元反応は?
ここからは、きょう県が見直しを求めた「MQ9」の嘉手納基地への配備計画について、解説していきます。
「MQ9」はアメリカ空軍が運用する無人機で、海上の警戒監視や偵察が任務です。去年から鹿児島県の鹿屋基地に8機が配備されてましたが、嘉手納基地に機体を移し、11月をめどに、運用を始める計画となっています。
鹿屋基地には去年11月から1年間の暫定配備でした。嘉手納基地への移転は、この期限が切れるための措置です。
防衛省は嘉手納基地に配備する理由として、南西地域へのアクセスが容易になる点や、アメリカ軍自身の後方支援体制が整った基地であることなどを挙げています。
防衛省は鹿屋基地からの移転先について、「日本国内のどこにするか日米間で検討した」と説明しています。ただ、嘉手納基地以外の候補地などは「能力が判明する」などとして、明らかにしてません。
鹿児島の鹿屋基地への配備は1年間限定のものでしたが、嘉手納基地への配備については、期間に定めがありません。
防衛局は今月6日に配備計画について、基地に隣接する自治体に説明を行っていました。
北谷町の渡久地町長は「基地機能強化は受け入れがたい」と懸念を示しています。沖縄市の桑江市長は配備に一定の理解を示しています。嘉手納町の當山町長は、この時点では計画の賛否については示さず、嘉手納基地に隣接する、嘉手納町、沖縄市、北谷町で作る「三連協」で協議していく考えです。
MQ9の配備について、防衛省側は中国軍などの活動を挙げ、沖縄周辺での警戒監視の必要性を強調しています。ただ、嘉手納基地の現状の部隊配備などの見直しをしないまま、新たな部隊を配備するだけでは、負担が増えるだけです。
これまで県民が負ってきた基地負担に加えて、「中国への対抗」を理由にした軍備の強化を、無批判に受け入れてはならないと思います。