辺野古新基地建設を巡って、軟弱地盤改良工事を強行しようと、国は代執行の手続きを進めています。
普天間基地の移設について「最低でも県外」と公約に掲げ、その後辺野古に回帰した民主党政権。その政権で、防衛大臣を務めた北沢俊美氏は先週QABの取材に応じ、現政権の対応について「政治として最悪」などと批判しました。
北沢元防衛大臣は「沖縄県知事は県民の支持のもとに選ばれた独立した自治体の長であるから、政府としても地方自治を大切にする観点からも、丁寧に対応しなきゃいけない。裁判にかけて代執行までする強硬な姿勢は、私は政府のとるべき形じゃないと」と述べました。
長野市内でQABの取材に応じた北沢俊美氏は、民主党政権下の2009年9月から11年までのおよそ2年間防衛大臣を務めました。
鳩山由紀夫氏は「県外移設を目指すという考え方を変えるつもりはない」と述べました。2009年の総選挙で、当時の民主党が政権を獲得しましたが、その選挙中、後に総理となる鳩山由紀夫氏は普天間基地の移設先について「最低でも県外」と掲げました。民主党政権は当初、普天間基地の辺野古移設の見直しを検討しましたが、当初の方針を撤回し、従来の辺野古移設に回帰した経緯があります。
記者は「軟弱地盤なども出てきて、いつ基地ができるかわからない状況。今でも辺野古しかないと?」と、北沢元防衛大臣に伺うと「辺野古は自然環境などからいうと最悪な事態だが、沖縄全体を見たうえで考えるとあそこしかないかと私たちがいろいろ調査したときも、大浦湾は極めて地盤が悪いから、あそこは難しいということで、現在埋め立てている(辺野古側の)ところで何とか収めようという案を出して、それが米側との交渉の中でも了解を得ていた。私たちが考えていたものとは倍以上の面積になっている。なぜ倍以上にならなければならないのか、説明されていない」と述べました。
北沢氏は民主党政権下で辺野古移設に回帰した経緯について、海兵隊の航空部隊と地上部隊が近接している必要性などを理由として挙げていました。一方で、現在強権的に基地建設を進める姿勢をとる現政権に対し、北沢氏は県との対話を行う重要性を強調します。
北沢元防衛大臣は「政府が沖縄の知事ともっと協議を重ねるべきで、今は強権的にやっている。絶対に長続きしない。政治としては最悪、今はオール沖縄で、政府の基地建設に反対の知事が選ばれている。なぜそうなったかということを政府はきちんと分析して、沖縄と向き合わなきゃだめだ」と述べました。
北沢氏が大臣を務めた時期に、防衛省は与那国島など先島地域に自衛隊を配備をする方針を固めています。今回の取材では、自衛隊配備をめぐる当時の状況などについてもインタビューをしていて、その様子は2023年10月18日、シリーズ「沖縄と自衛隊」でお伝えする予定です。